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米国企業の過酷な社員監視。ネット、電子メールの不正使用で解雇(クビ)は50%以上。

  • 米国在住ジャーナリスト

  オフィスで仕事中に、業務と関係のないことでインターネットや電子メールの利用をする人も少なくないだろう。企業によっては、利用ガイドラインを作るなどして私用でのネット利用を防いでいるようだが、米国ではもっと厳しい。最近の調査によると、不正利用が発覚した段階で即刻クビにする会社が50%を超えるとの結果が出た。


▼ 66%の企業が社員のネット利用を監視

  調査を実施したのはインフォワールドというIT系の調査会社で、米国経営協会(AMA)とEポリシー協会の指導を得ながら行われた。対象はさまざまな事業規模の304社。2月末に結果を発表した。

  それによると、まずインターネット接続の監視をしていると答えたのが3分の2に相当する66%に上った。私用ができないよう、特定のウェブサイトをブロックするソフトウエアを導入しているのが65%、従業員が会社からブログを書いたりしないよう、これらのURLにアクセスできないように遮断していると答えたのが18%だった。

 監視の方法に関して最も多かったのが、閲覧したコンテンツ、キーボードの打ち込み、費やした時間を追跡するというもの。半数近い45%がこの方法を用いている。次いで多かったのが、パソコンの中のファイルをチェックする方法で43%。12%がブログへの接続を監視し、10%がSNSへの接続状況を同様に見ている。

  例えブログの更新をしなくとも、SNSにうっかりニュースをチェックしに行けば、それだけで不正使用と受け取られてしまう可能性があるわけだ。


▼ 仕事中にアダルトサイトを見たらクビにする会社は84%

  業務中にインターネットを私用利用してしまったらどうなるか。ここが興味深い部分だが、何に使ったかによっても異なってくる。最も厳しいのはアダルトサイトやその他不適切なサイトにアクセスした場合で、何と84%の企業が解雇手段を取ると答えている。

  それほど不適切でない私用の場合には猶予をもらえるようだが、それでも34%が過剰な私用に対して解雇処置を施している。仕事をサボってネットサーフィンをしていると、ある日突然、人事担当者に呼ばれてクビを宣告される可能性も十分にあり得るわけだ。

  電子メールのやり取りは仕事に付き物だが、こちらも厳しく監視されている。電子メールの利用規則は各企業によって細かく定められているが、これに違反した場合64%の企業が違反した従業員を解雇する。

  また、例え社内間のメールであっても注意が必要。攻撃的な言葉を用いたり、侮辱したりすると、解雇に結びつくと回答したのが62%に上るからだ。会議で熱くなって、その気分を持ち込んだまま相手に激しい言葉でメールをしてしまったりすると、明日から自分の席はない、というようなことが3社中2社で現実に起きている。

  業務中の電子メールの私用利用も違反になり、行き過ぎると解雇すると答えたのが25%。会社の機密をメールで漏らすなど機密ポリシーに違反した場合にも、22%が解雇されている。


▼ 監視は事前に従業員へ通知

  こうした厳しい対処の裏には、電子メールの不正利用を放置しておくことで、訴訟に結びつく危険性があることを無視できない。

  社員の流したメールに書かれた機密情報などを元に企業が訴えられるケースも増えており、24%が不正使用された電子メールを元に裁判所から召喚状を受けたことがあると答えている。また、不正利用された電子メールを元に訴訟を起こされた企業は15%に上る。いまや危機管理上、従業員のネット利用の監視は重要な項目となっているようだ。

  ただし、黙って監視するということはあまりなく、何をチェックしているのか事前に従業員へ知らせているケースがほとんどだ。約8割の企業がインターネット利用に関して、7割の企業が電子メールに関して監視することを事前に表明している。

  オープンに規則化することで、無用のトラブルを防ぐ狙いもある。2つの州では、監視に対する従業員への通告義務を会社側に義務付けているという。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○セキュリティ情報ディレクトリ:ITNAVI.net
http://itnavi.net/


○WIRED VISION 2008/02/19
 「あなたの会社は仕事中にはてぶを使えますか?──IT鎖国する大企業」
 今企業の競争力で重要なのは創発力であり、新しいアイデアを生み出す
 ために必要な知識の多くは社内にあるのではなく、社外である。恐らく
 多くの社員が企画書を書くときに社内のイントラネット上の検索エンジン
 よりもグーグルを利用していることだろう。日本の現在の行き過ぎた
 コンプライアンスにそろそろ歯止めをかけていかなければ、ITによる
 競争力をさらに弱める方向に進むことになるだろう。
http://wiredvision.jp/blog/fujimoto/200802/200802191000.html


○FPN  「社内SNS/ブログも大炎上するのか?」2007/03/27
 ▼ビッグブラザーの存在を社員が肌で感じる時・・・・・
 この場合、社員は殆ど社内ブログを書きません。社内SNSにも参加しません。
 情報監視社会で何か言うとそれこそ「給与に響き、明日の我が身が危うい」
 状態になります。
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=2106


○Nikkei BPnet 仕組みだけの「内部統制」には限界がある 2008/04/08
 意外に思われるかもしれないが、実は信頼されている人ほど不正に
 走りやすい。信頼されている人には、仕事が集中し、権限が大きくなる。
 周囲からのチェックの目も甘くなる。必然的に不正を働く機会も増えて
 しまう。経営者の不正リスクが高いのはそのせいだ。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/topics/c-gov/080408_5th/


○虚心坦懐:中小企業診断士:JOJO─永井 貴之
 「海自、シンクライアント全面導入」 2008/02/10
http://jojoblog.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_0d56.html

 

 


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