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バスルーム3つ以上で、ソーラーシステム設置が義務化(サンパウロ市)

<記事要約>
 
サンパウロ市で新たに建設される予定の約25%の住宅(家とビル)に、ソーラーシステムの給湯機設置が義務付けられた。今年建築予定の44624の建築物のうち、11156が3つ以上のバスルームを有する。これらの建築物に対して、7月5日にサンパウロ市議会で可決された新しい法律によって、ソーラーシステムの給湯機設置が義務付けられた。

新しい法律により、新建築について、3つ以上のバスルームがある住宅、工場、クラブ、ホテル、サウナ、美容外科病院などの商業ビルに、ソーラーシステムの設置が義務付けられた。

ロケーションと、技術上の問題から設置不可能な場所は対象から外れた。例えば、設備を設置する場所がない住宅などが例外となる。この新しい法律は7月4日に公布され、建築規制法にも取り入れられた。

2007年7月12日グローボ紙    http://www.globo.com/

 

<解説>

ブラジルは常に電力不足に悩まされてきた国だ。停電は日常茶飯事で、7月21日にはアマゾン州マナウスの航空交通管制施設で数時間に渡り停電が発生し、米国への旅客機5便がサンパウロの国際空港へ引き帰すという事態も発生している。

エネルギー当局は、徹底的な節電計画を実施している。マイナーなサッカーの試合を日中に行ったり、公共施設の照明を節電タイプに変えたりなどの対応をしている。例えば、電力が不足してくると、ショッピングセンターのエスカレーターが止まったりするのに、ブラジル人はなれっこだ。

ブラジルには2つの原子力発電所と、16の火力発電所がある。また、豊富なウラン資源を利用するべく、3つ目の原子力発電所の、中断していた工事の再開を認めている。しかし原子力発電による電力総量は、国内需要のわずか5%で、80%以上を水力発電でまかなっている。

ブラジルには4つの主要な水力発電のほか、無数の小さな水力発電施設がある。しかし、降水量の不足によって、発電量が大きく落ち込んでいるのだ。「ブラジル・エネルギー計画協会」によれば、81年以来ずっと、発電量は需要を下回り続けているという。雨不足が国内の電力不足に与える影響は大きく、水力に変わるエネルギーの研究が大きく進んでいた。
 
といってもソーラーシステムのみでなく、あらゆるエネルギー開発に力を入れているのが現実だ。実際、現ルーラ政権が誕生してから、石油の自給自足を達成しており、原子力発電の研究も促進されている。また、東北地方では、気候の特性から風力発電も脚光をあびつつある。

近年の地球温暖化への危惧と、エネルギー問題解決、この2つの意図が混ざったのが今回の法律設定といえそうだ。

ソーラーシステムの導入は、当初はコスト高になる。しかしこのタイプのエネルギーはとても経済的で、2から3年分の電気代を払う価格で、ソーラーシステムの設備を買うことができるとしている。

法律で義務化することによって人々の意識も高まり、クリーンなエネルギーへの関心が高まることも期待されている。

 

■関連情報

○ブラジルニュース 「サンパウロにソーラーハウス時代到来」2007-07-13
http://noticias.pokebras.jp/e22417.html

 

<省エネ関連>

○あなたも考えてみよう! 生活と環境 「エコ住宅」2007/08/01
http://team-6.cocolog-nifty.com/life/2007/08/post_bd41.html


○フジサンケイ ビジネスアイ 
 「ランドコム 省エネ住宅で共同実証研究」2007/07/30
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200707300010a.nwc


○Itmedia News  2006/04/22
 「Microsoft、シリコンバレー最大のソーラーシステム導入」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0604/22/news011.html


○家づくり.org ECO対応システム「ライフィニティ」 2007-05-16
http://iezukuri.org/equipment/1354.html


○家づくり.org  「新基準の光熱費ゼロ住宅」2006/04/05
http://iezukuri.org/news/916.html


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