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mixi (ミクシィ)会員数拡大は諸刃の剣

● SNSブームの火付け役

 「ミクシィ、やってる?」

友人と話していると、そう聞かれることも多くなってきた。友達の友達をインターネットを通じてつなげるソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)。なかでもミクシィ(mixi、笠原健治社長)は07年1月末に、会員数が800万人を超えたことを発表している。総人口の15人に1人が会員という計算になる。


● 招待制といえども

SNSは招待制を取っていることがある。それはインターネットで誰かだか分からない匿名社会というよりは、誰かは知っている「実名」社会を意識している。mixi(ミクシィ)も招待制であることで、「匿名」的な関係をできるだけ排除するようにしてきた。
 
しかし、SNSのなかで、mixi(ミクシィ)が独占状態になっていくにつれ、mixi(ミクシィ)に招待してほしいと「2ちゃんねる」の掲示板で書き込みがされたり、hatena(はてな)の人力検索で「招待した人にポイントをあげます」などのお願いがされる。ヤフーチャットでも、チャット仲間をmixi(ミクシィ)に招待することが増えてきた。
 
その結果、ネットでしか知らない関係であっても、また、そもそもネットでさえ知らない関係であっても、mixi(ミクシィ)に招待されるということになった。


● ケツ毛バーガー事件

このように、実際には全体的に見ると匿名のネットワークであるため、閉じたネットワークとは言えない。会員数が増えれば、そうしたネットワークの「諸刃の剣」の性格が見えてくる。
 
数年前から、マイミクの人とセックスをしたと日記に書き、そのときの画像をアップするといったことが増えてきていた。そうしたエロ日記&画像がmixi(ミクシィ)の中でもある。

実名に近いというmixi(ミクシィ)の「安心感」によるものだったり、お互いが匿名の関係であることからの「遊び感覚」だったりする。その延長で「ケツ毛バーガー事件」は起きた。
 
この事件は、共有ファイルソフトに関するウィルスに感染したパソコンの中に保存していた恋人とのエッチ画像やメール等が流出。そのメールから本名が特定され、mixi(ミクシィ)で検索すると、2人とも本名登録していることが判明。

ユーザーの一人が女性の参加している出身学校のコミュニティにエッチ画像を晒した。これにより、晒したユーザーは退会させられたが、安全神話が崩壊し、上場したばかりのmixi(ミクシィ)株が一挙に下がったことがあった。


● mixi(ミクシィ)は「出会い系」?

この事件は、mixi(ミクシィ)が「実名で安心」という虚構を崩した象徴だった。

そのほかにも、マルチ商法やアダルトサイトの勧誘、新興宗教の宣伝などにも利用される。

最近では、アーレフの代表だったものの、脱会し、新団体を設立した上祐史浩氏がmixi(ミクシィ)に入会したことで、新団体への勧誘をするかどうかが関心の的になり、監視コミュニティもできている(上祐氏本人は、mixiでは勧誘しないと日記で書いている)。
 
さらに、mixi(ミクシィ)は出会い系サイトなのか。といったことも言われるようになってきている。mixi(ミクシィ)は、ウェブ恋愛のきっかけにもなる。日記のやりとりやコミュニティへの書き込み等で意気投合したり、コミュニティのオフ会で出会って恋愛に発展するケースが増えている。

仕事や趣味、年齢などがはっきりしている分、相手に対する興味を抱きやすい。顔を見なくても、感情移入をしてしまうこともあり、恋愛感情を抱きやすい面がある。
 
一方、そうした面が勘違いを呼び、事件に発展するケースもある。mixi(ミクシィ)で知り合い、意気投合し、女性を自宅マンションに連れ込み、暴行しようとしたことで慶応大学の学生(21)が逮捕されたケースがあった。
 
実名的な関係で安心だとの評判で広がったmixi(ミクシィ)。普及したが故に、匿名的なネットワークになったというのは皮肉なことだ。所詮、ネットはネットということなのだろう。だとすれば、その匿名的な関係の特質を理解して、利用しなければならないのは言うまでもない。
 


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