誰もができる地球半周12週間バスの旅 ─オズバス(Ozbus)のロンドン発シドニー行き─
- オーストラリア在住ジャーナリスト
<記事要約>
12週間の時間の余裕があれば、飛行機や鉄道が嫌いな旅人には、ロンドンからシドニーに行くための新たな選択肢がある。
今日から運行が開始された「オズバス(Ozbus)」の第1便は満席で出発。途中陸路で20ヵ国を通り抜けて、クリスマスに間に合うようにシドニーに到着することになっている。
創業者のマーク・クリーシー氏は、この旅行を環境に優しい地球の横断方法だと語る。料金は10,000豪ドル(約100万円)弱で、旅行者は食料品の買い物やキャンプの設営、日々の雑用などを分担して手伝うよう求められる。
オズバスは、トルコ、イラン、インド、中国、マレーシアなどを通り、アジアからオーストラリアに渡る経路では飛行機が使われる。
2007/9/16 Macquarie National Newsより
<解説>
「新しいバスサービス」という触れ込みではあるけれど、オズバスはバス会社ではなくツアー会社だ。同行するスタッフは、ドライバーが2人にツアーリーダーが1人。9,000豪ドルの料金には、シドニーからロンドン間の片道のバス代に加え、途中使用されるフェリーの乗船料金と12週間の全宿泊費用、それから大半の食費が含まれている。
コスト削減のため宿泊はテントが中心。基本的に食事の準備や片付けなどはみんなで協力して行い、都市部などでゲストハウスやホステルを利用する際の食費は自己負担となる。
約3ヵ月の旅というとたっぷり時間があるような印象を与えるけれど、約24,000キロを84日間で走破してしまうわけだから、1日の平均走行距離は280キロ以上。1週間あたり2,000キロ移動することになる。
ツアーの行程は、ヨーロッパ8ヵ国を10日間、トルコとイランを13日間、パキスタンとインドを15日間、ネパールから中国を通ってラオスまでを9日間、タイとマレーシアを15日間、インドネシアとイースト・ティモールを11日間、オーストラリアを11日間でカバーする。短すぎると思ってしまうのは、元バックパッカーのせいだろうか?
何年も一緒に旅をしたパートナーや、かつて旅先で出逢ったバックパッカーたちにオズバスの話をしてみると、「手元に9,000豪ドルあったら、どこに何ヵ月行く?」と盛り上がるものの、乗ってみたいということにはならなかった。
現地の慣習を尊重しつつ、あらゆることを常に100%自己責任で選択する自由でタフな旅に魅了された面々だもの、あらかじめルートの決められた「グループ・アドベンチャー・ツアー」を窮屈で物足りないと思っても仕方がない。1日100豪ドルの予算があれば、バックパッカーとしてはかなりゼータクな旅ができるというのも共通の認識だ。
それでも、多くの体験志向型旅行者にとって、オズバスは魅力ある選択だと思う。謳い文句の通り「一生に一度の忘れられない旅」にだってなり得る。
陸路で大陸を縦横断するハードルは決して低くない。個人で行くなら、情勢が刻々と変化する中、常にアンテナを張り続け、信頼できる情報を得て、流動的な国境越えの要素を検討し、たとえ公共交通機関がないところでも移動手段を確保する自信と見通しがなければ、旅は続けられない。
判断を誤れば、命にかかわる状況を招くことだってあるし、時には後戻りする勇気も必要になる。陸路の旅にロマンを感じる人すべてが、そういった現実的な問題を丸ごと受け入れられる、あるいは受け入れたいと思ってるわけじゃない。
その点、オズバスの参加者に求められているのは、「冒険心とたっぷりの遊び心、あるがままの世界を見たいという思いだけ」だ。
9月16日にロンドンを出発した第1便の乗客の年齢層は、下はティーンエージャーの男の子から上は69歳の女性までと幅広く、バックパッカー的な旅行はこれが初めてという23歳の女性、ロンドンで2年間働いていたアデレード出身の30歳の女性看護士、25年間のイギリス暮らしを終えて、故郷のオーストラリアに帰る55歳の男性……と多様なバックグラウンドを持つフツウの人々で構成され、4人に1人は50歳以上なのだとか。第2便には、リタイアして時間ができた60歳と57歳の夫婦が、ヒッピーブームの60年代に描いた大陸横断の夢を果たすために乗り込んだ。
冒険旅行が若者の特権だと思ったら大間違い。ワクワクドキドキでいっぱいの旅はいつだってできる。オズバスだって未知の世界へ旅立つための手段のひとつ。やりたい気持ちがあって、12週間の時間と9,000豪ドルのお金を用意できさえすれば、誰だって陸路で地球を半周できちゃうのだから。
【関連情報】
○Ozbus
http://www.oz-bus.com
○The OzBus Diaries
http://ozbusdiaries.blogspot.com
○MediaSabor 2007/10/09
「若者が旅行に行かない!?」
