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日曜営業ができないフランスの商店

<記事要約>
ドビルパン首相の要請で昨年10月から「日曜営業問題」を検討していた経済社会諮問機関CESは「商店の日曜営業は慎重に対処すべきである」と判断した。

フランスでは1906年に定められた法律により原則として日曜営業はできない。しかし観光地区とみなされれば「くつろぎを与える、あるいはスポーツ、娯楽、文化的活動ができる施設」には営業許可がおりている。その一方で商業を目的とする衣料品店などは許可がおりないといった矛盾が生じている。

また営業許可を与えるのはそれぞれの地方自治体であるため特例が適応されることもある。例えばノルマンディーでは「観光客をひきつける効果が大きい」という理由で一部の衣料品店は許可を与えられている。

日曜に営業すれば多くの客が集まり新しい雇用が生まれることはわかっている。だがシステムを改めるためには、まだまだ論議を重ねる必要がある。

2007/2/26 Le Mondeより(フランスの夕刊紙。1944年創刊。編集方針は穏健派)

http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3234,36-876324,0.html?xtor=RSS-3208


<解説>

フランスの休日はとても静かだ。そもそも日曜はキリスト教の安息日にあたる。カトリック教徒が国民の約7割をしめるフランス。熱心な信者は少なくなっているものの、家族そろって午前中に教会のミサに参加し普段より少々豪華な昼食を食べるのが習慣だ。そのためパン屋や娯楽を提供する映画館などを省き、一般商店はシャッターをおろしている。

産業大臣ドゥトレイユ氏は昨年12月に「スペインが行っている300平米以下の商店に対して、年12回の日曜営業を許可する政策」を見習うべきだと発言した。小売店が活気付けば経済が上向きになると予想されるからである。

パリ郊外ヴィルジーにあるアウトレット中心に120店舗が集まった大型ショッピングセンター、ユージーヌ・センター(Usine Center)は昨年6月に64店舗の閉鎖を言い渡された。だがその後解雇された100人の従業員が訴訟をおこし、今年 1月に日曜営業の再許可を勝ち取っている。

しかしながら、特例でせっかく日曜営業の許可を得た商店が許可取り消しになることも多いのだ。「日曜に出勤するようになると労働者の家庭生活に悪影響をもたらす」と主張する労働組合や、「近隣の商店の客が減るから」とする衣料品業組合の訴えが認められているのである。


このように法律の解釈をめぐって混乱がおきているのだが、その根底には「あくせく働かなくてもなるようになる」というラテン気質があるのだろう。休みなく働いて高収入を得るよりも、ゆったりした生活をおくることのほうが重要なのである。


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