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クラブは冬の時代へ突入か? 夜遊びの新しい主役“音バコ”続々誕生(最新東京ナイトシーン事情)

 東京のナイトシーンがいま大きな転換期を迎えようとしている。
全盛を誇っていた夜遊びの王者“クラブ”、“ディスコ”の衰退だ。
数千人規模の大バコが相次いで閉店しているのである。

 トランスやパラパラなどのブームの火付け役となり、13年間という長きに渡り
営業を行っていた大型クラブ「ヴェルファーレ」が昨年末に惜しまれつつ閉店。
運営するレコード会社のエイベックス関係者によると「音楽やダンスの発信基地
としてのその役割を十分に果たした」との理由だ。

 さらに週末多い時には約3000人という都内で1、2位の集客力を誇っていたクラブ
「ヴァニラ」もビル立ち退きに伴い、3月末でクローズした。また同時期に
30から40代の大人の層を集客していた80年代の復刻ディスコ「キサナドゥ」も
賃貸契約終了ということで閉店している。

 しかし新しい風も吹きはじめている。クラブの衰退と入れ代わるように続々と
オープンしているのが“音(おと)バコ”である。音バコとは、ラウンジやサロン、
DJブース併設のレストランバーなど音楽に浸れる空間(ハコ)の総称である。

 クラブやディスコのように踊ることが目的ではなく、シャンパンや美味しい料理と
共に音楽を自然な形で楽しむ、まさに夜遊びの新しい形といえよう。かならず
専属DJがいて、その時々の雰囲気に合わせてゴキゲンな音楽をプレイしてくれるのが
特徴だ。

 音バコオープンラッシュの先陣を切ったのが5月10日、六本木にオープンした
「ニューレックス エドゥ」だ。同店は『日本に一番最初に音バコを持ち込んだのは
黒船とペリー提督だった』というユニークなコンセプトをもとに空間化。和風の
エントランスと洋風のフロアといった和と洋の混在した空間に仕上がっている。
店名は江戸時代のEdoからつけられた。

 同店の最大の特徴はその客層の良さである。コレクションやファッション雑誌などで
活躍する外国人のトップモデルなどお洒落な外国人客が多い。全体の7割以上が
外国人客という時もある程だ。また来日しているハリウッドスターや
海外ミュージシャンが数多く来店するのも大きな魅力。遭遇率も高い。先日も
F1のアフターパーティが盛大に行われたばかりだ。

 続いて7月6日に銀座にオープンを果たした音バコが、複合飲食店「砂漠の薔薇」だ。
プロデュースは「キツネ」をはじめ「アフリカ」や「オービエント」など常に話題の
店舗を展開してきたオペレーションファクトリー。

 素晴らしいのはその内装。シックの中にもラグジュアリーさを感じさせる上品な
大人の空間に仕上がっている。200坪の空間に趣が違う4つの空間(スタンディングバー、
オリエンタル・ダイニング、ソファ・ラウンジ、ハイエンド・カラオケ)を配置した。
毎週金・土曜日22時からはラウンジイベントを開催。クラブ層のお客の取り込みも図る。
料理はイタリアンをベースにアジアンテイストをフュージョンしたオリエンタルイタリアン。
食材や盛り付けにもこだわっており、グルメ通の人気も集めそうだ。

 8月31日には六本木にインタラクティブダイニングラウンジ「A.I TOKYO」が
開店した。総面積400平方mの広い空間には、デコレーションされた大きなバーカウンター
を中央に設置。テーブルごとに段差をつけることによって横に広がる劇場型の空間を実現した。

 4つのプライベートルームとカラオケも可能なパーティルームも併設。これらの個室では
“しゃぶしゃぶ”も楽しめる。またパーティルームでは、マージャンまでできるそうだ。
音響は小さなスピーカーで大型スピーカーと同様の音が実現できる超高性能の
3D小型スピーカー(ドクタースリー)を採用。クラブ並の音響のクオリティの高さを誇る。
料理は世界の味覚に日本独自の感性を取り入れたという“インターナショナルキュイジーヌ”
を提供。全国各地から取り寄せた新鮮食材やオリジナルスパイスを使用した食事が食べられる。

 クラブやディスコを卒業したお洒落な大人たちの溜まり場になりつつある“音バコ”。
クラブと並ぶ新しい夜遊びのカテゴリーになるのはどうやら間違いなさそうだ。

 

