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拡大する英語圏のブログビジネス動向:その人気ジャンルと広告などの収益

 普段あまり目にしない英語圏のブログ。個人ブロガーから企業ブログまで裾野が広く、ブログ総数は1億件を超えるといわれる。市場が大きいため、人気ブログのなかには広告収入で千万単位の月収を上げるところも。専業の広告代理業も成り立つ環境にある。


◆英語圏で人気のブログは

 米国を中心とした英語圏のブログメディアは日を追うごとに増えている。ブログ検索エンジンのテクノラティによると、現在の検索対象数は1億1280万ブログ。毎日17万5000件の新規ブログが誕生し、一日の更新数は160万件に上る。一秒あたり約18件の記事更新が行われている計算になるという。

 この膨大なブログ数の中から定期的に人気ランキングをまとめているのが、リサーチ会社のeBizMBAだ。ブログランキングというと、サイトの更新情報を公開するのに使われるRSSフィードを追跡したものが思い浮かぶ。しかし、eBizMBAでは複数の情報源を組み合わせた上で的確なランキングを出す試みを行っている。

 2月の人気ランキング上位30によると、1位から10位までは次のような順番となる。

 1位:Gizmodo.com、2位:TMZcom、3位:Engadget.com、4位:LifeHacker.com、
 5位:HuffingtonPost.com、6位: PerezHilton.com、7位: Gawker.com、
 8位:Kotaku.com、9位:treehunger.com、10位: ars technical.com。

 ブログの中身は、テック・ガジェット、芸能・ゴシップ、ニュース、環境にそれぞれ分類でき、うちテック・ガジェットが半分を占める。ハリウッドセレブのニュースなどを掲載する芸能・ゴシップも3つと多い。IT系と芸能分野の情報は、ブログの人気ジャンルとして外せない。

 ニュースブログとして唯一ベストテン入りしたHuffingtonPostは、政治ネタを中心に扱う左派系のブログ。ソフトバンクキャピタルやAOLの元チーフ・オペレーティング・オフィサーなどから1000万ドル以上の出資を受けるなどして注目を浴びている。40人以上の社員を抱え、CEOには元CBSNews.comのトップだったベッツイー・モーガン氏を迎え入れている。ブログ創設者のアリアナ・フフィングトン氏は、ギリシャ系アメリカ人で作家兼コラムニストでもある。


◆拡大するブログ広告市場

 それでは、英語圏のブログは一体どのくらいの収入を得ているのか。ブログ運営者にとっては興味のあるところだろう。昨年8月に民間企業とテキサス大学が行った共同調査によると、上位5万ブログの合計で5億ドルの収益を上げていることが分かった。

 同調査の分析によると、上位500ブログが合計で1億ドルの収益を上げ、これが上位7500社になると全体の90%に達する。額にして合計で4億5000万ドルを売り上げていることになる。これを見る限り、ブログの広告市場にも「購読者数」という規模の論理が働いていることが分かる。ただ、この調査からは、コンテンツの種類による広告単価の違いは分からない。テック系と比べてゴシップ系ブログの広告単価は高いのか安いのか、ニュースブログではどうなのか、といったことだ。

 ブログと広告主をつなぐ専門の広告代理業も増えている。Blogadsは2002年からブログ広告枠を販売するこの分野の老舗。現在1500のブログを扱う。Federated media Publishingはブログのプロモーションと広告枠の販売を行う方式で急成長を遂げた。140以上のブログをクライアントに持ち、同社のサイトには毎月6億件以上のページビューがある。ブロガー、広告主ともにウェブ上で簡単に利用登録が出来るBlogsvertizeでは、1エントリーごとに4ドルから25ドルの広告収入がブロガーの元へ入る仕組みだ。

 他のブログの見出しを集めた自社アグリゲーターサイトに、広告主ブログの最新記事見出しを掲載するのはTechmeme。画面右側に「スポンサー投稿」とする枠を設けて、6つのスポンサーブログから引っ張ってきた見出しと記事リード、それにロゴを掲載する。Techmemeが広告主のブログフィードを数分ごとに巡回し、常に最新エントリーを表示するようにしている。


