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シリコンバレーのオタクが集まるフリーマーケット

  • 米国在住ジャーナリスト

<記事要約>

毎月第二土曜日の朝5時、シリコンバレーの一角にあるデ・アンザ・カレッジではフリーマーケットの準備が始まる。ここで開かれるのはエレクトロニクス製品を対象にしたマーケット。いかにも土地柄を表している。

このイベントがスタートしたのは1960年代。初めはアマチュア無線愛好家たちがそれぞれの機器を持ち寄り、売買や情報交換をするための場所だった。それがいつしかコンピュータとエレクトロニクスのフリーマーケットとして有名になった。いまでもイベントの運営は地元のアマチュア無線クラブが行っている。

ここに来れば、シリコンバレーで働く真のコンピューターオタク達に会うことが出来る。いまでは大きくなったIT企業の揺籃期に深く関わってきたエンジニア達が、自分でデザインした年代物の製品と、しばらくぶりでご対面することも珍しくない。 

(サンノゼマーキュリー 2007年8月19日)

<解説>

日本のあちこちで開催されているフリーマーケット。アメリカでももちろん盛んだ。週の何日間か、あるいは週末開催などの形で、広大な駐車場や駅前広場などを利用しながら行われる。シリコンバレー地区にもいくつかあり、多くはヒスパニック系や黒人などが主な利用層といった感じが強い。

常設テントを張り、きちんとした店舗として商品を売る出品者もいるが、その一方で、食器や玩具などのガラクタを持ち寄ってブルーシートの上に並べただけのお手軽派も目立つ。別名「スワップミート」の名前で呼ばれることもあるが、この言葉自体が不用品交換会という意味を持つ。

そうした中で、土地柄らしいフリーマーケットとして開催されているのが、「エレクトロニクス・フリーマーケット」。3月から10月までの間、毎月第二土曜日の朝5時から正午まで開かれる。ご近所のフットヒル・カレッジからデ・アンザ・カレッジに場所を移して今年で3年目。ちなみにデ・アンザ・カレッジは地元のコミュニティ大学として有名で、日本人留学生も多数いる。

特徴は、いまではなかなかお目にかかれない製品に巡り合えること。初期型のラップトップコンピュータ、オシロスコープ、電気回路、コンピュータ製品に使われるあらゆる部品が雑然と並んで売られている。出品者は趣味でやっている場合が多いので、商売ベースの値段よりもかなり安く販売する。ここで得た売り上げは、新しい製品を買うための資金となる。

もちろん、eBayのようなオンライン・オークションでも同じ品物を見つけることが出来るだろうが、ここのマーケットで買うほうが相場は安め。出品者自体がそういうオークションを「ぼったくり」と考えていて、フリーマーケットにしか出品しない。

朝7時前には掘り出し物はすでに売れてしまっている。地元のIT企業で働く人々が、職場で使うコンピュータのパーツを買い漁っていることもあるという。コスト節減のために、中古品をフリーマーケットで購入してくるよう会社が指示するケースもあるからだ。ある会社の研究室では、およそ半分近くの設備がこうしたところで入手した中古品だという。

いわばこのフリーマーケットは、シリコンバレーのアキバ的なスポットといえる。オタクを自認する人であれば、こちらに出張したときに是非、足を運んでみたらいかがだろう。

■関連情報

○シリコンバレー地方版 2007/08/16
 「サンノゼフリーマーケット敷地の再開発が認められる」
http://www.kosa-ca.com/cgi-bin/mt/archives/2007/08/post_716.html



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