スターバックス? イタリアにはありません
イタリア在住ジャーナリスト
●バールのカウンターのカフェ・マッキアート。
一杯80セント(約130円)
その昔、ダウン・タウン・ブギウギバンドの歌に、「スモーキン・ブギ」というのがあった。とにかく朝から晩までタバコをスパスパ吸っている男たちの歌だった。歌詞の全てを覚えているわけではないけど。ま、なんというか、イタリア人のコーヒー好きを見ていると、この歌を思い出してしまうのだ。
イタリア国内の、あるコーヒー焙煎業者の調べによると、1年間のイタリア人1人当たりコーヒー消費量は、カップにして600杯。これは老若男女を見渡し、自宅内外の消費を含めての1人あたり総量。成人1人がバールと呼ばれるコーヒーショップ(そのたいていは立ち飲み)で1日に消費する量は、というと、1.65杯だそうである。
オフィスで働く成人に限って言えば、その2─3倍になるのではないだろうか。実際、筆者も5年ほど会社員をやったが、毎日3─4回、オフィス近くのバールに通ったものだ。
日本の喫茶店で出てくるようなコーヒーカップを想像してはいけない。ほんの二口で空になるくらいの量である。カップも小さい。そのかわりといってはなんだが、濃い。旨い。
さて、会社員生活を振り返ってみる。
朝、出社したら一杯。仲間に誘われて出かける。始業時間は既にはじまっているが、誰かが留守番として残れば問題ではない(ことになっていた)。
10時ごろに一杯。みなで席を離れるわけにはいかないので、交替でオフィスを抜け出す。
外で昼食をとった後、オフィスに戻る前に一杯。
午後4時ごろまた一杯。
一杯を飲みおえるのに2分とかからない。タバコ吸いにとっての一服のようなものだった。イタリアのサラリーマンには、就業後に同僚と繁華街の居酒屋でビールをくいっ、とやる習慣がないので、筆者にとっては大事なコミュニケーションの場であった、といっても許される(はずだ)。
バールでコーヒーをいれ給仕する人は、バリスタと呼ばれる。忙しいときの彼らの働きようには目をみはる。コーヒーだけでも顧客の注文は十人十色。多岐にわたる。それらすべてに迅速・正確に応え、さばいてゆく。
どれだけの種類のコーヒーがあるのか、筆者には数えられない。あえていえば顧客の要望の数だけある。牛乳を泡立てたクリームを添えて(世に言うマッキアート)、とか、眠いからとびきり濃いやつを、なんてもののほかに、リキュールを少し垂らして、とか、大きめのカップに容れて、とか、泡立てクリームにシナモンかけたやつを、いやいやオイラは粉末チョコ振りかけで、などなど。
少し前にネットで拾ったおもしろいフラッシュを、ここで。
「ヨーロッパ対イタリア」というタイトルで、ユーロ諸国とイタリアの、習慣・行動様式の違いをアニメーションにしたもの。作者はミラノ生まれのアニメーター、ブルーノ・ボッツェット。
フラッシュの後半に、イタリアのバール風景が描かれている。その向こうにはもちろん、コーヒー好きの彼らの誇りが垣間見えていることはいうまでもない。
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