Entry

すでに三大作物の大半が遺伝子組み換え作物(GMO)─消費者意識とは裏腹に市場浸透が拡大する理由

<記事要約>

遺伝子組み換え食品が米国市場に浸透しているという調査結果が出た。ワイヤード・ネットによると、米国の3大作物である、大豆、トウモロコシ、綿花において、大豆は9割ほど、トウモロコシと綿花は5割以上が遺伝子組み換え食品であるという。(資料:米国食品医薬品局(FDA))遺伝子組み換え食品が浸透する一方で、消費者は遺伝子組み換え食品に対して大方が賛成を示しているわけではなく、賛否両論渦巻いている。

(Wired Sience2007年 9月11日)
http://blog.wired.com/wiredscience/2007/09/monsanto-is-hap.html



<記事解説>

遺伝子組み換え作物(GMO:Genetically modified organism)は、1996年からアメリカで開発されて以来、年々市場に浸透してきた。遺伝子組み換え作物を開発し、栽培している代表企業は米国モンサント社。ワイアード・ネットによると、モンサント社の株はここ5年間で700%を越えて上昇しており、2006年の純利益は6億9000万ドルになるという。

一方、遺伝子組み換え食品の躍進にも関わらず、消費者は、健康や環境に悪影響があるのではないかと不安を抱く人もいる。特にキリスト教信者には生命倫理の問題に関わるとして反対している人が多い。IFIC(International Food Information Council)が行った調査では、バイオテクノロジー応用食品に対する意識の回答結果は、賛成32%、中立33%、分からない18%、反対17%であった。

関連情報:
http://www.ific.org/research/upload/2006%20Biotech%20Consumer%20Research%20Report.pdf


遺伝子組み換え食品(GM商品)の市場浸透がかなり進んでいる割には、消費者はまだ、それを完全には受け入れていないようだ。少なくとも大歓迎という感じではい。

では実際の市場で、消費者の意識とは裏腹に遺伝子組み換え食品(GM商品)が浸透しているのはなぜだろうか。大きな理由は、モンサント社の遺伝子組み換え食品(GM商品)は、消費者への販売ではなく、ほとんどが企業間取引だからだ。モンサント社は一般の消費者ではなく、とうもろこしや大豆の種を購入する農業関系者との取引を主体とする。そのため消費者は、GM作物かどうかを取り立てて気にする機会はない。さらに、今のところ米国市場では、食品が遺伝子組み換えであるかどうかの表示義務はない。そのため、消費者が食品を購入する際に遺伝子組み換え食品(GM食品)かどうかは分からないのだ。

しかもGM作物は加工品に使われたり、食用家畜の餌になっている場合が多い。遺伝子組み換え食品反対者にとっては大変悲しい話だが、GM食品を避けて通るのはなかなか難しい。

消費者側も科学的な知識不足による、GM作物に対する誤った理解があることを指摘されている。知識をつけ、賢くなることが大切だろう。少なくとも、遺伝子組み換え食品(GM商品)の市場浸透率が拡大していることや、間接的に口にしていることくらいは分かっておきたいものだ。



 

【関連情報】

○オーガニックとヨガライフ in オーストラリア 2007/09/26
 「遺伝子組み換え食品の真実」知って驚くびっくり事実!?
http://lifeorganic.blog102.fc2.com/blog-entry-112.html


○ふろむ・あーす 地球日記(New!) 2006/11/25
 「危ない! 遺伝子組み換え食物、表示がうそ!」
http://blog.from-earth.net/?eid=483705


○エコナコトセレクト 新製品情報ブログ
 【坂本龍一氏も愛用】トゥルーフード・ガイド 2007/09/15
http://www.econakoto.net/product/article/66


○いきいきロハスライフ!
 「トゥルーフード・ガイド」もらってみませんか? 2007/03/08
http://blog.lohas-life.jp/?eid=638741


○素食な生活 「トゥルーフードガイド」 2006/12/07
 グリーンピースジャパンが,「遺伝子組み換え食品」を使っていない食べ物を
 リストアップしてまとめたガイドを無料で、配布してくださっています。
http://blog.livedoor.jp/aquarius373/archives/50669779.html


