100万円で月旅行? 米セレスティス社の宇宙ビジネス
- 米国在住ビジネスコンサルタント
未知な分野に挑戦したり、常に新しいものを生み出したりするのはアメリカによく見られる状況である。今週も宇宙関連のファンクラブの友人が変わった月旅行の話を教えてくれた。約100万円で月旅行が来年から出来ると言うのである。それは間違いなく本当だが、但し死んでからでないと駄目だと言う。
先週サンディエゴで世界の葬儀屋さんが集まるコンベンションが行なわれた。その場で発表されたのが、テキサスのヒューストンにあるセレスティス社が来年に実行する、遺灰をカプセルに入れて月の表面に納めるサービスである。値段は一グラムの遺灰で9,995ドルだと言う。
セレスティス社は同じくヒューストンにあるスペース・サービシズ・インクと言う宇宙関連企業の子会社で、遺灰や遺骨の一部を宇宙に送るメモリアル・スペースフライトと言うサービスのパイオニアとして知られている。最初はNASAの依頼を受けて、1999年に最初のサービスを実行した。
NASAは高名な天文学者で宇宙地理学者であったユージーン・シューメイカー博士の遺灰を月に送ろうとして、そのカプセル作りをセレスティス社に依頼した。1999年7月31日に、同博士の遺灰の入ったカプセルは月の表面に到着し、彼が人類初の宇宙でのお墓第一号となった。
それと同じようなサービスを今回一般公開する訳である。ロケットの打ち上げに協力してくれるのはOdyssey Moon LimitedとAstrobotic Technology Inc.と言う二つの商業ロケット打ち上げ業者である。セレスティス社はカプセルや月表面に落としても壊れないプロテクターなどの準備をするらしい。
セレスティス社はすでに1997年には24人の遺灰を乗せたロケットを地球軌道に乗せ、その後、永遠に地球軌道を回り続けるのではなく、回った後、また地上に戻って来るサービスや、土星探索のボエジャー機を利用してもっと深い宇宙空間に送ったりして来た実績がある。
今年6月には205人の遺灰を乗っけて地球軌道に送るとの事である。同社のキャッチコピーは「我々は星から生まれ、また星に戻る」である。地球温暖化などが更に進み、この地球が人類に住みにくい星になると、我々の子孫はその内に月に住むようになるのかも知れない。
しかしそれ以前にお墓の方が先に宇宙に出来つつある。「地獄の沙汰も金次第」と言うが、「宇宙の沙汰も金次第」のようである。月のお墓の料金もスタンダード・サービスの9、995ドルとプリファード・サービスの14,995ドルと二種類あるそうである。
皆様のご参考までにセレスティス社のMemorial Spaceflightsのメニューと値段表を下記に掲げたい:
Earth Rise Service 695ドル (宇宙に上げてまた地球に戻す)
Earth Orbit Service 2,495ドル (地球軌道を永久に回り続ける)
Lunar Service 9,995ドル (月表面ないしは月軌道を回る)
Voyager Service 12,500ドル (宇宙空間奥深く進み続ける)
<関連リンク>
▼Celestis, Inc. www.celestis.com
▼Odyssey Moon Limited www.odysseymoonlimied.com
▼Astrobotic Technology Inc. www.astrobotictechnology.com
【編集部ピックアップ関連情報】
○MediaSabor 2007/08/07
「急な不幸、慌てずに葬儀を仕切るための最低限の知識」
http://mediasabor.jp/2007/08/post_191.html
○WIRED VISION 低価格になって人気集める「宇宙葬」2006/02/23
http://wiredvision.jp/archives/200602/2006022302.html
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