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ホワイトカラー受難時代 キャリアを築く五つの指針

昨今のホワイトカラー稼業は難儀だ。成果主義と人件費削減の動きの中で、いや増しに増す仕事量。高まる将来への不安。荒れる海を小さな船で渡るようなハードさ、心もとなさがある。
負荷が高く、見通しのきかない時代に、ホワイトカラーはキャリアをどう築けばいいのか。

■ゴール派か、ステップ派か


高い負荷への対処として、まず、自身の拠り所を持つことだ。目指すものや拠って立つところがあると、困難を乗り越えやすい。

キャリア研修でよく行なわれるのが、10年後、5年後の自分を描き、それに向かって計画を立てるというプログラムだ。「顧客満足度ナンバーワンの営業マン」「優秀なスタッフを育てるプロジェクトリーダー」など未来の姿を具体的にイメージする。ゴールが明確になるので、力を集中しやすく、プレッシャーに強くなる。

しかし、「そんな先のことはピンとこない」と感じる人もいる。その場合は、今の自分に軸足を置こう。今できること、今大切にしていることをはっきりさせ、そこから一歩一歩積み重ねる。

「人と出会い、信頼関係を作る今の仕事が好き」と、人材派遣会社で企画営業に携わる男性は言う。彼にとって、これが軸足だ。好きだと思う現職をとことんやってみることが、次のキャリアを切り開くことにつながる。ゴールか、ステップか、自分が最もやる気を感じる方法を選ぼう。


■リソースを使う


タフな時代ではあるが、あなたは素手ではない。キャリアを築くときのリソース=資源を持っている。自分自身、周囲のサポート、仕組みや制度がそれだ。年令、経験、スキル、性格などの自分自身が持っているもの、職場の上司や仲間、顧客や取引先、家族や友人からの支援、休暇制度、福利厚生、保険などの組織や社会の仕組み。これらを大いに使おう。

3つを眺めて、「これはあまり使っていない」と思うものがないか。それは、休眠中の資源だ。掘り起こしてみよう。


■ハプニングを味方につける


変化の激しい現代だ。誰のキャリアにもハプニングが起こる。異動、転職、会社の方針転換やM&A、あるいは結婚、病気など。予期したこと、予期せぬこと、期待したのに起きなかったこと。これらの転機を、有意義にキャリアに取り込もう。

描いたゴールやこれまで積み重ねたことも大切だ。しかし、転機が起こったら、少し柔軟になってみよう。ネガティブだと思っていたことが、時間がたつと、案外いい結果に落ち着く。

大手メーカーの研究者だった男性は、36歳で人事部門に異動になった。研究の道を究めようというゴールは、変更せざるを得なかった。58歳の今、技術と人事の両方がわかる逸材として活躍する。ハプニングを味方につけた好例だ。


■「なんちゃってキャリア」で可能性を広げる


不測の事態に対処するために、頭と心を柔らかく保とう。「そんなことは、絶対に実現不可能だ」と決め付け、死角を作っていないだろうか。

お勧めは、「なんちゃって」と言いながら、様々な選択肢をリストアップすることだ。突飛に思えるものこそ、「なあんてね」と逃げ道を作りながら、挙げてみよう。意外な突破口に発展する。

フリーの研修講師として多くの顧客企業を抱える女性は、会社員時代に、「独立しちゃったりしてね」と冗談を飛ばしたことがきっかけで、今の道を選んだ。事態は不測だ。こちらも、不測のキャリアで受けとめよう。


■船長は自分である


キャリアという船の、船長はあなただ。あなたが操縦するのだ。
「会社が・・」「上司が・・」「経済が・・」と、自分以外を主語にしていないか。自分のキャリアは、自分を主語にして考えよう。環境の変化が激しくなり、考えなければならない要素が増えるほど、それをどうとらえるか、どう対応するかという、自分の思いが大切になる。

次の空欄に、ことばを入れてみよう。
「私は、これまで、<             >の道を歩いてきた」
「私は、今の職場で、<             >になりたい」
「私は、これから、<             >を資源として活用していく」
 
荒海をただ流されていると感じるか、自分で舵を取って進んでいると思えるか、船長のあなた次第だ。


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