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ユーロ高でも欧州(ヨーロッパ)旅行人気衰えず 

ユーロ高が続いている。6月14日現在、1ユーロ=163円60銭と最高値圏で推移している。ユーロ高による各業種への影響はすでに取り沙汰されているが、ツアー代金を直撃する旅行業にとっても「逆風」であることには変わりない。

一般的に、海外旅行先の人気にもトレンドがある。今好調な方面は、中国、台湾、香港、マカオなどの近距離のアジアと、遠距離では根強く、圧倒的な人気を誇るヨーロッパ。逆に不人気なのは、米国、ハワイ、グアム、オセアニアなど太平洋方面のビーチリゾート。

好調だからといって、安穏としていられない。テロや内戦などの政情不安、さらに地震、水害などの天災や気象状況、SARS、鳥インフルエンザといった伝染病など、さまざまな要因によって、一夜にして天国から地獄へ反転する世界だ。“ユーロ高”も瞬間風速的に毛嫌いされる性質のものではないにしても、旅行者にとっては間違いなく、マイナスの要素である。それなのに、欧州人気は、ユーロ高を凌ぐほどの高騰ぶりなのだ。

旅行業最大手のJTBの担当者に話を聞いたところ、ツアー販売単価は平均して前年同期比で4%程度値上がりしている。しかしながら、「欧州方面は、2007年度上期(4―9月)は今のところ前年同期比10%の伸び。ゴールデンウイークも5%程度の伸びを示した。ユーロは上がっているが、それをカバーして余りあるほどヨーロッパの需要は強い」という。

ユーロ高によるツアー客減という現象は、数字の上では現れていない。「ただし、現地でショッピングする金額は減っているのかもしれない。かつてはブランドのバッグを買っていたのが、小物入れに変わったり…」。

ヨーロッパ旅行は団塊世代と、60歳以上の高齢層が牽引している。人気1位がイタリア、次いでフランス。上位2カ国で50%を超える。JTBによると、「昨年あたりから中欧が人気となり、最近の際立った傾向としては、東欧、とくにバルカン半島諸国が“旬”で、世界遺産に指定されたクロアチアのドブロブニク旧市街などが人気を集めている。

●旅人のクロアチア:Dubrovnik(ドブロヴニク)、アドリア海の真珠
http://www.tabibito.de/balkan/jdubrovnik.shtml

●弥七の世界遺産写真集  「魔女の宅急便」や「紅の豚」の舞台とも噂された世界遺産「ドブロブニク旧市街」の写真紹介(50枚)と観光案内のサイト
http://www.webvider.com/wwm/yashichi/hr.html

●クロアチア ドブロブニク旧市街へグーグル地図で行ってみよう!
http://googlemaps.blog94.fc2.com/blog-entry-21.html

 
各旅行会社はユーロ高による上昇分を現地ホテルの仕入れなど、さまざまな面で吸収しようとしている。「下期以降もユーロ高が続くようであれば、一定の影響はあるかもしれない。欧州商品は今のところ支持され伸びてはいるが、どこかで限界点がくる。意識しながらさまざまな工夫が必要」と懸念もする。

その反面、楽観的な側面もある。下期(特に1―3月)は一般的に上期に比べてホテルや航空運賃が下降するため、「旅行費用も夏に比べるとかなり下がると思う」と予想する。

ヨーロッパ人気は日本だけでなく、中国や米国でも高まっているため、仕入れもそう簡単ではないはずだが……。「米国人は冬にはあまり欧州には行かないが、日本人は年間を通してコンスタントに訪れる。このため、現地ホテルにとっては日本人マーケットの方が安定しており、有り難い存在」と話す。とくに冬場(11―3月)はホテルの在庫も増え仕入れは楽になる。また、現状では中国人とはホテルのグレードでの競合が少ない。

JTBでは、より個人旅行に近い「フリー型のパッケージツアー」も、「添乗員付きほどは伸びていないが、5%ほど伸びている」という。

とはいえ、「パリのカフェで飲んだコーヒーは、1杯1ユーロくらいのイメージで入ったが、3・5ユーロで570円。昼食に食べたラーメンと餃子は12・5ユーロで2000円を超えた。以前に比して2倍くらい高い皮膚感覚があった」(担当者)と話す。

ユーロ高と欧州人気――という2つの高騰が、まるで二匹の龍のように絡み合い、上昇している構図に見える。


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