○WIRED VISION / ニュースアーカイブ 2004/05/24
 「遺伝子組み換え訴訟:カナダ農家、最高裁でもモンサント社に敗訴」
 米モンサント社調査員が、自社で特許を保有する遺伝子を持つカノーラを、シュマイザー氏の
 農地で発見したのが発端となっている。シュマイザー氏は自分の農地に風で飛ばされてきた
 種が気づかないうちに交雑したのだと一貫して主張してきた。しかし最高裁は原告側の主張、
 シュマイザー氏がモンサント社の種を盗用したという主張を支持した。
http://wiredvision.jp/archives/200405/2004052405.html


○WIRED VISION / ニュースアーカイブ 2005/01/17
  モンサント、遺伝子組み換え作物「不正使用」で農家を次々と提訴
http://wiredvision.jp/archives/200501/2005011705.html


○遺伝子組み換え作物緊急講演会 報告 2003/07/05
 「広がる種子の汚染!! ─カナダの生産者 シュマイザーさんに聞く─」
 モンサント社の契約書は農家が持っている権利をすべて奪う。自分の種を使ってはいけない。
 毎年モンサント社から種を買わなければならない。農薬もモンサント社からのみ買わなければ
 ならない。
http://jikyuu.net/forum/2003/0705.shtml


○空飛ぶ教授のエコロジー日記 「モンサント・ポリス」 2005/02/26
http://d.hatena.ne.jp/yahara/20050226/1109347500


○日日不穏日記 「“モンサント・ポリス”異聞」 2005/07/10
http://black.ap.teacup.com/niwatori/605.html


○ROMANIA-JAPAN (ルーマニア情報) 2007/09/29
 「ルーマニア:遺伝子組み換え作物、発覚するが放逐されず」
http://paula.seesaa.net/article/57835383.html


○[ EP: end-point 科学に佇む心と身体 Pt.2] 2004/01/28
 「遺伝子組み換えと猫が小さくなった理由の科学」
 遺伝子組み換えに気持ち悪さを感じない、何が問題なのかよくわからない、
 でもけっこうイイモノじゃないか、という。アメリカにはこのノリが多い。
http://ep.blog12.fc2.com/blog-entry-727.html


○billabong  「安心して食べたい!」2007/06/11
http://www.mypress.jp/v2_writers/wallaby97/story/?story_id=1618685


○shuwary blog 「遺伝子組み換えの稲(イネ)栽培中止を求める動き」2005/05/04
http://www.shuwary.com/blog/archives/000145.shtml


○Mangiare!Cantare!Pensare! 「遺伝子組み換えイネの栽培実験」2004/04/19
http://hideyukihirakawa.com/blog/archives/200404/190528.php


○風のたより…マイホームラボ自然食品館
 「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」  2007/01/12
 これまで遺伝子組み換え食品というと、作物や、微生物につくらせる食品添加物
  だけだったが、範囲が広がり家畜や魚・昆虫にまで及ぶことになる。すでに多くの
  GM動物が開発されている。
http://myhomelab.blog72.fc2.com/blog-entry-78.html


○馬事南風の本棚 「遺伝子組み換えメダカ」 2006/02/05
http://nanpoohdou.way-nifty.com/books/2006/02/post_e4b1.html


 

 


  • いただいたトラックバックは、編集部が内容を確認した上で掲載いたしますので、多少、時間がかかる場合があることをご了承ください。
    記事と全く関連性のないもの、明らかな誹謗中傷とおぼしきもの等につきましては掲載いたしません。公序良俗に反するサイトからの発信と判断された場合も同様です。
  • 本文中でトラックバック先記事のURLを記載していないブログからのトラックバックは無効とさせていただきます。トラックバックをされる際は、必ず該当のMediaSabor記事URLをエントリー中にご記載ください。
  • 外部からアクセスできない企業内ネットワークのイントラネット内などからのトラックバックは禁止とします。
  • トラックバックとして表示されている文章及び、リンクされているWebページは、この記事にリンクしている第三者が作成したものです。
    内容や安全性について株式会社メディアサボールでは一切の責任を負いませんのでご了承ください。
トラックバックURL
http://mediasabor.jp/mt/mt-tb.cgi/412