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13歳少女メガン・メイアーのネットいじめ自殺─MySpaceで知り合った少年は存在しなかった

(記事要約)

 ミズーリ州の13歳少女の自殺がきっかけで、ネットいじめに注目が集まっている。その数は増加していて、関係者はオンラインでの嫌がらせが生徒たちに与えるインパクトを懸念している。

 米国疾病対策予防センターが発表したオンライン調査(非営利研究団体Internet Solution for Kids、1588人の10歳から15歳対象)では、34%が前年少なくとも1回はインターネットで嫌がらせを受けたと回答している。別の電話による調査(ニュー・ハンプシャー大学、1500人の10歳から17歳対象)では、インターネットでの嫌がらせを経験した割合が、2000年6%より昨年9%にまで増加している。

2007/12/4/eSchool News(メリーランド州Bethesdaより教育関係者向けに発行されるオンライン・ニュース)

eSchool Newsウェブサイト
http://www.eschoolnews.com/

 

(解説)

 ミズーリ州ダーデンヌ・プレーリーの少女メガン・メイアー(Megan Meier )13歳は、2006年10月16日、自宅のクローゼットで首を吊って自殺した。母親によれば、原因はMySpaceで知り合ったジョシュ・エヴァンズ16歳に傷つけられたからだという。

 ジョシュは最初メガンと親しくなったが、突然態度を変え「キミとはもう友達でいられない気がする。噂では、キミは友達に優しくないと聞いたから」というメッセージを自殺前日メガンに送った。母親いわく、メガンは同時期に「尻軽女」「デブ」などジョシュのアカウントの掲示板で中傷されてもいた。

 ところがメガン死亡の6週間後、ジョシュという少年は存在しないことが発覚した。近所に住む女性とその関係者がでっち上げたいたずらだったのだ。

 メガンを死に追いやった捏造行為は一見深刻な犯罪のようだ。しかし12月3日、地元検事は本件に関してなんら刑事責任を問うことはできないと発表した。つまり捏造した女性とメッセージを送った関係者たちは無罪放免となったのだ。

 検事は、現行法のストーキング、ハラスメント、児童虐待と今回の事件は関連付けられなかったと言う。メガンの両親はここ最近メディアに頻繁に登場し、ネットいじめを防止する法整備を訴えかけている。

 メイアー一家が住むダーデンヌ・プレーリー市は11月、オンライン嫌がらせを禁じる法律を制定した。罰則は、罰金500ドルおよび最大禁固90日。ほんの軽罪レベルである。

 この程度の罰則でどれほどネットいじめが減るかは疑問である。子供をいかに正しく導くか、法律家のみならず親や教育者もまた真剣に対策を考えなければならない。

 特に元々うつ気味だったメガンのような子供は、引きこもりネットにのめり込む傾向がある。やはり日ごろのコミュニケーションで子供が何をやっているか把握するしかないのだろう。

 

【関連情報】

○What is Cyber-Bullying? -How to Stop It(YouTube映像 04:27)
http://www.youtube.com/watch?v=pwB7_P8cU9A


○True Effects of Cyber-Bullying(YouTube 01:36)
  This is an actual recorded phone call
http://www.youtube.com/watch?v=u215XyQZjAs


○自殺対策支援センターライフリンク 自殺報道のあり方について
 連日のように報道される「いじめ自殺」に関する報道のあり方について、
 改善を求めたいと思います。昨今の「いじめ自殺」の報道が、それに続く自殺を
 誘発している可能性を否定できないと思うからです。
http://www.lifelink.or.jp/hp/jisatsuhoudou.html


○CNET  2007/11/27
 「ネットいじめを禁じる市の法律を制定--米国ミズーリ州で」
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20361828,00.htm


○CNET  2007/10/31
 女子中高生のプロフ利用は「約半数」--メディアシークの
 携帯有害サイト意識調査
http://japan.cnet.com/marketing/story/0,3800080523,20359962,00.htm


○ITmedia News  2007/11/16
 見えないネットいじめ 「パケット定額と時期重なる」
 平成18年度、いじめの認知件数が6倍にも跳ね上がった。だが関係者からは、
 これでも実態には即していないと疑問の声が上がっている。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0711/16/news030.html


○ITmedia News  2007/03/29
 子どもが「ネットいじめ」を親に言わない理由
 ミシュナ氏はこの調査結果を踏まえた上で、保護者がネットいじめを防止し、
 テクノロジーの安全な利用を奨励する上で最も有用なツールは「教育」
 「コミュニケーション」だとし、以下のようなポイントを挙げている。

 ▼子どもの様子からネットいじめを発見するポイント
 ▼保護者がネットいじめについて子どもと話せるようにするための方法
 ▼ネットいじめを防止するための最善の方法
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0703/29/news038.html


○ウェブライター流転記 2007/07/29
 「学校裏サイトにどう対処すればよいのか」
http://wakaweb.com/blog/?p=665


○荻上式BLOG  2007/11/20
 松浦大悟議員が「有害サイト規制」「学校裏サイト」などについて質問
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20071119/p1


○子まもり.com  2007/10/03
 「学校裏サイト対策の妙案」
http://blog.komamori.com/article/5695213.html


○いじめから子供を守ろう!ネットワーク
 「学校裏サイトの実態」 2007/03/23
http://mamoro.blog86.fc2.com/blog-entry-100.html


○イザ! 2007/10/24
 【消える「一線」】ネット犯罪2007(3)標的 学校裏サイトで中傷
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/93593


○咆哮するテナーサックス 「いじめは犯罪だ」2007/09/26
http://abarenbou-tenorman.cocolog-nifty.com/tenor/2007/09/post_5ead.html

 

 


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