Entry

日本人逮捕者も出たドイツG8に対する反グローバリゼーション運動

(記事概要) 

6月6日から8日にかけG8首脳会議サミットが開催されてハイリゲンダム市では、反グローバル化を訴える団体ATTACや、左翼団体によってデモや集会が開かれた。

集会は野党幹部や反核代表らのスピーチ、反戦歌手のコンサートなど平穏なものも見られたが、約2000人の過激派が警官隊に投石をはじめ、警官隊は催涙弾や放水車で応じ、駐車された車が燃焼され、頭から血を流して道に倒れる者、催涙ガスを吸って緊急治療所に運ばれる者の姿が見られた。

また、デモの参加者数は予想を下回り(8万人ほどを予想していた)、25000人が反G8デモに参加していた。

ドイチェ・ヴェレ(Deutsche Welle)※サイトの記事より 2007年6月8日 
http://www.dw-world.de/dw/article/0,2144,2582448,00.html
※ドイツ連邦共和国の国際放送事業体である。ラジオ、テレビ、インターネットでサービス提供をおこなっている。詳しくはWikipedia参照。

 

(解説)

招待国であるドイツ首相アンゲラ・メルケル氏が、世界中のグローバル化に関してポジティブな意見を述べていた今回のG8。これらグローバル化が、貧しい国に富を与え、リスクよりもチャンスを与えるのであること、さらに平和がもたらされ、自由が与えられるであろうことを説いていたのだが、反グローバル派たちは、あくまで反対の姿勢を見せた。

ロシア、アメリカ合衆国、フランス、イギリス、イタリア、日本、カナダ、ドイツのたった8カ国で、全世界のことを決めてしまうと言うことに関する危機感を訴え、G8参加者が主催地ハイリンゲンダム入りするのを防ぐため、まずは飛行場周辺の車道をブロック。彼方此方で集会が開かれ、デモが発生した。

初期には10万人の反対派を見込んでいたドイツ政府は、現地の住人さえ簡単に道を通り抜けられないほどの厳重取締りを行っていたが、やはり状態は悪化。左翼過激派の投石に対して、警官隊が催涙ガスや、放水で対抗。血を流し倒れる者や、燃え上がる自家用車などが報道され、左翼側の暴力的な行為が強調されていた。

今回のこの事態から、メディア側の不自然なほどの暴力の強調報道を批判する姿勢も見られたが、同時に左翼内部で、こうした少数過激派の勝手な行動が批判されてもいたようだ。

主催地郊外においてバリケードを行った「Block G8」が、反グローバリゼーション最大組織である「Attac」に対して批判的な姿勢を見せていたことが、この『ドイチェ・ヴェレ』の取材で明らかにされている。

グローバル化に警鐘を鳴らす態度は大変重要であるが、メーデーにも同様に見られる、お祭り騒ぎのデモがドイツには多い。最後は警官対左翼の図式のみが浮き彫りにされている感が強いのは否めない。インタヴューでイギリス人のデモ参加者が嘆くとおり、「ただ反対している」動きばかりが目に付いた今回のデモ。世界中の人の目にはどのように映ったのだろう。



■関連情報

●オーマイニュース 「世界を騒がす孤高の闘士・ジョゼ=ボヴェ」 2007/05/06
http://www.ohmynews.co.jp/photo/20070506/10808

●人民新聞社 「ヨーロッパの反グローバリズム運動(1)」 2002/06/05
http://www.jimmin.com/2002a/page_017.htm

●レイバーネット 「反グローバリズムの波」
http://www.labornetjp.org/Campaign/20020407globalism

●田中 宇 「世界貿易体制の失効」 2007/06/26
http://tanakanews.com/070626trade.htm

●田中 宇 「WTOの絶望と希望」 2003/09/22
http://tanakanews.com/d0922WTO.htm

●ジャパン・ハンドラーズと国際金融資本
 「アメリカのポピュリストは、なぜ『反グローバリズム』なのか?」 2006/12/21
http://amesei.exblog.jp/4423891

●ジャパン・ハンドラーズと国際金融資本
 「スティグリッツの新刊にがっかり」 2006/10/21
http://amesei.exblog.jp/4044813

●ZDNet Japan blog  2006/11/11
 「BangaloreからBengalooruへ ─反グローバリゼーションに揺れるインド」
http://blog.japan.zdnet.com/iida/a/000659.html

●農協時論 「日本農村の主体形成」 2004/06/17
http://www.jacom.or.jp/ronsetsu/jiron/jiron04/rons102s04061705.html

●イルコモンズのふた 
   「世界は変わりたがっている、変わろうとして発熱している」 2007/06/06
http://illcomm.exblog.jp/5559581

●イルコモンズのふた 「【特講】G8リアルタイム・スタディーズ」 2007/06/02
http://illcomm.exblog.jp/5525273/

●イルコモンズのふた 「食の主権とデザインは誰のものか?」 2007/06/01
http://illcomm.exblog.jp/5525773

 


  • いただいたトラックバックは、編集部が内容を確認した上で掲載いたしますので、多少、時間がかかる場合があることをご了承ください。
    記事と全く関連性のないもの、明らかな誹謗中傷とおぼしきもの等につきましては掲載いたしません。公序良俗に反するサイトからの発信と判断された場合も同様です。
  • 本文中でトラックバック先記事のURLを記載していないブログからのトラックバックは無効とさせていただきます。トラックバックをされる際は、必ず該当のMediaSabor記事URLをエントリー中にご記載ください。
  • 外部からアクセスできない企業内ネットワークのイントラネット内などからのトラックバックは禁止とします。
  • トラックバックとして表示されている文章及び、リンクされているWebページは、この記事にリンクしている第三者が作成したものです。
    内容や安全性について株式会社メディアサボールでは一切の責任を負いませんのでご了承ください。
トラックバックURL
http://mediasabor.jp/mt/mt-tb.cgi/258