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宣伝効果は絶大 スポーツ広告の革命児レッドブル

<記事概要>

カナダケベック州ケベックシティで開催された『クラッシュド・アイス』は、今年は観客動員数75000人を記録した。主催したのは、エネルギードリンクを製造販売するレッドブル。このアイスホッケーとボーダークロスと滑降をミックスしたようなスポーツは、レッドブルが広告のために考案したスポーツイベントだ。
 
その宣伝効果は、一般ニュース、スポーツハイライトなど世界中で数億人が何らかの形でこのイベントを目にしただろうと推測されることから、絶大なものがある。
 
スポーツ広告というコンセプト自体はさほど目新しいものではないが、一般の若者が参加できるスポーツイベントを新たに作るという手法は、若者やスポーツ愛好家をターゲットにしているこの種のドリンクメーカーにとっては、パーフェクトな企画だった。

(2007年3月9日 Vancouver Sun)
Vancouver Sun:
BC州で最も発行部数の多い一般紙。徹底した地域密着型の内容に定評がある。


<解説>

スポーツ広告といえば、球場や競技場に広告看板を立てるかテレビ中継でのコマーシャルが主流である。NFLチャンピオンシップのスーパーボールはその最も成功した例と言えるだろう。1年に1度のこの大イベントは試合そのものよりも、コマーシャルの方が毎年注目されるのである。

しかし、こうした既存スポーツへの広告ではなく、競技自体を企画し、一般選手を世界中から集め開催するというレッドブルの試みは画期的と言える。競技がおもしろければおもしろいほど、メディアの注目を浴び、広告料を支払わなくても世界中に知れ渡る。

メディアの注目度という意味では、この競技をカナダで開催したことは正しかっただろう。このイベントが始まったのは2000年だが、ケベックシティで初めて開催されたのは去年。アイスホッケー命のカナダ人、この競技への関心は他のどの国より桁違いに高いにちがいない。

ゲーム内容を紹介すると、防具を付け、ヘルメットを被り、ホッケー用のスケートを使用した、アイスホッケーと同じ格好の選手が、町の真ん中に設置された全長500メートル、幅3メートルほどの氷が張られた、時には傾斜が45度もあるような激しいアップダウンのコースをひたすら滑走する。

ルールは簡単。滑っても、転んでも、人を押し倒しても、とにかく最初にゴールした者が勝ち。トーナメント方式で勝ち抜いた優勝者は、世界最速スケーターの称号と優勝賞金5000ドルを手に入れる。今年はアマチュア、セミプロあわせて世界から我こそは世界一のスピードスケーターを自負する若者125人が集まった。

カナダでは、このカナディアンの血が騒ぐスポーツをどのテレビ局も、新聞も、コース設置からほぼ毎日1週間以上も紹介していた。いやでも注目度は高くなる。

レッドブルとしても『してやったり』といったところだろう。この会社は他にもさまざまなスポーツのスポンサーをしている。意外とマイナーなスポーツへのスポンサーが多いところに好感が持てる。NASCARや米国サッカーチームのオーナーという顔も持つ。

ところで、レッドブルとは社名だが、 “Red Bull”という商品名でもある。名前からすると何となく男性用精力剤のような感じを受けるが、疲れた心身にエネルギーをチャージするというのがうたい文句の日本でいう栄養ドリンク飲料みたいなもの。

せっかくだから、締め切りに追われて疲れた心と体にエネルギーをと試してみた。味も見た目もオロナミンCみたいな感じ。日本の栄養ドリンクも全く飲用しないので、これがどう効くかはちょっと楽しみだ。

ここまで書いて気づいたのだが、これって結局私もレッドブルの宣伝戦略にまんまと乗せられてしまったということだろうか?

それならついでに「クラッシュド・アイス」の迫力ある映像を紹介。興味がある人はレッドブルのホームページへ。http://www.redbull.ca
 


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