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ネット流出 スターバックスのシュルツ氏が幹部に宛てた「メモ」の中身

<記事要約>

最近、スターバックスのハワード・シュルツ取締役(53)が、社内上層部宛てに送った 『メモ』がインターネット上に流出したことで話題を呼んだ。

その内容は、急速な多店舗化、効率化により失われてしまったカフェの個性を取り戻し、さらなるイノベーションを続けるために何が必要なのかを提示したものだった。

バンクーバー1号店が1987年2月に開店してちょうど20年。シュルツ氏は電話インタビューで、「バンクーバーでの成功がなければ、現在のスターバックスの世界地図は違ったものになっていただろう」と述べた。
 
加えて、「優れた小売業者というのは、商人としての役割を実践するためにあらゆる努力をしなければならない。つまりそれはビジネスを成長させながら、核の部分も守っていくということだ」と語った。

(2007年2月27日Vancouver Sunより)
Vancouver Sun: BC州で最も発行部数の多い一般紙。徹底した地域密着型の内容に定評がある。


<解説>

ハワード・シュルツは1982年に店舗運営とマーケティング部門の役員としてスターバックスに入社した。イタリアのバールで飲んだエスプレッソの味に感動し、会社にエスプレッソ・カフェの展開を提案。

しかし、コーヒー豆の販売店にこだわった創業者陣に受け入れられず、1984年にシュルツは一旦、スターバックスを退社している。

その後、エスプレッソ・カフェの店「イル・ジョルナーレ」の運営を開始した。

この店で成功したシュルツは、1987年に3800万ドル(当時のレートで約42億円)でスターバックスを買収し、現在のようなスターバックス・コーヒーの店舗展開をはじめた。

現在では、世界40カ国13,168店舗、今年の売上が90億USドル以上と予想されているほどの巨大コーヒーチェーン店に成長した。

その世界戦略の第1歩が、バンクーバーへの出店だったというわけだ。

当時から洗練されていたバンクーバーのコーヒー・フード・ワイン文化が、少し高価で高級志向のコーヒーを受け入れてくれるのではないかと予想しての出店だった。

「もしバンクーバーで失敗していれば、シアトル以外で成功するかどうか静観していた投資家の反応は違っていただろう。ここが世界への道を舗装したと言っても過言ではない」と振り返っている。

しかし、ここ10年は急速な成長と引き替えにスターバックスの骨幹を成す大事なものを失ったと、ネット流出で話題になった幹部宛の『メモ』で苦言を呈している。

「商品の核であるコーヒーに対し、もう一度、死に物狂いで取り組み、これまで受け継いできた伝統と情熱を呼び覚ますことが真のスターバックスへの変化に必要なことだ、今がその時期だ」という熱いメッセージが込められていたという。
 
核を大事にしながら「スターバックスブランドに傲ることなく、ハングリー精神を忘れずに」がシュルツ氏の管理職に対するいつものメッセージだ。

今後の展開は、この先10年で世界4万店舗、2年以内に温かい朝食とランチメニューのスタート、さらに自動販売機導入も計画中とまだまだ勢いは止まらない。

ところで、バンクーバーには現在238店舗、カナダ国内729店舗のうち約3分の1が集中している。

ダウンタウンのある交差点には2店舗が15年以上も斜め向かいで営業を続けている。どちらでも味は変わらないはずだ。というのも厳しいマニュアルがあり、店に立つ前にアルバイトも含め全員がコーヒーのレクチャーを受けなくてはならないからだ。
 
しかも、そこには客の満足感をくすぐる何かがあるのだ。スターバックスでは自分好みのコーヒーの味をオーダーできる。豊富なメニューから、ショットの数、スキムやホモなどのミルクの種類、シロップの種類と量、挙げ句の果てにはミルクの泡の量まで指定できる。

スターバックスブランドで作ってもらう自分だけのオリジナルコーヒー、そんな優越感がコーヒーの味をさらに引き立てる。私が学生時代アルバイトをしている時、そんなことを言ったお客さんがいた。

ブランドの中のオリジナル。そして人々は今日も緑のマーメイドに魅入られる。ちなみに私のお気に入りはアールグレイ。スターバックスコーヒーはすでに卒業してしまった。
  


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