◆新しいブロガー「ジャーナブロガー(jounablogger)」

 ここのところ米国のブログ界で目立ちつつあるのが、ジャーナブロガーと呼ばれる概念だ。ジャーナリストとブロガーの中間に位置する人々とでもいったらよいか。ブログ、ポッドキャスト、RSSのパイオニアと呼ばれ、スクリプティングニュースを運営するデーブ・ウィナー氏のように、テクノロジーの専門家としての経歴を持つ人がブログを書くケース。それとは別に、組織に属するジャーナリストが制約に縛られず自由に執筆するのを狙いに、独立してブログを始めるケースもある。こうした人たちは、個人もしくは新たに組織を立ち上げてブログを始める。

 どららも質の高いコンテンツを提供することが出来るため、既存のマスメディアにとっては脅威となりえる存在。特にIT系では、ジャーナブロガーたちが執筆するブログはスピードや内容で既存マスメディアを凌ぐことも多い。TechCrunchのように、広告収入で毎月25万ドル近くを得ているとされるブログも登場している。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○MediaSabor  2007/12/02
 「ジャーナリズムの尖兵か? ブログに見る日米メディア考」
http://mediasabor.jp/2007/12/post_274.html


○MediaSabor  2007/07/20
 人気ビデオブログ「Ask a Ninja:忍者に聞け」を使った広告キャンペーンの成功
http://mediasabor.jp/2007/07/ask_a_ninja.html


○MediaSabor  2007/05/06
 「米国ブログネットワークFederated Mediaがブログスフィアをリードする」
http://mediasabor.jp/2007/05/federated_media.html


○メディア・パブ 2008/03/04
 「ジャーナリスト風ブロガー“jounablogger”(その3)
 新興ブログ出版社が活躍の場に」
 こうした新興のブログパブリシャーの平均像は,カバー分野をターゲット化
 したニュース系グループブログ(ブロガーが複数人)を発行する小規模の
 オンラインパブリシャーといえよう。ブロガーも新しいタイプの
 ジャーナリストなのかもしれない。ここでは“jounablogger”との呼び名を
 使わしてもらっているが,伝統マスメディアのジャーナリストとはかなり違う。
http://zen.seesaa.net/article/86764175.html


○エキサイト ウェブアド タイムス 2007/12/18
 「メディア・パブ」田中善一郎が語る、ソーシャルメディアと新聞の未来――
 「ここはアメリカではない」
 アメリカにおいてマスメディアがソーシャルメディアを無視できなく
 なっている背景には、マスメディアとパーソナルメディアのあいだに
 “ミドルメディア”の台頭があります。アメリカでは、商用の
 ミドルメディア会社が次々と生まれています。マスメディアから
 スピンオフした人たちが設立したり、力のあるブロガーが集結して
 ブログネットワークを作ったりしているのです。
http://www.excite.co.jp/webad/special/rid_1099/


○MU:メディア・アンダーカレント
 アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)、坂和敏のブログ
 「TechCrunchが1億ドルでCNETに買われる?」 2007/10/05
 (・・・ちょっと眉にツバして読もう)
http://hsakawa.typepad.jp/mu/2007/10/techcrunchcnet_e42c.html


○ITpro 「ブログで大金を稼ぐ人たちとは?」  2007/07/31
 BusinessWeekに「トップ・ブロガーはどのように大金を手にしているのか」
 という記事があった。これまでも著名なブログは数多くあったが,今,
 それをビジネスに結びつけて,富を手にしている人たちが現れてきた。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070727/278514/?ST=ittrend


○at ブログヘラルド 「ネットワークブロガーの料金制度論」2007/04/26
 Tech Soapbox(テク・ソープボックス)のアハメッドは、多くの
 ブログネットワークで利用されている、ペイ・パー・ポスト
 (記事数を基準とした料金の支払い)ではなく、ネットワークブロガーへの
 料金を均一にすることで生まれる長所について議論している。彼は料金を
 均一にすることにより、ブロガーはいい記事を書くことに専念することが
 できると主張している。
http://jp.blogherald.com/2007/04/26/flat-rate-compensation-for-network-bloggers/

 

 


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