Entry

環境保護派の大ウソ?

(記事要約)2007/02/05 Canada Free Pressより


カナダの気象学者、ティモシー・ボール博士の研究によれば、地球温暖化とCO2排出レベルの増加には何の因果関係もないという。


昨今の気温上昇の主要な原因は太陽の構造的な変化によるものであり、いわゆる温室効果の影響は殆どない。地球の気温は小氷河期が終了した1680年から上昇に転じており、現在の温暖化はその延長線上の現象に過ぎない。その他にも、温室効果に対する疑惑及び反証は、学会内には多くある。


しかし、それらは環境保護という錦の御旗の元に圧殺されている。その原因は気象学会の偏狭な体質にある。このような異端の説を唱える事は、学者のキャリアとしては致命的な瑕疵になりかねないのだ。純粋にアカデミックな論争さえも許されない不毛な状況の中では、環境問題がまともに論じられる事はないだろう。

(解説)
米国石油業界を代表するブッシュ大統領でさえ“環境派”に宗旨替えするこのご時勢に、いわゆるトンデモ論文のカテゴリーに入りかねない記事である。


今世界中で議論の的になっている問題を根本から否定しているのだから。しかしこの記事、見方を変えれば現代人にとって大切な示唆を含んでいる。


世の人々の大半は気象学の専門家ではない。大気に溜まったCO2が地球の自然な熱放射を阻害して温暖化が起きている、と言われれば、ホーホーとフクロウのように頷くしかない。


しかし、こうした大前提を、「本当にそうなの?」と疑ってみることが今ほど必要な時代はないのではないか。 振り返ってみると、かつてまことしやかに語られていた科学的な前提というものがひっくり返された事は多い。


ボール博士が記事中で指摘しているように、70年代から80年代の初頭にかけては、地球は小氷河期に向かっているという「科学的観測」がマスコミを賑わしていた。暖房のためのエネルギーの確保が先行きの重要な課題になるだろうという予測が週刊誌に掲載された。


もう少しミクロな視点でなら、こういう逆転はいくらでもある。スポーツをしている間は水を飲んではいけない、成人に必要な最低睡眠時間は8時間等々、どれも20年ほど前までは一般常識とされていた。


新しいところでは、カーブダイエットの登場以来、肥満の元凶としての攻撃の矛先が、脂肪から炭水化物へと一気に移ってしまった事が上げられる。長年肉の脂身を避けてきたのは一体何だったのだろうか。もっとも、カーブダイエットにしたところで決定的なダイエット理論とされたわけではない。


極論してしまえば、体重のコントロールにさえ決定的な方法を見出せないほど現代科学は脆弱なのだ。


これに加えて、情報を世に伝える職種、つまり我々ライターの存在が問題をややこしくしている。 ライターが記事を書く場合、サブジェクトに関する情報を出来る限り集め、検討し、自分なりの結論を導き出し、それ沿った記事を書く。その際、論旨に合わない事実はどうしても切り落とされる。これはある意味必要な作業である。


ある学者はこう言った、しかし別の人はこう言っている等々、あらゆる意見を満遍なくフォローするのは不可能だし、そんなものを読まされる方はたまったものではない。主観による偏向をまったく排除するのはムリな上、無意味なのだ。


しかし、何かを「不都合な真実」としてまとめるためには、幾分かの「好都合な真実」が切って捨てられているという事は、雑誌の記事や映像を見る側として知っておいた方がいい。 断っておくが、私は環境保護否定派ではない。たまたまボール博士の記事に遭遇し、メディアに流れている情報を無条件に受け入れる事の危険性を改めて思い出したに過ぎない。


京都議定書や排出量取引が無意味な議論なんて事はいくらなんでもある訳がない。しかし、世に横溢している悲観的な観測のすべてが事実ではないであろう事も容易に想像がつく。


現代の情報の海の中を溺れずに泳ぐためには、自己責任で情報を解釈する姿勢をひとりひとりが身に付けるしかない。ダイエットのために納豆を買い込んでいるうちはまだご愛嬌だが、大破壊につながるようなとんでもないミスリードを信じてしまう事だってあり得るのだから。


  • いただいたトラックバックは、編集部が内容を確認した上で掲載いたしますので、多少、時間がかかる場合があることをご了承ください。
    記事と全く関連性のないもの、明らかな誹謗中傷とおぼしきもの等につきましては掲載いたしません。公序良俗に反するサイトからの発信と判断された場合も同様です。
  • 本文中でトラックバック先記事のURLを記載していないブログからのトラックバックは無効とさせていただきます。トラックバックをされる際は、必ず該当のMediaSabor記事URLをエントリー中にご記載ください。
  • 外部からアクセスできない企業内ネットワークのイントラネット内などからのトラックバックは禁止とします。
  • トラックバックとして表示されている文章及び、リンクされているWebページは、この記事にリンクしている第三者が作成したものです。
    内容や安全性について株式会社メディアサボールでは一切の責任を負いませんのでご了承ください。
トラックバックURL
http://mediasabor.jp/mt/mt-tb.cgi/29