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何が本当のエコ? 「マイ・エコ」基準のすすめ


ごみの分別はエコの問題ではなくモラルの問題?!

オーガニックに携わるうえで、必ずリンクするテーマ「エコ」。

オーストラリアから帰国して約3年が経とうとしていますが、この数年における日本のエコ事情の変化は目を見張るものがあります。イベントやキャンペーンだけでなく、エコ雑貨やエコ家電などの商品も数多く登場しましたし、CMはいつの間にか企業がどれだけエコに貢献しているか、エコ活動しているかをアピールする目的の一部となりつつあるようです。ビジネスにおいて、新幹線で移動することが「エコ出張」なんて表現になっているのにはさすがに驚きました。

とはいえ、私たち生活者は、いまひとつ、この「エコ」に対してどう向き合っていくべきなのかわからないというのが正直なところ。普段の生活においてもゴミの分別くらいしか実践できていない・・・という方が大半なのではないでしょうか。

「マイ箸」や「エコ・バッグ」を持ち歩いている方も増えているようです。と同時にこれらのアクションが本当にエコなことなのか? と疑問視する人もでてきているようです。

まず、ごみの分別について・・・。

燃えるもの、燃えないもの、リサイクルできるものに分別して捨てることが習慣となってきた昨今。もともとは平成9年4月に「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」いわゆる容器包装リサイクル法が施行され、ゴミの減量化とリサイクルの推進を図る目的でスタートしたものですが、各自治体によっては、より細かい規定を定め生活者にそれらを義務付けています。

そんななか、「不適切なごみの分別をしている人には罰則を与える」という条例改正案が出されている地域もあるようです。この自治体では、ごみを正しく分別しない生活者、企業は違反者として扱い、罰金を科してはどうか・・・という提案がなされています。

不適切なごみの分別をしている袋を自治体の職員が開封し、ごみを出した人を特定。分別方法を改善するよう「勧告」「命令」し、さらには「過料」(罰金)が課せられるというものです。2007年2月にパブリックコメントも実施し半数以上の賛成を得ていたようです。
「ごみの分別ルール違反者に対する罰則導入条例案
パブリックコメントの結果」
http://www.city.yokohama.jp/me/pcpb/new/press/pre070913.html


自分のごみを勝手に開けられることに対して、私個人としてはかなり嫌悪感を覚えますし、個人情報保護の観点からみても違和感があるように思うのですが、意外にも「ルールを守らない人には罰則は必要である」という意見が多いことに驚きました。

ごみ分別収集は、ゴミの減量化やリサイクルによる資源の有効利用、焼却の際に発生するダイオキシンなどの有害な物質を抑制するという目的で実施されているようですが、果してこの目的は確実に達成され、意味のあるものとして実行されているものなのか? と不信感を抱く生活者が増加しているのも事実です。


最近読んだ、エコに関する興味深い書籍

*地球温暖化 サバイバル ハンドブック 気候変動を防ぐための77の方法
  デヴィッド デ ロスチャイルド (著)

*1%あなたはその中にいますか。―環境に無関心、それが地球破壊の
最大の凶器となっていく。 財津 昌樹 (著)


近年はメディアにおいて雑誌やCMなどで分別を推進する動きがある傍ら、「ごみ分別は意味がない」「リサイクルはエコではない」など、環境保護において講じられている対策が実は無駄であるということを暴露する書籍やテレビ番組が話題になっています。

そのほとんどが、ごみの分別およびリサイクルにおいて、エコに配慮して実践していた生活者を裏切るような事実が発表されるというもの。それはごみ問題だけでなく「マイ箸運動(割り箸のための森林伐採を防ぐため、自分専用の箸を持ち歩き使用すること)」や「エコ・バッグ運動、マイ・バッグ運動(化石燃料を使って作られるレジ袋を減らすため買い物に行く時に袋(バッグ)を持参すること)においても同じ傾向が見られ始めているようです。

実際に私自身、仕事先やプライベートでも「何が本当のエコなのか?」「何がいったい正しいのか?」「どんなことをすれば確実にエコに貢献できるのか」と聞かれることが多くなりました。

今後はますます、現在行われているエコ活動といわれるもののほとんどに、このような「専門家およびメディアによる事実暴露→生活者の不安・不満」の現象が起きてくるのではないでしょうか。ではそうなったとき、どうすればいいのでしょうか・・・?

