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東京ミッドタウン、新丸ビルなど東京ランドマーク雑感

2007年3月に東京ミッドタウンがオープンした。4ヘクタールの広大なエリアに、緑地とオープンスペース、オフィス、店舗、賃貸住宅、ホテル、デザイン関連施設、メディカルセンター、カンファレンスホールからなる新しいスタイルの大型複合商業施設であり、人々の交流拠点として、世界に向けて最先端情報を発信する舞台としても注目されている。

建物の高さも、都内で一番となったが、東京都庁舎や六本木ヒルズ森タワーと違い、ミッドタウン・タワーには展望台は設けられていない。最上階である54階は機械室など施設の維持・管理のためのスペースとなっていて、一般客は入場する事ができない。

注目されている施設としては、ミッドタウン・タワー最上層に位置しているホテル「ザ・リッツ・カールトン東京」や移転してきた「サントリー美術館」などが挙げられる。

東京ミッドタウンの、ターゲットは、中高年の富裕層。イギリスの貴族のライフスタイルをイメージさせるような高級感が売りだ。

ゴールデンウイークには、一日で19万人もの来客があった。しかし、この高級感がただの見せ物に終わらせる危険性も孕んでいる。ゴールデンウイークには、一日で19万人もの来客があったが、観光地巡りの一環として来た人が多かったようだ。


東京ミッドタウンの目と鼻の先にある、六本木ヒルズは、広い年齢層をターゲットにして、もはや東京の新名所となった。

オフィスフロアは、ベンチャー企業の集合体とも言える。IT系のベンチャー企業が成り上がる最終地点として目されてきた。それは、時代の寵児から陥落した、元ライブドア社長の堀江貴文が注目を浴びたことによるだろう。

施設は幅広い年齢層に対応したものが多い。その中でも、テレビ朝日の存在は大きい。子ども連れの家族が、特撮ヒーローのショーなどを見るために、訪れることも少なくない。それだけに、施設の安全面には万全を期してもらいたい。

また、六本木アカデミーヒルズでは、会員制の図書館やセミナーホールもある。このような多様性は、ランドマーク開発先駆者の特権とも言えるだろう。

さらに、六本木ヒルズを開発した森ビルは、満を持して2006年2月に表参道ヒルズをオープンさせた。これは、築年数80年を経過した同潤会青山アパートを取り壊した跡に建設された複合施設である。地下3階から地上3階は国内外の有名ブランドなどが入居。表参道の傾斜にあわせ、床をスロープ状に傾斜させているのが特徴である。

表参道ヒルズのターゲット層は20代のカップル。原宿と渋谷からのアクセスの良さもあり、流行に敏感な層の集客が狙える好立地条件にある。家電からレストランまで様々な施設が入っているが、全てスタイリッシュなコンセプトで統一されている。 

この三つの施設に加え、今年の4月、東京駅前に新丸の内ビルディングがオープンした。「本物を知る大人の男と女」をターゲットにした新丸の内ビルディングは、地下で東京駅に直結し、地下道を通じて丸の内一帯のビル群に行くことができる。

地下1─7階までは、ショッピングフロアやレストランフロアで、現在153店舗ある。9─37階まではオフィスゾーンである。

課題は、オフィス街が閑散となる休日にどれだけ、集客できるかという点である。東京駅丸の内口の目の前、同じ三菱地所の手がけた丸の内ビルディングとは行幸通りを挟んで向かい側にあり、この二つの丸ビルが、丸の内のイメージを変えられるかどうかが、成功の大きな鍵を握っている。

東京における、この4つの都心型複合施設が、共存共栄していけるかどうかは、それぞれの施設のコンセプトが時代の流れに合っているかどうかに深く関わってくる。単に観光名所としての認知にとどまるのであれば、東京のランドマークとしてふさわしくない。おのおのの特色を活かして、生活者を惹き付ける東京のランドマークへと成長することが、関わる産業への良い影響となって表れてくるはずである。


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