■ニューレックス エドゥ


スタイリッシュな店内。外国人客が多いので英語の勉強を兼ねて出掛けてみては? 
週末は混雑しているので平日が狙い目

●店舗データ
東京都港区六本木3-13-14-B1F
TEL:03-3479-7477
最寄り駅=東京メトロ日比谷線・都営大江戸線六本木駅徒歩3分
営業時間=22:00から7:00(日曜日のみ21:00から5:00)
システム=男性4000円/3コイン・女性3000円/3コイン
1コインで1ドリンクor1フード
休み=無休
席数=110席

 

■砂漠の薔薇  http://www.sabakunobara.jp/index.html


五感を刺激するラグジュアリーな店内。妖艶な雰囲気を醸し出す壁面のグラフィック・アートが
ひときわ目を引く。


●店舗データ
東京都中央区銀座2-3-6 銀座並木通りビル6F
TEL:03-5159-7200
最寄り駅=JR山手線「有楽町」駅中央口より徒歩6分、東京メトロ
丸の内線・日比谷線・銀座線「銀座」駅C8出口より徒歩3分
東京メトロ有楽町線「銀座一丁目」駅5番出口より徒歩3分
営業時間=18:00から5:00
システム=伝票制 サービス料10%、カラオケ個室ルームチャージ15000円/2時間
ラウンジイベント:男性4000円/2ドリンク、女性3000円/2ドリン
ク ※ドリンクキャッシュオン、VIP伝票制
休み=日曜日
席数=150席

 

■A.I TOKYO  http://www.ai-tokyo.jp/#


同店のアイコンにもなっているのが中央のライトアップされたスタンディングバー。
美人バーテンダーが手際良くカクテルを作ってくれる。


●店舗データ
東京都港区六本木3-17-10 DUPLEX TOWER B1
TEL:03-5549-9881
最寄り駅=東京メトロ日比谷線・都営大江戸線六本木駅徒歩5分
営業時間=ダイニング17:30から22:00、インタラクティブ22:00から5:00
システム=平日:男性2500円/2チケット・女性1500円/2チケット、
週末:男性3500円/2チケット・女性2500円/2チケット
休み=月曜日
席数=135席

 


【関連情報】

○クラブミュージック初心者ガイド
http://members.jcom.home.ne.jp/sinewaves/guide/index.htm


○既存音楽ジャンルはやわかり講座 Part V(山形浩生)
http://cruel.org/other/dancemusic/dancemusicj.html


○クラブミュージック&ダンスミュージック:traksy
 株式会社ヤマハミュージックメディアが運営するクラブミュージック/ダンスミュージックの
 情報サイト。テクノ/ハウス/エレクトロニカ/ヒップホップ/トランス等のディスクレビュー、
 イベント/パーティーレポート、 インタビューを掲載。
http://mysound.jp/electronica/


○クラブイベント/ダンスミュージック情報:クラベリア(clubberia)
http://www.clubberia.com/


○DJ MIZUTA 衣食住音
 「ディスコ vs クラブ (最終回)」 2006/11/19
 21世紀のクラブはどこに向かうのか?
 '90 年代のスタンスに立ち返り、アンチ・ディスコ路線を推し進めるのか、
 逆にディスコから良い部分のみを吸収し、よりパワーアップしてくのか、
 はたまた、21 世紀のライバルはラウンジ? コンサート?  いずれにせよ、
 多様化したダンスの形態で描かれた鮮やかなブロックチェックを想像してみるべきだ。
 その俯瞰視点の中に未来へのヒントが必ず隠れていると思う。「クラブ最高!」と
 のんきに言っていられる時代は、もう終わっている。
http://blog.livedoor.jp/djmizuta/archives/851125.html


○ITmedia News  2007/08/30
 「3万曲のクラブミュージックをブログパーツで」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0708/30/news106.html


○BMW E60 Blog 2006/11/09
 自分のブログにクラブミュージックのBGMを流すツール発見!「fogma」
 ※アクセスすると音楽が流れますので、注意。
http://europeanfootball.blogzine.jp/bmw/2006/11/bgmfogma_276b.html


○福田淳 タブロイド007
 「クラブミュージックがサントラになるとき」 2005/11/13
http://tabloid-007.com/archives/50192150.html

 

