世界最大の鉄鉱石メーカー リオドセ社(ブラジル)が株式市場でも躍進
- ブラジル在住ジャーナリスト
リオデジャネイロのリオドセ社ビル
<記事要約>
10月1日、リオドセ社の株式市場価額は、リオドセ社が先週追い越した、ブラジルで2番目の大企業ペトロブラス社(国営石油会社)との差をさらに伸ばし、30億350万レアルに到達した。
この鉄鉱石企業の株は、金属の値段と、来年の契約鉄鉱石の再調整への楽観的見方から、10月1日には6%上昇した。アナリストはさらなる上昇の可能性を示唆している。
サンパウロ証券取引所によれば、ペトロブラス社は、1,9%の伸びで、終値は、29億レアルにとどまった。
第3の企業は、イタウ社(金融機関)で、11億160万レアルである。その後に、ブラデスコ社(金融機関)の10億820万レアル、AMBEV社(飲料水メーカー)の8億650万レアルと続く。
2007年10月1日 ブラジルのオンライン紙「Monitor Mecantil Digital」 http://www.monitormercantil.com.br/index.asp
リオドセ社(CVRD)ホームページ「Companhia Vale do Rio Doce 」http://www.cvrd.com.br/
<解説>
ブラジル鉱業の歴史は、ミナス州での金の採掘から始まる。大規模な鉄鋼床の発見をきかっけに、欧米企業の参入を許し、ミナス州の「ドセ川(リオ・ドセ)」流域に、英国企業イタビラ鉄鋼会社を買収した米国企業が力を持つようになる。その後バルガス政権の下での国際合意を元に、英国がイタビラ鉄鋼会社を買収、ブラジル政府に譲渡。ブラジル政府はイタビラ鉱山をもとに、1942年国営企業リオドセ社を設立した。
95年にカルドーゾ政権の下で、リオドセ社の民営化が発表され、ブラジル最大の鉄鋼メーカー企業を中心とするVALEPARコンソーシアムが、ブラジルの企業グループおよび日本企業グループに競り勝ち、落札した。
現在リオドセ社は、ブラジルを代表する総合資源開発企業だ。鉄鉱石に関しては世界最大の資源会社で、ニューヨーク証券取引所にも上場している。リオデジャネイロに本社を置き、鉄鉱石を中心に、アルミニウム、銅、マンガンなどの資源開発、鉄道、発電も手がける。
2007年第3四半期の鉄鉱石、ペレットの売り上げは、前年同期比9,9%増、2007年1─9月の純利益は前年度同期比23%の増加となっている。株式市場価額は急増を続け、投資が殺到し、ついにブラジル国営石油会社、ペトロブラス社を追い越し、ブラジル株式市場最大の企業へと乗り出したのだ。
最低落札価格14億7800万レアルという大型取引を独占成立させたことも、経済誌の一面を飾ったばかりだ。マラニョン州からトカチンス州を繋ぐ720キロの南北鉄道の競売に、リオドセ社のみが名乗りを上げ、今後30年間の運営事業許可を勝ち取った。
南北鉄道は、マラニョン州からパラー州までの延長が決定されたばかりで、全線開通すれば、ブラジル国内の交通輸送の中心的存在となる。交通の手段を獲得したことにより、さらなるリオドセ社の成長が予想されよう。また、鉄道の充実、発展は雇用の拡大をはじめ、国内経済の活性化に大きく影響すると予想されている。
最近は中国宝鋼集団と合併会社を設立したり、伊藤忠商事とのモンゴルでの石炭の共同開発・生産など、アジア地域への進出にも力を入れている。
政権党であるPT(労働者党)内では、リオドセ社の国営化の議論も盛んだが現実的ではない。今後ブラジルを代表する企業として、その成長が注目されている。
(追記)
ブラジルの資源大手、リオドセは29日付で対外的な呼称を「ヴァーレ」に改めると発表した。
リオドセの正式社名は「リオドセ渓谷会社」で、ブラジルでは略称のCVRDや渓谷を
表すヴァーレと呼ぶのが一般的。正式社名は変更しないが、8つの言語で用いられ発音も
しやすいヴァーレに統一する。
【関連情報】
○代表戸締役 ◆jJEom8Ii3Eの妄言 「資源メジャー」 2007-10-07
http://blogs.yahoo.co.jp/daitojimari/22821655.html
○備忘録3.0 「資源メジャー」(株価チャート) 2007/11/17
http://blog.livedoor.jp/serendip123/archives/50177318.html
○国内外の政治・経済・ニュース ブログ 2007/05/08
「日本郵船、リオドセと20年契約・ブラジル―中国で鉄鉱石輸送」
http://sociopasscity.blog82.fc2.com/blog-entry-791.html
○★ B R A S I L ★ 2007-05-09
「日本郵船、ブラジル・リオドセ社と20年の超長期輸送契約締結」
http://lrbrasil.blog67.fc2.com/blog-entry-1056.html
○IBTimes 2007-01-12
「積極的な海外展開を行うブラジルの優良企業」
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/070112/3487.html
○Klug 「レアル高で加速するブラジル企業の海外M&A」 2007/01/30
http://www.gci-klug.jp/bricsreport/07/01/30/post_1719.php
○世界の製鉄所 「サンパウロ新聞」 2007-05-01
ブラジル鉄鋼が世界中の注目を浴びているが、ブラジル国内から見るとどう見えるのか。
ブラジル:サンパウロ新聞という日本語新聞があるが、鉄鋼の記事はさほど多くはないが、
その中から鉄鋼に関する記事を拾ってみた。
http://white.ap.teacup.com/sekainotekkou/303.html
○桜井 敏浩 「経済グローバル化の下でのブラジルの鉄鋼業再編」 2005/12
http://www.bizpoint.com.br/jp/reports/sakurai/sk20_05.htm
○CVRD(リオドセ社): 100 anos da Estrada de Ferro Vitória a Minas
(YouTube映像 01:00)
http://jp.youtube.com/watch?v=GTqoh55YxOQ&feature=related
○CVRD: Investimentos N 01 [Baixa Resolução] (YouTube映像 01:29)
http://jp.youtube.com/watch?v=l1SiczwYICA&feature=related
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