隠し撮り潜入取材で発覚! 「へたり牛」問題で、狂牛病(BSE)不安が拡大
- 米国在住ジャーナリスト
<記事要約>
米国では歩行困難で食肉としての扱いが禁止されている「へたり牛」が食肉処理されていることが発覚した。食肉処理を行って問題となったのは、カリフォルニア州のウエストランドを本拠地とするホールマーク・ミート・パッキング。米国で過去最高となる約6万5000トンの牛肉製品の自主回収が行われた。
(ロイター通信 2008年2月17日)
<記事解説>
また食問題…そう思った人は多かったはずだ。今度はアメリカで、歩行困難の症状を示す「へたり牛」の食肉加工が発覚した。へたり牛は、その症状から牛海綿状脳症(BSE)感染が以前から疑われている、疑惑的かつ危険な牛。人体に影響を及ぼすというはっきりとした確証はないものの、安全性が疑われるため、2007年7月に食用として扱うことを禁止されている。
そんなへたり牛を、食肉にしているというのはショッキングな事実。これは動物愛護団体The Human Society of United Statesが隠し撮りしたビデオ映像から発覚した。ビデオでは、「へたり牛」を無理矢理立たせて、食肉検査を行おうとする現場が映し出されている。電気ショックで無理やり立たされる牛、高水圧のホースで追い立てられる牛‥。それでも立ち上がれずにうずくまっている牛を、従業員がフォークリフトで引きずり転がして、追いうちをかける。虐待を受けても、力なくごろごろとうずくまる牛は、食肉に足る品質とはとても思えない。
この問題についてジェーファー米農務長官は「農務省食肉検査官による検査は適切に行われており、病気の牛ではなかった。」と主張している。この牛を食べても健康上問題は無いというジェーファー氏のコメントに、「臭いものには蓋」という印象さえ浮かぶ。
不信感が続く米国の食肉問題。BSE感染牛が認識された2003年に、日本が米国産牛肉の輸入を禁止してから、米国は輸入の再開を求めてきた。このへたり牛の食肉処理問題は、明らかに米国産牛肉の市場開放をめぐる交渉の足かせになるはずだ。「貿易相手国が心配するような深刻な問題ではない。」と言うジェーファー氏。
しかし、食問題が続く日本では、消費者は甘く見てくれないだろう。そもそもこの問題も、一般市民の告発なしでは発覚しなかったのだから、米国食品管理の脇の甘さが目立つ。「牛肉輸入を全面解禁して欲しい。」そう願うジェーファー氏の思いは、まだまだ届きそうにない。
【編集部ピックアップ関連情報】
○MediaSabor 2008/03/06
「あぶない牛肉、鈍感な米国人━米史上最大規模の冷凍肉リコール(回収)命令」
http://mediasabor.jp/2008/03/post_333.html
○農業情報研究所(WAPIC) 2008/02/21
「米国食肉処理の現場、時給8ドルで雇われ、シャツの下のピンホールカメラで撮影」
動物虐待の告発で知られる米国人道協会(HSUS)の一員として働く彼は、実名を使い、
何のトラブルもなく、ホールマーク/ウエストランドに時給8ドルで雇われた。
雇われていた6週間の間、ピンホールカメラをシャツの下に着け、ポケットで
スィッチを操作しながら撮影した。夜はモーテルに帰り、発見をノートに記録、
ビデオテープはクローゼットに隠した。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/08022101.htm
○危険な食べ物や、えええ?というようなニュースなど。
「狂牛病(BSE)はウイルスが原因かも?」 2007/06/22
狂牛病の原因は奇形タンパク質によるプリオンのせいという説が今まで
有力でしたがひょっとしたらウイルスかもという研究結果が発表されて
います。(アメリカ・Yale大学)
プリオンが発見されない=狂牛病ではない
という理由で輸入再開されている生後20カ月以下(※)のアメリカ産牛肉も
ウイルス感染説が正しければ超危険ということになります。
http://poohbooh.s22.xrea.com/wordpress/archives/28
○エコロジカル イマジネーション 2008/02/20
「最大規模の牛肉回収─米国農務省─10万頭の命の負債と子どもたちの健康の負債」
http://blog.miwako-kurosaka.com/?eid=613467
○ima2045's blog 2008/02/18
過去最大6万5000トン回収 「へたり牛」問題が深刻化─米
ホントに日本に入ってきてないのか?
業者間で取引、流通させてる場合もあるから安心はできない。
農務省当局者によると、ほんとんどの肉は生か冷凍製品ですでに
消費されたとみられている。
そのうち1万7000トンは学校給食などに利用されたという。
http://pub.ne.jp/ima2045/?entry_id=1219427
○21世紀のヒューマン・リテラシーを求めて 2008/01/30
中国産の野菜とアメリカ産の牛肉には、気をつけないと危険である。
「食の安全リテラシー」の確立が必要
21世紀に入って、「食の安心」については、実に危険な時代に入っている。
その最大のものとは、アメリカからの狂牛肉輸入の緩和政策の推進と、
中国からの農薬付けの農産物が、厳格な検査体制もなく、簡単な抜き取り
検査だけで輸入されている深刻な実態である。
http://tajimaiclc.at.webry.info/200801/article_9.html
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