▼店舗情報

○斉藤ヤスカ 公式ブログ ブログofヤスカ族
 「クリスマスイベント準備中(≧_≦)/」 2007/10/13
 今年もついにクリスマスイベント(ファンミーティング)の準備が着々と進んできて
 います(≧_≦)/  六本木のど真ん中にリニューアル・オープンしたA・I Tokyo,
 赤と黒・ゴールドで演出された会場はちょっぴり大人な雰囲気で去年とはまた違った
 クリスマスになりそうです(≧_≦)/
 応募の締め切りは10月25日になります。会えるのを楽しみにしています! 
 詳細・お申し込みはこちら →http://biz.knt.co.jp/tts/
 または近畿日本ツーリスト(株)03-3341-2411
http://www.junes.co.jp/yasuka/2007/10/post_464.html


○飲食業の虎 際コーポレーション社長 中島武 公式ブログ 2007/06/29
 銀座にできた新しいお店のレセプションに行く。「砂漠の薔薇」というお店。
 スティルフーズの鈴木さんが、オペレーションファクトリーとコラボして立ち上げた。
http://www.restaurants-news.com/nakajima/2007/07/629_9902.html


○銀座経済新聞 2007/06/16
  銀座・並木通りに200坪の「マルチコンプレックスラウンジ」(砂漠の薔薇)
http://ginza.keizai.biz/headline/418/


○フードスタジアム 2007/05/30
  スティルフーズ×オペレーションファクトリー“異色のコラボレーション”。
  200坪の複合エンターテインメント施設「砂漠の薔薇」銀座2丁目に7月オープン。
http://www.food-stadium.com/headline/523/index.html


○六本木経済新聞 2007/05/14
「六本木にNYスタイルのモダンチョップハウス・レストラン」
 店舗名:57(フィフティセブン)
「チョップハウス」とは、肉や魚を骨付のまま切り、グリルして提供するステーキハウスが
 原型と言われ、同店は「チョップハウス」を現代風に洗練させ、アレンジしている。
 店名はニューヨークの57番通りから名付けた。ターゲットは30代以上のビジネス客。
http://roppongi.keizai.biz/headline/957/index.html

 

▼書評、DVD評

○小鳥ピヨピヨ 2005/05/07
 「マエストロ グローバルDJカルチャーの黎明」
 「マエストロ」は、ドキュメンタリーフィルムです。何のドキュメンタリーかというと、
 ハウスミュージックのはじまりと、そこから派生した「DJを中心とする世界的なクラブカルチャー」
 の起源に関するドキュメンタリーです。
http://coolsummer.typepad.com/kotori/2005/05/dj.html


○sorae.jp 「エキゾ小宇宙日々精進 Vol.2」2005/12/09
 沖野修也さん著の書籍
 『DJ選曲術・何を考えながらDJは曲を選びそしてつないでいるのか?』
  に出会った。これが、プロのDJがどうやって曲を選んでいるのか論理的に記した
 選曲論から、12名の各ジャンルを代表するDJのミックスCDを教材にプロの選曲を
 緻密に分析した世界初とも言える選曲メソッドまでが詰まった画期的な本だった。http://www.sorae.jp/0228/967.html


○山の生活 「DJはいかにして選曲をおこなうのか?」 2006/08/22
 KYOTO JAZZ MASSIVE(KJM)の沖野修也さんが執筆した本です。選曲においては曲の
  前後関係が重要になってくるそうです。いくら著名な曲を並べても前後関係が
  全くなければプツンっと切れた感じになるので。
http://kymy.at.webry.info/200608/article_21.html


○SINGSTYRO musicblog 2006/11/25
 「ブラック・マシン・ミュージック / 野田努」
  野田努というオトコの、デトロイト・テクノに対する造詣と愛情の深さ
  は比類なきほどに深遠である。圧倒的なボリュームはもちろん、細部まで取材と
  洞察の行き届いた本書を読みそう強く思った。
http://under.moo.jp/singstyro/archives/000847.html


○関心空間 「ブラック・マシン・ミュージック」2002/06/14
 「ディスコはドラッグであり、消費の快楽だ。そこにはなんの生産性もない。
  それはディスコが世間から大バッシングを受けた理由のひとつではあるだろう。
  が、それだけではない。ディスコのルーツがゲイ、それも黒人やヒスパニックに
  あったことも反ディスコ感情の根底の多くを占めていた」
http://www.kanshin.com/keyword/120394