例えば私が現在、仕事として、ある企業様と取り組んでいるのは、不確かな情報やメディアの中途半端な事実公開にまどわされず、自分たちが納得できる独自の厳格なエコ基準を持ち、それを自分たちのルールに沿って実践するというもの。

業態によってその取り組む分野も内容も全く違うのですが、まずはその基準作りのために何をしたら良いか、どんなことから着手すべきかなど、根底から話し合うことを定期的に行い議論しながら同時に研修やワークショップなどでしっかり現状把握をしつつ学ぶ機会を設ける、というものです。

この先、エコに対しどんな報道がなされ、法律や規定が理不尽に次々に改正されようと、自分たちの確固たる「エコ基準」を持っていれば、そのたびに惑わされることなく着実に環境保護に対する成果を上げていける、ようにするのが目的です。

何事もそうですが、決められたことに疑問を持ちながら取り組むよりも、自らが学んだこと、理解したこと、納得したことを元にアイディアを出し実践していくほうが責任感も強くなり、モチベーション維持にもつながるのではないでしょうか。

それはもちろん個人においても言えることです。2008年、今年は自分自身の「マイ・エコ基準」を持ってみませんか?

 


【関連情報】

○GIGAZINE  2007/11/07
 いつでもマイ箸をブラジャーに入れて持ち歩ける「マイ箸ブラ」
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20071107_triumphjapan_chopsticks/


○ITmedia News  2008/02/09
 「徒歩発電」で携帯も充電――カナダの大学が新技術を開発
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0802/09/news009.html


○POLAR BEAR BLOG 「地球に優しい」でダマす6つのテクニック 2007/11/26
http://akihitok.typepad.jp/blog/2007/11/6_b7c5.html


○エコエコ促進日記!  2007/03/16
 「エコ出張! ─交通手段別 CO2 排出量の違い─」
http://eepd.seesaa.net/article/36096282.html

○JR東海CM エコ出張(YouTube映像 00:30)
http://jp.youtube.com/watch?v=MIGqg1Qn5W8


○虹の輪くぐり 「環境問題は雇用問題」 2008/01/12
 産業社会での「働く」は、生存に不必要なものを生産することで、そして、
 その不必要なものを生産しないと、この産業社会では生存できないという
 パラドックス。
http://d.hatena.ne.jp/anhedonia/20080112/p2


○CNET  2007/12/12
 「グーグルの利益を世界に投資、企業市民活動の担い手にきくCSRの現在」
 同社はリサイクルやたい肥化を行っているだけでなく、建物を再利用資材で
 建てていることを自慢にしている。無料の通勤シャトルバスを運行し、
 従業員がハイブリッド自動車を買う場合には奨励金を出している。
 また、Googleは社用車をプラグインハイブリッド車に転換するプログラムを
 開始しており、また企業最大の太陽発電設備を持っている。同社はPCの
 エネルギー効率を向上させる取り組みの先駆者であり、社員食堂では放し飼い
 で育てられた牛の牛肉や、放し飼いの鶏が産んだ卵を使っている。
http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000055954,20362969,00.htm


○CNET  「グーグル、慈善活動もグーグル流」 2008/01/18
 最近、社会起業家と言われる人たちが、従来の慈善事業の概念を覆す
 活動を行っている。Googleはその最先端を走る企業だ。
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20365156,00.htm


○九州男児のにくばなれ 「エコバッグのエコバッグ」2007/07/18
 私は、「アニヤ・ハインドマーチ」さんのエコバッグの大きさに近い
 A4サイズの購入して、「これこそ、エコバッグ」と言えるものを
 作ることにしました。
http://septieme-ciel.air-nifty.com/nikubanare/2007/07/070718_01.html


○Design Works  2007/11/02
 ボール型に格納できるエコバック「Flip and Tumble」
http://designwork-s.com/article/64047808.html


○Software Design  2008/02/12
 [三酔人電脳問答]第47回 エコとITのビミョーな関係 イノベーション
http://d.hatena.ne.jp/software_design/20080212


○sta la sta   2007/06/10
 「シムシティ風の都市開発シミュレーションゲームで
 環境問題について学べる-ElectroCity」
http://d.hatena.ne.jp/starocker/20070610/p1

 

 


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