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東国原宮崎県知事独占インタビュー「似非(エセ)の時代は終った」

今回、「旅行新聞」紙上で時の人・東国原英夫宮崎県知事に独占インタビューする機会に恵まれた。数年ぶりに宮崎空港に降りると、真正面でお出迎えするのはオレンジ色の法被(はっぴ)を着た東国原知事の等身大パネル。県庁舎の正面玄関で来庁者(観光客?)をお出迎えするのも、やはり東国原知事の等身大パネル。

パネルだけではない。物産店では、ほとんどの商品に知事の似顔絵がついた土産物が並ぶ。ネーミングも「そのまんま○○」などあやかりものが目白押し。一躍有名になった宮崎地鶏やマンゴーの売れ行きは好調という。

空港内の特設物産展では重さ350グラム以上で、糖度が15度を超える完熟マンゴー「太陽のたまご」が、2つで9500円の値札がついていた。それでも幾つか売れていくのをこの目で目撃した。あちこちの店員に話を聞くと、知事に対する評判はすこぶるいい。

5月のゴールデンウイーク中にも1万人を超える観光客が県庁を訪れた。「県庁が観光コースになっているのは前例がないと思う」(東国原知事)という言葉どおり、東国原氏が知事に就任してから現在までの観光トップセールスによる成果は瞠目に値する。

また、「大手旅行会社のみならず、あまり知られていない遠方の小さな旅行会社からも県庁見学ツアー客が訪れ、正直驚いている」(県庁職員)と、加熱ぶりは今のところ収まる気配はない。宮崎県内に一泊するツアーならば、県は知事の顔写真などをツアーパンフレットなどに使用する許可を出している。

「地域格差」の問題は、全国共通の懸案。高速道路など交通インフラの整備が遅れ、“陸の孤島”と呼ばれる宮崎県にとって、観光客誘致はそう簡単な問題ではない。現実に8年連続で県外からの観光客数は減少している。

「何でもかんでも観光に結び付けていく。どこの県でもやっていないことをやる。これが私の『観光マキャベリズム』の考え方。知恵と創意工夫の戦い」と東国原知事は強調する。

観光ほど「なんでもあり」の産業はない。話題をつくれば、人は自然と集まってくる。理由はなんであれ、訪れる人はみんな観光客なのである。忘れ去られることが観光地にとって致命傷である。

「今はPRの段階だが、大方成功しているかなという感じ。あとはリピーターをどう増やすか。これは私だけではどうにもならない県民総力戦」。知事が先頭に立って話題を振り撒く一方で、観光立県として「おもてなし日本一」も目指す。リピーターが来なければ、息切れする。

東国原知事の考える“おもてなし”とは? まず、足元からできることとして

1.ゴミを拾うこと
2.ゴミを捨てないこと
3.あいさつをすること

――という。至って基本的なことである。

団塊世代の退職で、この年代をターゲットに移住、定住の引っ張り合いが始まっている。東国原知事のセールスの手法はこうだ。「団塊世代に『地方を守ってください』とお願いする。地域力を担うのは、もう団塊世代しかない。あなたたちが日本を救えるのだとお願いする。地域を守ってください。助けて下さいと責任感や使命感に訴えるしかない」。

宮崎県では夏に職員がアロハシャツを着る。「意味がわからない。誰か辞めようって言わないのかな」と首を捻る。「アロハではハワイに敵わない。かりゆしウエアでは沖縄に勝てない。宮崎なら天孫降臨伝説をイメージし、デザインしたシャツを着るのならいいけど。もう、似非(エセ)の時代は終った」。



■関連情報

●ガ島通信 2007/02/08
「東国原知事に学ぶメディアリレーションとメディアリテラシー」
http://d.hatena.ne.jp/gatonews/20070208/1170897808

●TRCデータ部ログ「東国原知事登場!」 2007/04/25
http://datablog.trc.co.jp/2007/04/25134545.html

●J-CASTニュース
 「「ヒマ人では?」の声に 東国原知事ブログで反撃」 2007/05/23
http://www.j-cast.com/2007/05/23007849.html

 


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