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「セールス電話お断り登録制度」への疑問に答える

5月31日に配信したオーストラリアの話題「セールス電話お断り制度に登録者殺到」についての追加情報をジャーナリストの南田様に寄稿していただきました。

─その前にMediaSabor編集部からのコメントを付け加えさせていただきます。

先日、海外ジャーナリスト リレーブログの中の「セールス電話お断り制度に登録者殺到」
http://mediasabor.jp/2007/05/post_113.html
に対して、個人ブロガーのK6(ケイロク)様から下記のトラックバックをいただきました。

「連邦政府ならいいのか?」
http://ameblo.jp/kazuya1017/entry-10035298271.html


下記の南田様からの追加情報にもあるように、オーストラリアの「セールス電話お断り登録制度」の仕組みは、システムによって物理的に事業者からのセールス電話を遮断するものではなく、罰金を科すことによって、迷惑電話を抑制しようとする制度です。

したがって、運用面がどのようになされるのかが、問題になってきます。

電話番号というのは、重要度の高い個人情報の一つです。この制度に登録された電話番号は、政府が管理するのだから、安全、安心と妄信して大丈夫なのか、セキュリティは万全なのかという懸念があります。実存する電話番号が一箇所に集まることで、別のリスクが発生する可能性があることは否めません。

また、事業者が異議申し立てを行った場合、紛争解決策として、通話記録を調べられる可能性があります。これを、プライバシーの侵害と捉える人もいるでしょう。通話記録の確認が本当に、事業者とのやりとりに限定されるのか、という不安もあります。

さて、日本で、この制度が導入されたとしたら、あなたはご自身の電話番号を登録したいと考えますか?

                            ─以上、MediaSabor編集部より

以下は「セールス電話お断り制度」についての執筆者 南田様からの追加情報です。


オーストラリアの「ドゥ・ノット・コール・レジスター」制度は、事業者が随時「セールス電話お断り登録リスト」から最新の情報を入手する必要があり(有料)、リストを無視して登録されている電話番号にテレマーケティング目的の電話をかけた場合、事業者には最高100万オーストラリアドル(約1億円)の罰金が科せられることになります。

システムによって自動的に迷惑電話が遮断されるのではなく、抑制効果を狙っているわけです。

万が一リスト流出という事態になれば、おっしゃる通り、「アクティブな電話番号リスト」になってしまいますね。

日本の経産省も「通信販売の新たな課題に関する研究会」で「ドゥ・ノット・コール・リストは、実在する電話番号のリストを作成してしまう」と懸念したそうです。

アメリカでは、数年前から同様のNational Do-Not-Call List(http://www.fcc.gov/cgb/donotcall/) が導入されており、制度が開始された翌年1年間だけで、苦情件数は約55万件に達したそうです。

苦情が多い事業者に対しては、管轄しているFCCが調査した上で、罰金が科されており、迷惑電話は確実に減っていることが各種調査で明らかになっています。

一方、裁判で制度自体の合憲性が争われたりもしています。
(参考:米国連邦取引委員会(FTC)米国の歴史上最も成功した公共ITプロジェクトの全容  http://www.ciojp.com/contents/?id=00001969;t=18

オーストラリアでは、ACMA(Australian Communications and Media Authority)が苦情を受け付け、警告後も改善されない場合は、起訴される方向です。

管理する側の役割に対する疑問やプライバシー問題を憂慮する声はありますが、苦情が出されたすべての通話に関して政府が把握する権限を持つようになったわけではありません。

少し古いですが、iMiリサーチバンクが行った調査(経済オピニオン「電話セールス」について:http://www.imi.ne.jp/blogs/research/2003/09/post_39.html)によると「セールス電話お断りリスト制度」が日本にもあれば、約80%の人が登録すると答えたそうです。


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