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インターネットの自由はどこへ? 中米ではSkype使用できず

(記事要約)

ベリーズの独占的電話会社で、インターネットプロバイダでもあるBTL(ベリーズ・テレコミュニケーションズ社)は、Skype(スカイプ)などのVoIP(インターネット電話)を規制する方針であると発表した。

インターネット電話は、1分あたり数セントと非常に安価だ。したがって、この普及に伴って海外との通話にインターネット電話がどんどん使用されはじめ、同社の国際電話利用数が減少したからだという。

2006/03/27 Channel 5 Belizeより(中米ベリーズの全国ネットテレビ局)

関連記事リンク:
http://www.channel5belize.com/archive_detail_story.php?story_id=15960
インターネット電話を規制したBTLは、独自の有料インターネット電話サービス、「Webトーク」を開始した。サービスを利用するには、クレジットカードが必要になる。また、同社の提供する常時接続インターネットの利用を推奨している。

2006/12/18 Channel 5 Belizeより(同) 

関連記事リンク:
http://www.channel5belize.com/archive_detail_story.php?story_id=17624

(解説)

国内人口と同数が海外(主に米国)に在住しているといわれるベリーズ。海外に住む家族や友人と連絡を取るために、国際電話が重要な通信手段として使われている。

常時接続インターネットが普及しつつある現在では、Skype(スカイプ)などの非常に安価なインターネット電話が、ベリーズ人の間でも使われるようになってきた。

ところが、このようなインターネット電話の普及により、BTLの国際電話での利益が急激に減少してしまった。当然ながら、価格競争に完敗してしまったのである。

そこでBTLの採った手が、同社のインターネット回線に規制をかけるということ。なんと、加入者にインターネット電話を利用できないようにしてしまった。

BTLは、国際電話のみでなく、国内電話、携帯電話、そしてインターネットなどベリーズでの通信事業全般を扱っている独占企業。つまり、Skype(スカイプ)を使えないようにすれば、同社の国際電話の利益が上がるという話だ。

この迷惑な規制により、私も利用していたSkype(スカイプ)などは、昨年から通話が、そして現在ではログインさえできなくなってしまった。

今回の規制については、ベリーズでも重大な問題となった。政府公共料金委員会にはかられたが、国民の反対の声をよそに委員会は規制を許可。こうしてインターネット接続にBTLを利用するユーザーは、ベリーズ全土でSkype(スカイプ)の利用ができなくなったのだ。

同様の規制については、中米のメキシコやパナマなどでも見られ、Skype(スカイプ)公式サイトへの接続がブロックされているという。

またミャンマー、バーレーン、カタールなどでは、ベリーズと同様にSkype(スカイプ)の使用そのものを規制する動きがあるとのこと。

いずれも電話会社が国営、または国策会社であるため、国際電話の収益を守るためのようだ。

また、さらにBTLは、新たなサービスを展開しはじめた。それは、「Web トーク」という名の同社独自の通信サービスだ。

これは、Skype(スカイプ)のようにパソコンとヘッドセットを利用したいわゆるインターネット電話。ただし、従来の国際電話料金よりは安いものの、アメリカ本土にかけた場合、1分間の通話料金が
Skype(スカイプ) 0.02 USドル
BTL         0.3 USドル
と、Skype(スカイプ)に比べて15倍も高いのだ。独占とはどういうことを指すか窺える数字であろう。

BTLの一顧客の立場として主観を込めて書かせていただくと、「月々100ベリーズドル(約6000円)もネットの常時接続(しかも128kbps)に支払っているのだ、私の好きなように使って当然ではないか」と言いたい。

本来、自由に使えるはずのインターネットに規制をかけ、しかもそのユーザーから更なる利潤を追求しているこの企業、日本でよく言われる「顧客満足の精神」などみじんもなく、独占街道まっしぐらなのだから。

しかし、BTL以外のプロバイダのないベリーズでは、独占企業であろうが何であろうが、これを利用するしかない。今日のこのページもBTLのプロバイダを通じてしか読めないところが非常に悔しい。


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