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崩壊した高速道路をわずか半月で修復。その陰にあったボーナス政策。

タンクローリーの横転による火災で、高速道路の高架部分が崩壊するという大事故が起きたサンフランシスコ地区の580号線が、事故から26日で復旧した。シュワルツェネッガー州知事のインセンティブ政策も効き、着工からわずか17日で現状復帰というスピード作業だった。

事故が起きたのは4月29日未明。サンフランシスコからオークランド方面に向かう高速道路580号線東向き車線で、ガソリンを満載したタンクローリーがカーブを曲がりきれずに横転した。車両は炎上、搭載していたガソリンに引火し、炎が60メートル上空まで立ち上った。横転した場所は複数の高速道路が交わる立体交差となっており、橋げた部分の50メートルがそのまま抜け落ちるように地上に崩壊した。

幸いにして日曜日の夜半過ぎの事故だったため、交通量も少なく大惨事には至らなかった。また、火傷を負った運転手は現場から逃げ出してタクシーを拾い、そのまま病院へ駆け込んだため、命に別状はなかった。

現場はサンフランシスコ付近の交通の要所。一刻も早い復帰が待たれていたが、5月24日に開通。このスピード修復は、カリフォルニア州の過去の記録を見ても驚くべき速さだという。

修復工事を担当したC.C.Myersは、1977年に設立された高速道路エンジニアリングと橋工事を請け負う建設会社。1995年に南カリフォルニアを襲ったノースリッジ地震の際に、崩壊したサンタモニカ・フリーウェイを2ヶ月で復旧させたことでも話題になった。

今回は事故当日に州知事が現地入りして現状を視察。緊急宣言を発令して早期復旧を目指すことを約束、入札の結果5月7日にC.C.Myersと修復工事に関する契約を結んだ。当初、同社では開通まで25日間を必要としていたが、結果的にそれより8日早い17日間で全面復旧することとなった。

予想以上に早く進んだ復旧作業の陰にはボーナス政策があった。

当初の工事入札額は86万7075ドル(約1億491万6075円)。だが、C.C.Myersではおそよ250万ドル(約3億250万円)を投じて突貫工事を行った。当然このままでは赤字だが、州政府は請け負い業者との間でインセンティブ契約を結び、5月27日までに工事を終えた場合に限り、500万ドル(約6億500万ドル)を上限に、ボーナスを与える契約を交わしていた。1日工期が早まれば、それだけボーナスも増えていく。この追加金が業者のモチベーションとなって復旧を早めたのはいうまでもない。

こうしたインセンティブ手法はいかにもアメリカらしい。メジャーリーガーでも基本給以外に成績に応じたボーナスを与えるのは一般的。子供の教育でも、良い成績を取れば欲しいものを買ってあげると約束する親は多いと聞く。日本人の感覚からすると何でも金で釣るのはどうかと思う向きもあるかもしれないが、こちらではあまりそうした抵抗感はないようだ。

高速道路が崩壊した現場は、自宅から車で15分ほど走ったところにある。毎日、現場を走りながら復旧具合を見ていたが、抜け落ちた部分に鉄筋で枠をはめ始めてからは、あっという間に現状復帰してしまった。

日頃、仕事が遅くマイペースでしか働かないアメリカ人を嫌というほど見てきているため、今回の件で軽いカルチャーショックを感じたことも確かである。ボーナスを与えればやる気を見せるのか、と。

一方で、あまりの早い工期に、一部からは安全性に疑問を投げかける声もでている。手抜き工事の懸念があるのではないかとの不安だ。しかし工事を管轄した行政側では、「その心配はない」とコメントしている。


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