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ダントツの人気ブロガー&ピン芸人ベッペ・グリッロ(BEPPE GRILLO)がイタリアを変える日

<記事要約>

ダレーマ外相が、こう発言した。
「既成政党を壊すことや、政治家をやりこめることを問題にしているんじゃない。ムダに乱暴なことをしたって何も生み出さないと言っているのだ。いや別にベッペのV-DAYのことを言ってるんじゃないよ。だいたい既成政党なんてとっくにぶっ壊れてるじゃないか。問題は、壊したあとどうやって再構築するのか、なんだ。」

(2007年9月14日付 大手日刊紙ラ・レプッブリカ WEB版より)

 

<解説>

V-DAYとは、今年9月8日土曜日、ピン芸人ベッペ・グリッロ(BEPPE GRILLO)の呼びかけで行われた市民運動だ。Vは、ヴィクトリー(勝利)のVかと思いきや、VAFFANCULOのV。直訳すると「ケツの穴にぶち込まれてしまえ」というところだろうか。とにかく下品な罵り言葉、とだけ言っておこう。 

ベッペはボローニャの広場でパフォーマンスを行い、これに連動してイタリア中の200箇所を超える広場で集会、署名運動が行われた。ボローニャには5万人が集まり、全国で33万人が署名した。

集会の様子は以下で見ることができる。(YouTube映像 04:30)
http://jp.youtube.com/watch?v=JGjMK3e6Uaw
2007.9.8 ボローニャでのベッペ・グリッロ(BEPPE GRILLO)


掲げられたスローガンは三つ。
   1. 有罪が確定した者を議員にするな。
   2. 何十年も議員を続けさせるな。議員の任期は最大2期(10年)まで。
   3. 政党ではなく、議員を選ぼう。

目玉はなんといっても最初のひとつ。ベッペは2005年の6月から「キレイな議会を」と国民に訴えかけてきた。同年11月には、米紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンの一面を使い、有罪が宣告されたのちも議員として留まることのできるイタリア政界の現状を訴えた。該当する議員(当時23名)の個人名を挙げない、という同紙からの条件つきでの掲載ではあったが、イタリア国内で大きな反響を呼んだ。

Basta! Parlamento pulito 「キレイな議会を」のロゴ。

 

2007年6月には、ブリュッセルの欧州議会でも同じことを訴えている。
これがそのときのビデオだ。(YouTube映像 04:08)
http://jp.youtube.com/watch?v=hxv6p5wrBqk


イタリアの政界人から見たら、まさに目の上のタンコブ。外国まで出かけていって恥をさらしているようにしか見えないであろうこのベッペ・グリッロとはどんな人物か。


【ベッペ・グリッロ(BEPPE GRILLO)】

本名ジュゼッペ・ピエロ・グリッロ。1948年、ジェノヴァ生まれ。主に全国各地の舞台で活動し、モノローグの形をとって政治・社会を風刺している。80年代中ごろ、政界に君臨していた社会主義者クラクシをバラエティ番組の中で批判し、テレビ界から追われた。その後政権が変わってもほとんどテレビには出てこない。イタリアで一番読まれているブロガーとしても有名。ブログへの一日のアクセス数は15万から20万を数え、各々の記事には1000以上のコメントが書き込まれる。

V-DAYへの政界での反応はというと、冷めた見方が大勢をしめているようだが、先に挙げたダレーマ外相のコメントを見ても、いたって冷静とはいいがたい。欧州議会からこの先どんな反応が来るかわからないし、何よりも国民の反響が想像以上だったことは認めねばなるまい。

ベッペの活動は、アナログとデジタルの両極端で構成されている、と思う。
すなわち「舞台」と「ネット」だ。大衆にとっては一番なじみの深いはずの「テレビ」という媒体は、ベッペのような人にとっては表現の自由を奪う足かせでしかなかったのだろう。

風刺劇の歴史のあるイタリアの状況を、日本に当てはめるわけには行かない。とはいえ、どうしても期待せずにはいられない。お笑いやバラエティに出ているタレントが、政治の話をしだした途端にイヤミな文化人に見えてしまうのは残念なことだ。お笑いを捨てずに政治を語れる芸人、日本にもあらわれてくれないだろうか。


○ベッペ・グリッロのブログ  http://www.beppegrillo.it/ 

○V-DAY公式サイト
http://151.1.253.1/vaffanculoday/

○9月13日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙の記事。
http://www.beppegrillo.it/immagini/Int_Herald_Tribune.pdf

○ミュージシャンのPVのようなビデオ。(YouTube映像 03:36)
 映画「ニュー・シネマ・パラダイス」をモチーフに政界を揶揄している。
  音楽、映像ともよく出来ている。
http://jp.youtube.com/watch?v=h1986jyBRvo

 


【関連情報】


○ROMAのCAFFE'でおしゃべりを 「V-Day」 2007/09/23
http://blog.goo.ne.jp/macorom/e/b15a4c48757dc5cd1fb3498c538e4e95


○イタリアに好奇心 「ベッペ・グリッロの政治的呼びかけ」 2007/09/19
http://senese.cocolog-nifty.com/koukishin/2007/09/post_b57a.html


○Oggi come oggi 「V-dayその後」 2007/09/18
 (Beppeの呼びかけたV-dayが大成功を納めた後、彼が次に言い出した
  「市民による選挙リスト」について述べられています。)

http://tady.seesaa.net/article/56003525.html


○Oggi come oggi 「やっぱり出てきた原発待望論」 2007/09/14
http://tady.seesaa.net/archives/20070914-1.html


○The hula hoops「イタリアのコメディアン、日本のコメディアン」 2007/07/12
http://blog.livedoor.jp/thehulahoops/archives/51019086.html


○il nostro diario... 「Beppe Grillo」 2006/10/08
http://prunchan.blog78.fc2.com/blog-entry-7.html


○トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera
 「Modernism ーモダニズム展によせて」 2006/06/02
http://jamarte.exblog.jp/2381885/

 

○クロウタドリのニュースな毎日  2007/07/24
 イタリアで『Vaffanculo(くそったれ)』の使用がOKに
http://kuroutadori.blog85.fc2.com/blog-entry-402.html


○ECCOMI!!「くそったれ解禁!?」 2007/07/20
 (ローマに音楽留学中のバイオリン弾きKayのブログ)
http://eccomi.blog93.fc2.com/blog-entry-19.html


○コトノハ  問題:下記の件は○か×か?
 「イタリアでは写真を撮るときVサインは注意すること。
 VAFFANCULOの略なので命の保障はない」
http://kotonoha.cc/no/87596

 

 


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