http://mediasabor.jp/2007/10/post_232.html
▼書評:「12万円で世界を歩く」 下川裕治
○Little Wing 「12万円で世界を歩く」的な旅の魅力 2004/12/07
本の中で、下川裕治さんはこう言っています。「経費を切り詰めることが
旅の目的ではない。だが、金をかけない旅でなければ見えないものがある。」
私はとてもそれに共感してしまいます。お金をかけずその国の人々の目線で
旅をすると、いろんなものを見つけることができます。それはガイドブックには
載っていないものです。私はそんな旅が大好きで、楽しくてしかたありません
http://blog.so-net.ne.jp/my-treasure/2004-12-06
○anyway the wind blows 「12万円で世界を歩く」 2005/08/27
「あの時やっておけばよかったなぁ」と思うことが、色々ある。
ちょっとした勉強や、喧嘩した人に謝る事や、思い切った買い物や…。
その中で、今、一番「あの時やっておけばよかった」と思うのは、
貧乏世界一周旅行だ。
http://blog.livedoor.jp/aonor798876/archives/50038560.html
▼書評:「LOVE&FREE」 高橋歩
○人生旅行記─打ち上げよう、自分だけの花火を─
LOVE&FREE(放浪しちゃえば?)By高橋歩 2005/10/04
「年相応の世間体なんて気にしてたら、自分を小さくするばかり。
人生とは、生まれてから死ぬまでの全ての期間をさすんだ。
人生、男子は一事を成せば足る。いつか、死んじまう日がくる前に、
一回でもいい、一瞬でもいい、命を精一杯輝かせた、でっかい花を咲かそうな。」
http://ameblo.jp/modesty2005/entry-10004826893.html
▼「河本ぼあらの地球はまあるいよ 女ひとり世界一周旅日記」
○『河本ぼあらの地球はまあるいよ』 女ひとり世界一周旅日記の作者ブログ
「ブログはじまりはじまり♪」 2006/04/14
http://voila3.blog27.fc2.com/blog-entry-1.html
▼小田実 「何でも見てやろう」
○BS11広報マン&ウーマン日誌
「小田実氏 死す さあ、何でもやってみよう」 2007/07/31
ブロークン・イングリッシュで堂々とアメリカ人と語りあい、白人女性を
堂々とナンパし、米国のコンフォーミズム(画一主義)を憂い、インドでは
安宿にとまり、アジアについて考える。
http://bs11.mo-blog.jp/kou/2007/07/post_983f.html
○サンセットエヴァーのチャンネル
「何でも見てやろう 小田実の世界」 2007/06/10
「何でも見てやろう」は1961年(昭和36年)、河出書房新社から定価290円で発売された。
留学生時代の著者が、欧米・アジア22か国を歩き回った面白おかしい貧乏旅行記で、
当時のベストセラーだった。困難な場面でも著者は持ち前の楽観主義で乗り越え、
人並みはずれた行動力で世界を駆け巡った。
http://ch12255.kitaguni.tv/e385625.html
○社員ブログ【NNA国際派ヲタクは見た】
「何でも見てやろうというDNA」 2007/07/31
その本が書かれたのは、まだバックパッカーという言葉すら浸透していなかったであろう、
1960年代初頭。フルブライト奨学生として太平洋を越え、米ハーバード大に留学した
小田実氏は、これを機に世界を旅します。その旅行記「何でも見てやろう」はベストセラーに。
そのDNAを受け継いで海を越えた人も数多くいたはずです。「深夜特急」世代である私も
若いころ、背表紙が色あせてしまったこの本を手に取りました。
http://nna.jugem.jp/?eid=1702
○Drupal.cre.jp 2007/06/04
関川夏央、『ある青年作家の帰国─『何でも見てやろう』という精神』
(『砂のように眠る』所収)
http://drupal.cre.jp/node/735
▼書評:「深夜特急」沢木耕太郎
○時代小説県 歴史小説村 「沢木耕太郎: 深夜特急1(あらすじ,ストーリー紹介等)」
http://lounge.cafe.coocan.jp/novels/000816.php
○WinterGarten 「深夜特急(1)沢木耕太郎」2001/07/12
旅行記と言ってもどっかのテレビ局でやったヒッチハイクの旅のように
番組スタッフがついて歩くわけでも、カメラが回っているわけでもない。
何かことが起きても全て自力で切り抜けなくてはならないし、野垂れ死んでも
誰も気づかない危険と隣り合わせの一人旅だ。
http://mamianakissa.blog10.fc2.com/blog-entry-486.html
