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雑誌特集のための「ジャマイカ キングストン取材記(Part.2)」

ファッションエディター青柳さんのスーツケースがエアに積まれてなかったといういきなりのトラブルに皆、文字通り、目が点に。しかし、どうすることもできないので、そこは笑うしかありませんでしたね。誰かの口からこぼれた「ま、キングストンだから」。取材中この言葉を毎日のように口にすることになるわけです。

キングストン到着初日、正直ビビリましたね。
ビビルなよー!笑、と思われる方もおられると思いますが、ハネムーン地のモンテゴベイとは空気が全く違います。ほとんど別の国ですね。このビビル心境はキングストンを訪れることがあれば肌で感じることと思います。

リアル・ゲットーにも向かったわけですし、街中で自分だけが人種が違う、というのは初めての経験でしたからね。もちろんフレンドリーな輩もいれば、そうでないワルもいるわけでして。
「モニー(金くれ)」、「シガー(タバコくれ)」は日常茶飯事。途中からは挨拶だと思うくらいに。笑

しかし、囲まれるとなると具合は違います。当時からキングストンに滞在する日本人レゲエ・アーティストや関係者が少ないながらもおられましたが、その方々から相当に危ない体験談も耳にしました。かと言って、嫌なイメージをお伝えしたいわけでは全くありません。必ずまた訪れたいと思っていますし。少なくともキングストンはリゾート地ではなく、南の楽園でもなく、独立国家となってからも悲しい歴史的背景から人々は苦労しながら生活している故のことなのです。

約1週間の取材中に訪れたのは、ボブ・マーリー・シアター、キング・ジャミーズ・スタジオ、フレディ・マクレガー宅、ソニック・サウンズ(レコードプレス工場)、ヘルシャイヤ・ビーチ他多くの海辺、ポート・アントニオ(スペイン統治時代の建造物が残る町)、夜な夜なのサウンド・システム、クラブ・ミラージュ、UCCブルーマウンテン・コーヒー農園、キングストン市内の街々、IRIE-FM(オチョ・リオス)。

今でも全てが深く印象に残っていますが、滞在中、シンガーのガーネット・シルクが死亡したことには大きな衝撃を受けました。キングストン滞在も最終日に入り、街や人々にも慣れ親しんだ頃、リッチー・スティーヴンス(モータウンからリリース、米国でも活躍したレゲエ・シンガー)のバースデイ・バッシュがあり、その夜、ボブ・マーリーの再来と言われたガーネット・シルクが久々にステージに上がるということでJapJamのサキさん(当時、キングストンに滞在し、ジャパレゲ・シーンにおけるパイオニアであり、立役者のひとり。また、JapJamとは日本人レゲエ・アーティストのサウンドを日本とジャマイカに届けようとサキさんとBPこと磯川さんが立ち上げた伝説のレーベル。)と共にクラブ・ミラージュを訪れました。

オーラを放つ(自分には本当にそう見えた)ガーネットによる最高のステージに幸運にも居合わすことができた翌日。オチョ・リオスへと向うカー・ラジオからその悲しいニュースが流れてきた。ガーネットが一緒に暮らしていた母親とともにガス爆発で死亡したと、IRIE-FMのパーソナリティが悲しそうに伝えていました。

敬虔なラスタファリアンであり、普段は山で生活するガーネットが久々に歌うということで注目された前夜のステージが彼のラスト・ステージとなってしまったわけです。死亡ニュースが流れたその日、ジャマイカ中のラジオ・ステーションがガーネットの歌をオンエアし続け、街が悲しんでいるように感じたのを覚えています。母親と共に天に召されたという現実が、今でも、代表曲のひとつである「ママ」を聴く度にヘヴィに響きます。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○MediaSabor  2008/02/04
 「雑誌特集のためのジャマイカ キングストン取材記(Part.1)」
http://mediasabor.jp/2008/02/part1.html


○ボブ・マーリー:スピリチュアル・ジャーニー(YouTube映像 02:34)
http://www.youtube.com/watch?v=qF37s8DMqo8


