（記事要約）

ハリケーンや竜巻など、米国各地が大規模な自然災害に次々と見舞われているせいか、被災地でボランティアをして休暇を過ごす人々が増えている。

そこでインターネットによる旅行サービスのCheapTickets.comは、米国最大の社会奉仕団体であるUnited Wayと提携し、旅先でのボランティアを希望する人のために、CheapTickets.comのサイトからUnited Wayのボランティア活動を行き先別、テーマ別で検索できるようにした。

United Wayの昨年の春休みプログラム（ASB=オルターナティブ・スプリング・ブレイク）には大学生100人が参加し、ハリケーン・カタリーナの被害にあったビロクシィに行った。今年のASBには300人以上の若者がハリケーン被害の復旧の進まないルイジアナに向かう。参加者の40%以上はリピーターだ。

2007/03/07　ロサンゼルス・タイムズ（ロサンゼルスの最大手日刊新聞）より。

（解説）

自然保護をテーマとしたエコ・ツーリズムは定着した感があるが、今度はボランティアをするボランツーリズムの人気が高まっている。

米国では教会を通じたボランティア活動に参加する青少年も多い。また国連難民高等弁務官事務所の親善大使として活躍し、巨額の寄付もするアンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットや、南アフリカに女学校を設立したTV司会者のオプラ・ウィンフリーなど、ボランティアに熱心な有名人も多い。

United Wayが若者をターゲットにMTVやYouTubeを使って、春休みのボランティア・プログラム企画の宣伝をしたのは、大成功だったようだ。

ロサンゼルス・タイムズの記事によれば、若者だけではなく、一般旅行者や退職期にさしかかったベビーブーマー達が、旅先でボランティアに時間を費やす例も多い。たしかに旅先で新たな仲間と出会い、地元の助けとなる活動をする方が、追加料金にため息をつきつつ見るだけのオプショナル・ツアーに参加するよりも、充実感が得られるはずだ。

United Way は全米に1300の拠点を持ち、被災地の復旧活動といった大規模なものだけでなく、病院訪問や食事の配達、古い劇場建物の修理や催し物の手伝いなど、様々な活動がある。　　

そういえば、ニューヨーク市には日本人が運営しているNY de Volunteerという非営利団体がある。

５年前に設立された団体だが、911犠牲者法要の灯ろう流しや、ハーレムリクリエーション施設美化ボランティア、NY地元高校生とペアで学校ペンキ塗りなど、ユニークな日帰りグループ・ボランティアから、英語学習とボランティア活動を組み合わせたプログラムなどを提供し、活発な活動を展開している。

ニューヨークに観光旅行に来て、一日、現地でボランティアをしてみるというのも、よい思い出になりそうだ。観光旅行だけでは物足らないと感じる人々に、現地での活動オプションが増えることは、旅行業界にとってもビジネスチャンスにつながるだろう。もっとも、半日ボランティア活動オプショナル・ツアー参加の追加料金が1万5000円也（昼食付き）、なーんてことにならなければよいが。

●United Way Alternative Spring Break / 2006

チープチケット・ドット・コム　
http://www.cheaptickets.com/App/PerformMDLPDealsContent?deal_id=volunteer

NY de Volunteer　
http://www.nydevolunteer.org/volunteer.html