○ニ河白道、ジャミラ魂60g 「深夜特急/沢木 耕太郎」2006/11/13
学校なり、仕事なり、なにかに属してしまったときに感じる息苦しさは
やがて薄れて日常になるだろう。しかし旅は死ぬまで続くのだ。
その旅が穏やかなものになるか、激しいものになるのかなど誰にも分からない。
ただ、この『深夜特急』を読んでいたあの頃、途中で熱を冷ますようにして
本から顔を上げたときに感じた冷たい空気。あのすぅっと冷静になる感覚を
いつまでも持ち続けていたいと強く思う。あの空気こそが私の旅になにより
必要な情熱であるように思うから。
http://jamilam.blog77.fc2.com/blog-entry-35.html
○soramove 2006/04/16
ベナレスの熱病・沢木耕太郎「深夜特急3インド・ネパール」
シンとした静かな夜に感じた圧倒的な孤独とわけの分らない涙、
日常で流していたら困るけれど、その場所その夜、必然だった。
http://yaplog.jp/sora2001/archive/487
○たぬきの書棚 「深夜特急3・インド・ネパール 沢木耕太郎」2005/10/01
「なんという刺激的な街なのだろう。いったい自分はどのくらい
この町にいたら満足するのだろう・・・。」沢木氏はガンジスのほとりで
死んでいくたくさんの人間たちを見た。
http://blog.livedoor.jp/tanu_pi/archives/50006707.html
○funkin'forHONGKONG@blog
『深夜特急1 香港・マカオ』沢木耕太郎 2007/01/22
香港行きに備えて、いろいろと準備しているのだが、今回はマカオにも
行きたいから、 何か資料があるといいんだけど…と思っていたら、
沢木耕太郎さんの『深夜特急』がかなり前に読み途中のまま放り出していたのを
思い出した。いまさらかよーって思ったんだけど、久々に読みたくなったので、
最初から6巻まで読むことにした。
http://funkin4hk.tea-nifty.com/f4hk_blog/2007/01/post_91d0.html
○未来の成功のためのレッスン
「貧乏旅行のバイブル 深夜特急 沢木耕太郎」 2005/07/17
この旅を通して得た沢木氏の独特の視点、感性はその後の創作活動の中で、
自分の”なぜ”にこだわり、思考・行動するスタイルに大きな影響を与えて
いると思う。中学生から社会人までぜひ読んで、旅にでてほしいと思う一冊である。
http://kaz0775.cocolog-nifty.com/kaz0775/2005/07/post_9bd7.html
○音楽こそすべて 「深夜特急1─6 / 沢木耕太郎」 2007/08/23
単純に、旅行記として読んだとして、非常に楽しめます。様々な土地で出会った人や
建造物、またそこで起こった出来事を、その情景が浮かんでくるような的確な表現が
なされていると思います。難しい言葉は使わず、淡々と正確に描写がなされているのは、
非常に読みやすいです。
http://ameblo.jp/a0024519/entry-10044403533.html
▼オズバス(Ozbus)のロンドン─シドニー間 バスツアー
○エキサイトニュース
「豪旅行会社、シドニーとロンドン間のバスツアー開始」2007/09/18
http://www.excite.co.jp/News/odd/00081190091092.html
○クロウタドリのニュースな毎日
「豪旅行会社、シドニーとロンドン間のバスツアー開始」2007/09/18
http://kuroutadori.blog85.fc2.com/blog-entry-452.html
○Mercedes-Benz & German News
「ロンドン シドニー バスツアー」2007/05/27
http://br203.blog91.fc2.com/blog-entry-165.html
- いただいたトラックバックは、編集部が内容を確認した上で掲載いたしますので、多少、時間がかかる場合があることをご了承ください。
記事と全く関連性のないもの、明らかな誹謗中傷とおぼしきもの等につきましては掲載いたしません。公序良俗に反するサイトからの発信と判断された場合も同様です。 - 本文中でトラックバック先記事のURLを記載していないブログからのトラックバックは無効とさせていただきます。トラックバックをされる際は、必ず該当のMediaSabor記事URLをエントリー中にご記載ください。
- 外部からアクセスできない企業内ネットワークのイントラネット内などからのトラックバックは禁止とします。
- トラックバックとして表示されている文章及び、リンクされているWebページは、この記事にリンクしている第三者が作成したものです。
内容や安全性について株式会社メディアサボールでは一切の責任を負いませんのでご了承ください。