○ルーツ・ロック・レゲエ(YouTube映像 01:52)
http://www.youtube.com/watch?v=yNXsQ50UvDI&feature=related


○BARKS NEWS  2007/03/26
 「快挙!! ジャパン・レゲエの大砲INFINITY 16が世界ナンバーワンを獲得!」 
 ニューヨークのブルックリンにあるクラブ“ELITE ARK”で
 レゲエ・サウンドクラッシュの世界ナンバーワンを決めるイベント
 <International Cup - Garrison Showdown>が行なわれ、日本代表
 として出場したINFINITY 16(インフィニティー・シックスティーン)
 が優勝を果たした。
http://www.barks.jp/news/?id=1000030651


○クラブカルチャージャパン 2008/02/26
 「注目レゲエバンドのリーダーに迫る」
 未来型レゲエ・ダブ・ロックを聴かすジェイサン・アンド・ザ・アナログ・サンズ
 のアルバム『Sound Resistance』はもう耳にしましたでしょうか? NYを拠点に
 驚くべき数のライヴをこなしその名を世に浸透させてきた、“現在最も注目すべき
 レゲエ・バンド”ならではの、真のレベル・ミュージックが詰まった一枚です。
 そんな彼らのことをもっと知りたい!という要望にお答えして、リーダーの
 ジェイサンに対して行われた貴重なインタビューの模様を一部公開。必見です。
http://www.clubculture.jp/news/archives/2008/02/2008022611.shtml


○Don't trust under 30. 2007/08/09
 JAH CURE [True Reflections…A New Beginning]
 ジャー・キュアの声を、1994年に28歳で他界した天才シンガーの
 ガーネット・シルク(左写真)と比較する人もいるそうだが、その
 真摯で切実に迫る歌声は少なからず近いものを感じます。もちろん、
 まだまだガーネット・シルクの柔らかく伸びやかな声には及ばない
 ですが、声自体に悲しみを備えた所なども共通していますね
 (ちなみにジャマイカ人にとってガーネット・シルクという存在は
 ほぼ神格化されており、新しいシンガーが登場する度にガーネット・シルク
 と比較されるという運命が待っています)。
http://blacksmoke.exblog.jp/6078079/


○musicpool 「Dr. WAXのレゲエ講座」第15回 2006/1/12
 ヒップホップを生み出したパーティは、ジャマイカのサウンド・システムの
 記憶をたぐり寄せたものだったのだ。そんなわけで、レゲエはヒップホップの
 直接の親、と言える。ラップのルーツは近いところではレゲエDJなのだが、
 そのはるか昔にアフリカの言葉遊び文化が存在していることを付け加えておく。
http://musicpool.livedoor.biz/archives/50330460.html


○KONCHAN 「ボブ・マーリーの伝記映画、2009年全米公開予定」
 ボブ・マーリーの妻、リタ・マーリーが、史上初となる亡き夫の
 伝記映画でエグゼクティブ・プロデューサーを務め、夫の義理の
 娘にあたるR&Bシンガーのローリン・ヒルに自身役を演じてほしいと
 願っているとのこと。映画は2004年に出版されたリタ・マーリーの
 著書「No Woman No Cry: My Life With Bob Marley」
 (邦題:「ボブ・マーリーとともに」)を原作に、ワインスタイン・
 カンパニーが製作・配給を行う。
http://pub.ne.jp/tkondo/?entry_id=1253753


○★kette chant★ 2006/10/25
 映画『ワン・ラブ』 ─ONE LOVE─ (2003 ジャマイカ ,ノルウェー,イギリス)
http://blog.livedoor.jp/kette51/archives/50821495.html


○ジャマイカ旅行のまとめ ─レゲエのヴァイブスを渡ジャマで堪能─
 「ラスタファリズムとは」
http://jamaican.seesaa.net/article/53071654.html


○ボブ・マーリー公式サイト
http://www.bobmarley.com/


○ボブ・マーリー特集 【OnGen:国内最大級の音楽ダウンロードサイト】
http://www.ongen.net/international/artist/feature/bob_marley/index.php

 

 


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