○渋東ジャーナル(作曲家/音楽家 ヲノサトル 責任編集) 
 [ダンス]DJバカ一代  2007/08/20
http://d.hatena.ne.jp/WONO/20070820


○Smokers Delight 「高橋 透 DJバカ一代」 2007/04/04
http://blog1.musicfield.jp/du_ds5/archives/2007/04/_dj.html


○The art of farming 「DJバカ一代 」 2007/05/06
http://itayan.blogzine.jp/the_art_of_farming/2007/05/post_b098.html

 

▼映像集

○Wattstax (ワッツタックス1973) movie trailer(YouTube映像 02:14)
 1972年8月20日、ロサンジェルスの「メモリアム・コロシアム」に
 名門レーベル“スタックス”の所属アーティストが集結し、大規模な
 野外コンサートが行われた。
http://jp.youtube.com/watch?v=ZIP4E3cKY9o


○Standing in the Shadows of Motown(YouTube映像 03:41)
  映画「永遠のモータウン」:DVD化されています。
http://jp.youtube.com/watch?v=Vg8p2CsmU6Q


○The Four Tops Tribute(YouTube映像 03:03)
http://jp.youtube.com/watch?v=Le8xJlhZAGA


○Coyote Ugly(コヨーテ・アグリー) Dancing Only(YouTube映像 03:40)
  ニューヨークのイーストビレッジに実在するクラブにインスパイア
 されて作られた映画
http://jp.youtube.com/watch?v=F_hBAcOsIQg


○Grand Opening, Coyote Ugly-Coco Walk(YouTube映像 03:06)
http://jp.youtube.com/watch?v=LkhcxbU9vFI


○RIZE MOVIE TRAILER(YouTube映像 02:02)
http://jp.youtube.com/watch?v=0efEID-uCtE


○Vexille 2077日本鎖国 Trailer Long version(YouTube映像 03:26)
 ダンスミュージック・ファン必聴、映画「Vexille」(ベクシル)―2077日本鎖国―」
 『APPLESEED』のプロデューサーであり、映画『ピンポン』の監督である曽利文彦が、
 ハイテク技術を駆使して鎖国を強行した未来の日本の姿を描く話題のCGアニメ映画
http://jp.youtube.com/watch?v=65QYTQ6l52A

 

▼MUSIC SHELF 「プレイリストから新たな音楽を発見する」
 
○「ディスコ世代に聴かせたいハウス10曲」
  selected by 高橋透(GODFATHER)
http://musicshelf.jp/playlist/552854


○「Keep on dancin' 私を踊らせ続ける曲」selected by Mel Cheren
 <ザ・ロフト>、<ギャラリー>、<セイント>、<パラダイス・ガラージ>……
 いくつもの伝説のクラブのダンスフロアで、数え切れないほどたくさんの曲を聴いてきた
 メル・シェレンさんに、その中でも特に思い入れのある、特別な曲を選んでもらいました。
http://musicshelf.jp/playlist/552853


○「昔SOUL BARで聴いていたレコード10枚」selected by DJ NORI
http://musicshelf.jp/playlist/552856


○「簡単に手に入るのに見過ごされている名曲」selected by Theo Parrish
 DJがプレイする曲なんて、12インチでしか出ていないレアなものばかりかといえば、
 そうとも限らない。確かな耳さえあれば、どこからでも宝物は見つかるのです!
 そんな宝探しの名人に誰でも手に入れられるのに見過ごされている名曲を紹介して
 もらいました。
http://musicshelf.jp/playlist/552849


○「西海岸ディスコ・クラシックス!!!!」selected by Doc Martin
http://musicshelf.jp/playlist/552855


○「平日の夜を楽しくする曲」selected by 川辺ヒロシ
 普段DJの時にかけている曲を中心にセレクトしたけど、基本的に12インチのアナログレコード
 をかける事ががほとんどで、そういう作品の多くは、残念ながら、滅多にCD化はされない。
 つまり、クラブに行くか、レコードを買うかしないと聴けない曲が多い。今日ここに挙げた
 作品は、幸運にもCD化されて、どこでも聴く事の出来るようになった音楽だ。
http://musicshelf.jp/playlist/552851


○「galleryのステート・オブ・マインド」selected by 長谷川賢司 
http://musicshelf.jp/playlist/552852

 

 


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