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借金消費サイクルの限界!? 米タイム誌が特集した「景気悪化に備えて今からやるべきこと」

冬の寒さも極まるなか、米国市場では何やら不安な噂が囁かれている。大量消費と経済の拡大を続けてきた時代が終わりを迎え、米国消費者の買い控えが始まると言うのだ。

2007年、アメリカでは住宅部門の不振ばかり目立った。毎日のようにメディアを賑わせたのは、サブプライムローン(信用度の低い借り手への住宅ローン)返済の焦げ付き、住宅価格の下落、あおりを受けた金融機関の損失公表だった。今後の不安は、サブプライムローンによる破綻を目にして心理的ショックを受けた人々の消費行動鈍化だ。

大量消費を続けてきたアメリカは、消費行動によって経済が支えられていると言っても過言ではない。借りることによってGDPを増やしてきたのがアメリカだ。消費行動を支えてきたのは、貸し付け。今までアメリカは、低所得者で支払い能力が低くても、お金を借りて家が買えた。そしてクレジットカード会社から融資を受け、買い物をし続けることが出来た。「借りて買う」というスタイルが定着し、それが米国の消費を成長させ続けてきたのだ。

しかしサブプライム問題が浮上し、米国民に不安を投げかけた。やっと「借りて買う」という行動が危険であることに国民が気づき始めたのだ。この先、消費者の買い控えが始まるのか? サブライムローンの余波が、どれだけ消費者心理に影響するかが、経済動向の鍵になりそうだ。

実際のところ、今後買い控えが起こるのか、リセッションにつながるのかどうかというのは分からない。石油高、輸出の伸びなど、その他のマーケット要因が複雑に絡んでくるため、予想は難しい。だが、もしアメリカが不景気になったら? そんな準備対策が各方面から伝えられている。米タイム誌も不景気に向かった場合に備えて今からやるべきことを特集していた。その一部を紹介したい。


▼景気が失速した場合、大きな影響を受けるのは雇用。職の確保が危ぶまれた場合に
 備え、今から人とのネットワークを作っておくこと。危機が迫ってからでは助けてくれない。
 今から友好関係を広げておくこと。

▼住宅を購入し、変動型ローンを組んでいる人は、それをなんとかして固定型のローンに
 乗り換えるべき。金利はこれから、さらに上がってしまうことが予想される。

▼株はどうしたらいいのか。不景気であれば、医療関連会社など、消費者の必需品となる
 会社の株を買うというのが鉄則。しかし、タイム誌において経済循環研究所の
 ラクシュマン・オシュザン氏は「不景気の場合、何にでも影響する」と提言している。
 そこで、国内だけでなく堅調に伸びるアジアやヨーロッパの成長株を狙ってみるのもよい。

▼経済が悪化すれば買い控えになるもの。しかしアメリカ全体の不景気を防ぐために、
 財布のひもは緩めすぎず、締めすぎないことがポイント。自分の首を絞めたくないならば、
 消費は止めないこと。


このように、景気後退に向けての対策まで出てくると、さすがに不安になってくる。アメリカに住む者としては、消費低迷の寂しい雰囲気が蔓延して欲しくないと願うばかりだが、とにかく今は、今後どういう風に落ち着くのかを見守りたい。

 


【関連情報】

○ビデオジャーナリスト 神保哲生 公式ブログ 2007/09/09
 「サブプライムローン危機の本質」ゲスト:小幡績氏(慶應大学大学院准教授)
  いろいろと後付けで分析するのは結構だが、つまるところサブプライムローン問題
  とは、わかっていてみんなが乗っかっていたバブルが弾けて、われ先に飛び降りる
  人たちで市場が大混乱しているだけの、おなじみの光景に他ならないというのが、
  小幡氏の見立てだ。
http://www.jimbo.tv/videonews/000402.php


○Klug  2007/12/07
 「ブッシュ大統領のサブプライム救済策、住宅市場の起死回生策となるか?」
  だれでも救済策を受けられるわけではなく、資格要件として、現在の金利で
  ローン返済を継続しているが、リセットされると返済困難になる世帯、また、
  過去1年間に返済遅延が60日を超えたことがない世帯が対象となり、それ以外の
  返済能力がほとんどない世帯や、反対にリセット後もローン返済が可能なほど
  信用力の高い世帯は除外されている。このため、エコノミストは、金利凍結の
  恩典を受けるのは、全体の15-20%程度に過ぎないとし、また、政府と交渉に
  当たった金融業界の関係者も、180万世帯の多くて20%の36万世帯しか恩典を
  受けないとの証言も報じられており、財務省の試算とは大きくかけ離れている。
http://www.gci-klug.jp/masutani/07/12/07/post_2359.php


○Nishitatsu1234の帝国 「米国の住宅バブル崩壊」 2007/08/29
  日本の資産バブルと米国の住宅バブルには、もう1点、大きな相違があります。
   日本と異なり、米国は戦時にありしかも敗れつつある事です。米国に製品を輸出
   している国は自国通貨が対ドルで上昇する事を嫌い介入によって阻止しようと
   します。かつては日本が、現在は中国が猛烈にドルを買い支えています。言わば、
   米国は「大きすぎて潰せない」企業のような物です。しかし戦争で無意味に国力を
   消耗し、しかもそれに敗れた後でもそれが通用するでしょうか。「我々は基軸通貨
   を有しているので、借金は紙幣を印刷してお返しする」と言い出したら、それでも
   ドルを買い支える国があるでしょうか。
http://diary.jp.aol.com/wkyxkc7pyfku/1463.html


○田中 宇 「進化するドルの危機」 2007/12/04
http://tanakanews.com/071204dollar.htm


○イザ! 2007/11/22
 高まるドル崩壊の懸念 「基軸通貨にユーロ」の声も
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/finance/105351/


○[藤田正美,Business Media 誠] 2007/11/19
 「損失が読めない」――泥沼化するサブプライムローン
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0711/19/news009.html


○MONEY zine  2007/12/05
 浜田 和幸 「サブプライム・ローン危機にヘッジファンド高笑い」
 サブプライム・ローン危機を巧みに利用したヘッジファンドたち。
  サブプライム・ローンの危機的状況を事前に読み切り、その逆張りとも
  言える投資戦略で史上最高益を叩き出すファンドも出てきている。
http://moneyzine.jp/article/detail/11054


○株式市況と黒岩の眼 2007/12/15
 「サブプライム危機の教訓? 低金利政策、住宅バブルの副作用」
http://nikkei225kuroiwa.blog90.fc2.com/blog-entry-1520.html


○中岡望の目からウロコのアメリカ  2007/12/02
 為替相場を予測する:今の相場は「円高ドル安」か「ドル安円高」か
http://www.redcruise.com/nakaoka/?p=229


○フジサンケイ ビジネスアイ 2007/11/23
 米3行、来週中に計画発表…サブプライム「共同基金」
http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200711230007a.nwc

 

 


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