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eBayのネット不動産オークションでテキサス州の町が落札。価格は3,000,800.00ドル

  • 米国在住ジャーナリスト

テキサス州のアルバート町を所有するボビー・ケイブさんは、町を売り出すことに決めた。eBayに出品したらどうかとの友人の勧めもあり、オンラインオークションに町を出品することになった。少なくとも250万ドルで、アルバート町はあなたのものになる。

サンアントニオ市から北へ約80キロ行った場所にある広さ5万3000平方メートルのこの町は、数十万ドルをかけて綺麗に修復され、ケイブさんは次の事業のために手放すことにした。

「これはコンセプトなんだ。ユニークな」。不動産業者を営む47歳のケイブさんはそう話す。「ただの不動産物件というより芸術の一部分。だから、eBayはとても良い売り場だと思った。少々、突飛かもしれないけど」。

ケイブさんの友人で共同名義の不動産業者でもあるエリック・マイスナーさんは、アルバートは町として適格、もしくは一度は町だったという。なぜなら昔、郵便局があったから。ただしそれは1800年代後半のことで、いまはもうなくなっている。

「名前を示す道路標識があり、それがこの地区を示している。郵便局がいまはもうないからといって、町がなくなったということにはならない」。

CBSニュース11月1日
http://www.cbsnews.com/stories/2007/11/01/business/realestate/main3439574.shtml


こうしてeBayに売りに出された町が11月23日に落札された。落札価格は300万800ドル(約3億2700万円)。オークショが始まったのは10月24日。入札履歴を見ると、1ドルからスタートし、20日後には300万800ドルの値が付いている。

全部で58人が122回に渡って入札するなど、活発に動いた様子が分かる。始めの1週間はあまり値段が上昇せず、1日朝9時の時点で50万600ドルだった。だが、その日にAPやCBSでニュース配信され、多くの知るところとなったためか、翌日までには最低落札価格の250万ドルを一気にオーバーした。気になる落札者だが、入札者のIDを隠す設定にしてあるため、イタリア在住者としか分かっていない。
http://cgi.ebay.com/Historic-Texas-Town-for-Sale_W0QQitemZ120175767867QQihZ002QQcategoryZ15841QQssPageNameZWDVWQQrdZ1QQcmdZViewItem

このアルバート町は、東京ドーム(面積4万6755平方メートル)を少し広くしたぐらいのこじんまりとした場所。町というより、巨大な敷地と考えたほうがイメージしやすい。ただ、付近をアルバートの名前が付いた道路が走っているから、れっきとした町なのかもしれない。

居住者はだれもいないが、週末には店舗を改造して作ったバーが開業し、近郊から人が訪れる。ほかにあるものは、パビリオン、使われていない築85年のダンスホール、トラクター置き場つきの3寝室の民家、桃やナッツを栽培する果樹園など。ケイブさんが作ったという「テキサス一綺麗なトイレ」もある。

eBayに載せられた説明によると、町の最初の名前はマーティンズバーグだった。1830年ごろ、ここに越してきたドイツ系のアルバート・ルッケンバッハ夫妻が郵便局を始め、1892年にアルバート町へと改名された。なんとも、のどかな時代の話だ。

eBayの広報担当者によると、町を出品するのは非常に珍しいというが、楽しいからという理由で歓迎している。ちなみに、いままでカリフォルニア州のブリッジビル町(約33万5889平方メートル)が2002年と2006年の2度出品され、落札されている。

今回のアルバート町が契約成立となるかどうかはまだ分からないが、例えだめでも、ケイブさんによると他に購入に興味を持つ人が何人かいるという。

町を売買物件と捉えることはあまりしたことがなかったが、考えて見れば島を売り買いする話は聞く。それもお金持ちの特権と思っていたが、カナダなどの広大な土地を所有する国では意外に安く買えるそうだ。500万円程度から購入できるといい、都会にマンションを買うよりずっと安い。

驚いたのは、日本でも長崎や三重、広島などで3000万円ぐらいから島が買えるという。こうした無人島売買情報を載せているウェブサイトもある。http://www.aqua-styles.com

それにしてもeBayの影響力はいまや甚大だ。米国のネットオークション市場は、ほぼeBayの独占状態にあるといってもいい。世界28カ国に拠点を持ち、登録者数2億3000万人、出品点数は10億を超える。日本では会員を集められずに2003年に撤退したが、この7月からは日本語ポータルサイトを設けて、日本人の利用拡大を狙っている。

大抵のものは買えるマーケットプレイスとして知名度を上げて来ただけに、いずれ破産した国が出品される日が来るのではないだろうか。

 

【関連情報】

○GIGAZINE  2007/11/26
 「テキサス州にある無人の町を3億円で購入したいという希望者が現れる」
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20071126_one_house_town_sold/


○CNET  2007/05/21
 インターネット不動産オークション、「見えない」不安を払拭してユーザに
 信頼感を与えられるか
 どのような条件があればインターネット不動産オークションを利用したいか
 という問いには、「第三者機関が不動産の価値を評価して格付けされている」42.4%、
 「オークション参加者の身元が明らかになっている」35.7%、「物件を登録する
 ときに、一定の品質基準がある」29.3%が上位にあげられており、取引される物件の
 客観的な評価やオークション参加者に対する信頼感が求められていることがわかる。
http://japan.cnet.com/research/column/insight/per/story/0,2000091177,20349090,00.htm


○livedoorニュース 2007/11/29
 「なぜ不動産はネットオークションに向かうのか?」
 2000年にはいると、インターネットの普及を背景にインターネットでの
 不動産オークションが登場するようになる。インターネットを利用した
 不動産取引は、地域に縛られない多数の顧客の集客が可能となる点で、
 Liveオークションとは比べものにならないほど多くの取引機会を実現する
 ことになった。インターネットにおける不動産オークションは、登場して
 まだ数年と歴史は浅いが、大手も参入へ意欲を見せはじめるなど、不動産業界の
 構造をも変革する可能性まで見せはじめている。
http://news.livedoor.com/article/detail/3406052/


○不動産マイスターへの道 2005/10/22
 「オークションの活用」
 不動産取引は、これまで「情報発信・入手」も「交渉」も仲介業者に依存するしか
 なかったわけですが、それは仲介業者の能力によって成果に差が生じることも意味
 していました。しかし、オークションの出現によって、情報も交渉(購入者決定)
 過程もオープンとなり、売主にとっても買主にとっても、透明性で公正かつ健全な
 不動産取引が実現すると思います。
http://blog.livedoor.jp/macnak/archives/50107153.html

 

 


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