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U25 起業を選択する若者の低年齢化が進むベンチャー大国 アメリカ

企業に就労せず、自分の道を自分で切り拓きたいという若者が増えてきた。Facebook(フェイスブック)のCEOマーク・ザッカーバーグのように、企業に勤めるのではなく、自分のアイディアでやりたいことを貫きたいと考える若者が目立つ。キャリア形成の新たな価値観として、起業を選択する若者が今後も増えていきそうだ。     

今年もとうとう師走に突入し、メディアでは、2007年を総括する記事も増えてきた。そんな中Business Week誌によって行われたのが「America’s Young Entrepreneurs 2007」。2007年におけるアメリカの有力若手起業家を探す特集記事だ。

25歳以下の若者達における、創意工夫のあるビジネスが紹介されている。その大半がインターネット関連事業で、その他、製造業、銀行業、出版業など、従来のアナログ型のビジネスも見られる。若手起業家について特集を組むという状況からも、彼らのビジネスのクオリティーと期待の高さが伺える。
http://images.businessweek.com/ss/07/10/1022_25and_under/index_01.htm

「米起業家機構」は年商100万ドルを超える事業経営者6600人のネットワーク組織。その次期会長であるデービット・ガビンスキー氏によると、「18歳から35歳までの会員は2001年から3倍以上増えて3356人になっている」とビジネスウィーク誌上で語っている。さらに、今後起業を目指す若者は一層増加すると予想している。さらにデービット氏は、「新世紀世代は特に、自分の道は自分で切り拓きたいと思っている。起業はそんな思いをかなえてくれる」と語る。

若手起業家が増えてきたのにも背景がある。まず、インターネットによって、少ない資金で起業できるようになったこと。そして、アメリカのベンチャー・ファンドもしくは、個人投資家の動きが活発であるため、資金調達の手段が用意されていることが挙げられる。投資家達は、素晴らしいアイディアと器量さえあれば、若者でも投資したいと考えているのだ。

もちろん、若手起業家達が成功している姿が若者に与える影響も大きい。今年の台風の目となった企業であるSNS Facebook(フェイスブック)のCEOマーク・ザッカーバーグは今年23歳。彼がハーバード在学中からソーシャルネットワーキングサイトを立ち上げ、短期間で成功を収めたことは言うまでもない。

今年10月にマイクロソフトがFacebook(フェイスブック)に出資した際に、Facebook(フェイスブック)の企業価値が150億ドルと見積もられたことも記憶に新しい。急成長を続けるアップルも、新興企業としてスタートした会社のひとつ。創立者のスティーブ・ジョブズ氏は株式公開後に2億ドルをも稼ぎ、20代でフォーブスマガジンの長者番付に載ったひとりである。マイクロソフトのビルゲイツ氏が起業した当時は、まだハーバードの学生だったのも有名な話だ。

若くして起業することが不利になることはもちろん多い。社会経験や実績のない人間はそう簡単には信用されないからだ。しかし、新しい技術、他にはない優れたアイディアがあれば、若いうちに頭角を現すことができる。特に技術分野においては、低年齢化が顕著だ。

今年7月にカリフォルニア州パロアルトで行われた「Next Generation Tech: Teens Plugged In!」会議においては、なんと十代の若者起業家達が、自らが起こしたウェブの新興企業や技術発明について発表した。14歳で電子政府ソフトウェア企業を立ち上げたべン・キャスノチャさん(現在19歳)や、Elementeoという子供たちに化学を教えるインタラクティブなトレーディングカードゲームを開発したアンシュル・サミュールさん(13歳)などの、新進気鋭の起業家達が自己のアイディアを披露している。

若者は、何も企業に勤めることだけが唯一の選択肢ではないと気づき始めたようだ。どこにも見つからないアイディアを実現するには、むしろ自分で会社を興してしまうのが一番なのかもしれない。今年もいろんな形で私たちを驚かせてくれた若手起業家達。2008年もどんなことを仕掛けてくれるのか、一層注目したい。

 


【関連情報】

○梅田望夫 My Life Between Silicon Valley and Japan 2007/03/17
 「直感を信じろ、自分を信じろ、好きを貫け、人を褒めろ、人の粗探ししてる暇が
  あったら自分で何かやれ。」
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20070317/p1


○CNET  2007/12/05
  佐々木俊尚「ベンチャー起業家はどう変わったか」
http://japan.cnet.com/blog/sasaki/2007/12/05/entry_25002626/


○CNET  2007/11/15
 ひろゆきがティム・オライリーに直接きいた、「Web2.0ってなんだったの?」
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20361105,00.htm


○On Off and Beyond 2007/12/04
 「エコノミスト:シリコンバレーが先端であり続ける本当の理由」
http://www.chikawatanabe.com/blog/2007/12/post-2.html


○nikkei BPnet ビジネススタイル「起業家が自問すべき20の質問」 2007/11/30
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/forbes/071130_20questions/


○POP*POP  2007/03/15
 「起業する前に自問すべき10の質問」
http://www.popxpop.com/archives/2007/03/10_6.html


○B3 Annex 「ウエブスタートアップ企業のための10のルール」 2005/12/03
http://toshio.typepad.com/b3_annex/2005/12/post.html


○らいおんの隠れ家 2007/01/30
 ポール・グレアム「ベンチャー向けの最も難しい教訓」
http://d.hatena.ne.jp/lionfan/20070130


○住 太陽のブログ 「起業家支援の甘い誘惑に踊らされるな」 2007/10/02
http://www.motoharusumi.com/jobs/freelance/temptation_of_entrepreneur_support.html


○Life is beautiful  2007/08/29
 「リーダーに必要とされる感情知性(Emotional Intelligence)」
http://satoshi.blogs.com/life/2007/08/emotional-intel.html


○FPN  2007/10/04
 「思いつき」を「すごい企画」に、今すぐできる3つのポイント
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=2714


○らばQ  2007/08/19
 「こんなくだらないアイデアで大儲けしちゃったネットビジネス特選10」
http://labaq.com/archives/50755990.html


○ITmedia Biz.ID  2006/11/27
 「1人で作るなら、一気にやるのが重要」SimpleAPI・伊藤まさおさん
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0611/27/news040.html


○ウノウラボ Unoh Labs 「ベンチャー流Webサービスの作り方(開発チーム編)」 2007/07/27
http://labs.unoh.net/2007/07/web_4.html


○ホームページを作る人のネタ帳  2007/09/27
 「フリーランサーの収益を最大にするための25のヒント」
http://e0166.blog89.fc2.com/blog-entry-297.html

 

 


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