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Flickrにおける高画質はVideoになっても何にも変わっていない

先日2008年の4月9日、前々から約束されていたとはいえ、突然FlickrがVideo機能を追加しました。いわゆるYouTubeタイプの動画共有サイトが数多くある中、しかもYouTubeがコンテンツ量でもPVでもどんどん独走態勢に入っていることを考えると、Video機能の追加というのは、若干時期を逃したという感じは拭えないものがあり、「FlickrにVideoはいらない」などと言われる様な事態というのは容易に想像できます。

実際、Flickrのグループを検索してみると、既に「no video」というグループも立ち上がっています。しかもこのグループには2万人程度のユーザーが参加しています。

こんな状況の中、FlickrのオフィシャルのブログであるFlickr Blogには、Video機能のリリース当時は、もちろんのこと、その後Videoがアップされています。もちろん、これはいつものFlickr Blogがそうであるように、ユーザーが投稿したVideoをFlickrがピックアップしているものです。


Night Dive with Manta Rays:Flickr

six twenty nine:Flickr


この2つの動画をみて思うことは、まずこの圧倒的な高画質です。それはFlickrのVideo機能が高画質だからというだけの意味ではありません。そもそもユーザーが投稿した動画が高画質なのです。そして、この高画質はFlickrの作為的なリードによりもたらされたと考えるのが賢明です。

 リンク: FlickrのVideoが高画質,HDですさまじくYoutubeと差別化:[mi]みたいもん!

上記の私自身のエントリーで細かく書いていますが、今回のFlickrが打ち出した(動画アップロードのための)Videoのフォーマットは、いわゆるYouTubeタイプとはまったく違うものです。

  ・動画時間:90秒
  ・ファイルサイズ:150MB

通常の感覚でいうと、このフォーマットは、動画の長さに対して、余りにもファイルサイズが大きすぎます。しかし、これはHDということを意識すると当然必要なファイルサイズです。つまり、Flickrは最初からHDという高画質を想定して(動画アップロードのための)Videoフォーマットを決定したと考えていいでしょう。

そして、この90秒という長さが実に絶妙な長さなのです。

日本のブログの中にも、すでにこの90秒という動画の時間に反応しているエントリーがいくつかあります。

 リンク: Flickr Video! Video! Video! | BLOG × WORLD ENDING

90秒以内という時間は一見短すぎると感じるかも知れませんが、これは「写真の撮影がメインで動画は気が向いたときにデジタルカメラの動画機能で撮影する」というスタイルのユーザーを狙っているからなのではと思います。

 リンク: 2008-04-09 - [mmnow] my moleskine notebook on web

写真も映像も見るのは好きだ。だが映像は、ネットサーフィンしてるときにYouTubeの5から10分の動画を立ち止まって見る気には、なかなかなれないんだ。それに「時間を切り取った写真」としての動画なら、高画質の方が断然良い。

 リンク: 安藤日記

多分、Flickrが考えているのは、本来の「動画」じゃなくって、「ちょっとだけ長い時間を切り取った写真」なんじゃないかって。そう思う。

そして、ここでもう1度「高画質」という言葉に戻りたいと思います。そもそもFlickrというフォトストレージサイトがスタートしたときに、私や多くのブロガーが飛びついたのは、写真を共有できるからではありません。それは、Flickrだけがデジカメのオリジナルサイズをアップロードできたからです。

オリジナルサイズがアップロードできるということは、自分の写真データのバックアップになるだけではなく、当時の他の写真関連のサイトとは、画質という意味で、Flickrはまさに他のサイトを圧倒したのです。

つまり、Flickrのコンテンツに対する姿勢というのは、写真でもVideoでも全く変わっていないわけです。

他の写真サイトを高画質で圧倒した後もFlickrは機能追加を続け、今ではアップロードの容量については無制限です。ユーザー数でFlickrを上回るサイトはいくつか存在しています。しかし、ハイエンドの写真を撮影することを愛するユーザーを多く捕まえ続けているのはFlickrです。ということは、今後も写真同様にVideoにも機能が追加されていくことになるはずです。

Flickrのサービスの確かさを信用した私は、過去のデータも含めてすべての写真データをアップロードしました。そして、そのおかげで写真をアーカイブする価値を知ることになりました。

コンテンツを理解しているFlickrは、1ファイルにはファイルサイズの制限をかけていますが、Video全体のアップロードの容量については、制限をかけていません。つまり、90秒で150MB以下であれば、いくらでもVideoをアップロードすることが可能になります。

まだ、Flickr UploaderがVideoに対応していないため、Web経由でアップロードするしかありませんが、Flickr UploaderもVideoに対応することはすでにアナウンスされています。

Flickr UploaderがVideoに対応したら、Flickrのユーザーは、過去のVideoも含めてアップロードをはじめるでしょう。その豊かなアーカイブが、さらにFlickrのサービスをより強固なものにしていくでしょう。

そして、この「高画質」なコンテンツとFlickrというサービスが分ちがたい関係にあることを、いちばん理解しているのは、Flickrのスタッフ自身に他なりません。

【編集部ピックアップ関連情報】

○GIGAZINE 2006/11/03
 写真共有サービス「Flickr」のハイクオリティな写真集

○CNET 2007/11/27
 「Flickrに続くサイトを探せ!クールな写真を探すにはどこがいい?」


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