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世界5大携帯電話機メーカーのオーストラリア人ユーザー像

<記事概要>

携帯電話の好みは、持ち主やその自己像を雄弁に物語る――そんな最新の調査結果がオーストラリアのニールセン・メディア・リサーチ社から発表された。

すべての携帯電話機メーカーは幅広い顧客層を獲得しているものの、年齢層や性格といったユーザーの特性によって特定のブランドに引かれる傾向があり、その好みはかなり特色があるという。

同社のジョディ・ローリン氏は、
「どの通信事業者を利用するかということよりも、常に持ち歩いている端末のブランドの方が重要になっている。事業者にとっては、自社のサービスと組み合わせる携帯電話機のブランド選択が、これまで考えられてきたことよりもはるかに重要になるかもしれない」
と分析する。

2007/3/28 ニールセン・カンパニー(世界100ヵ国以上にネットワークを持つ市場調査会社。テレビの視聴率や紙媒体の読者数などの調査で知られる)発行のニュース・リリースより


<解説>

オーストラリアでの携帯電話機メーカーの市場シェアは、1位ノキア(56.9%)、2位モトローラ(12.2%)、3位ソニー・エリクソン(8.4%)、4位LG電子(7.1%)、5位サムスン(6.0%)の順。3位以下は順位が入れ替わるものの、世界マーケットでもトップ5の顔ぶれは変わらない。

今回の調査結果から浮かび上がった各メーカーのオーストラリア人ユーザー像はこんな感じだ。

 ●ノキア……中高年層、管理職、家族思い、健康志向、バランス志向
●モトローラ……24歳以下の若者、販売・サービス職、流行・おしゃれに敏感、個人主義
 ●ソニー・エリクソン……若い男性、専門職、キャリア志向、野心家
 ●LG電子……専業主婦・主夫、母親、販売・サービス職、調和志向
 ●サムスン……若い女性、キャリア志向、楽しいこと好き

各社の人気端末を思い浮かべてみれば、「なるほどね」と納得できる。

おそらく、本体の色がシルバーや黒一辺倒だった時代には、こういう傾向は見出せなかったんじゃないかと思う。その頃は、料金プランや通話エリア、サービス内容といった、いわば本質的なところで通信事業者が競い合っていた。

ところが、キャップ制の料金プランが浸透し、通話エリアが広がって、日常の生活シーンに携帯電話がすっかり溶け込むと、事業者は他社との差別化に悪戦苦闘するようになった。機能面でアピールしようにも、もともと高機能化へのニーズはそれほど高くない上、よく使われる機能はもうほとんどの端末に搭載されている。

一般ユーザーにしてみれば、実用性という観点では、どこも似たりよったりになってしまったわけだ。当然ながら、関心は端末の外見に向かう。洋服や靴、ジュエリーや時計などと同じように、色やデザインで選ぶ人は、きっとこれからどんどん多くなるのだろう。囲い込みのためには、ブランド力が欠かせない。

「コミュニケーションの道具」としての携帯市場は成熟した感があるが、各メーカーのブランドイメージが確立されるのは、まだこれから。幸か不幸か、片時も携帯電話を手放せない人は、ますます増えているように思える。いつも身近にある携帯は、自己表現ツールとして発展していくのかもしれない。


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