Entry

マイカーなのに自宅前までの運転ができない。ドイツ排気ガス規制区域設置で13万台の車輌が締め出し?

〔記事概要〕

 ドイツでは、2007年3月1日から排気ガス規制値による都市部への自動車乗入れ規制が実施されている。排気ガス規制値によって4ランク(ユーロ1から4)に分けられたステッカーを、フロントガラス前方に貼っていない車輌は、排気ガス規制区域の標識がある区域に乗入れることができない。

 首都ベルリンでは、この排気ガス規制区域設置のため、市内から約10万台の車輌が締め出されることになったが、2010年にはさらに第二排気ガス規制区域が実施され、現在最良レベルであるユーロ4のステッカーをもつ車両のみ走行可能となる。こうして規定が厳しくなることで、さらに10万台の車輌が利用不可となるであろう。

ターゲスシュピーゲル 2008年5月5日付
http://www.tagesspiegel.de/berlin/Umweltzone-Feinstaub-Plakette;art270,2525177


〔解説〕

 2008年1月1日から排気ガス規定区域設定を導入したドイツの三都市ベルリン、ハノーファー、ケルン以外にも、20都市が今年中に導入する予定だ。炭化水素や窒素酸化物、粒子状物質を対象とする排ガス規制に基づいて、ユーロ1から4までのランクに車両が分けられ、ユーロ2以上の規制レベルの車両にはステッカーが与えられるため、これをフロントガラスの前方に貼ることで、規制区域での走行が許可される。

 まず緑のステッカーはユーロ2規制をクリアしたディーゼル乗用車、黄色のステッカーはユーロ3規制をクリアしたディーゼル乗用車、そして緑のステッカーは、ユーロ4規制をクリアしたディーゼル、及び制御式キャタラーザーを装備したガソリン乗用車、電気自動車、燃料電池車などに与えられる。このステッカーは5ユーロで販売されており、区分付けは、車検証に記載され、ドイツ技術検査協会(TÜV)の車検場で、専門検査官が行う車検証検査によって、ステッカーの交付をうけることができる。この場合車検証のみで、実車を持ち込む必要はない。

 2010年に規制レベルが改正されると、取り締まりはさらに厳しくなり、緑のステッカーを持つ車両のみが規制区域での走行を許される。つまり2010年以後は、緑以外のステッカーは無効となる。ステッカーを貼っていない車両が規制区域に乗り込むと、罰金が徴収されるが、対象となるのは、国内の車両だけではなく、外国からの車両も義務付けられているので注意が必要だ。

 ドイツでは、浮遊粒子状物質ガイドラインの数値を超える都市が多くあり(ミュンヘン、ベルリン、ドルトムント、コットブス、ブレーメン等)、人体の健康に被害を与えるのは、浮遊粒子状物質だけではなく、二酸化窒素や、二酸化硫黄、一酸化炭素、ベンゼン、オゾン等である。これらはDPFのない古いディーゼル車輌や、微粒子除去装置の設置されていないガソリン車輌が原因である。

 首都ベルリンでは、2008年1月より規制区域が導入されており、市内交通社BVGの環状線内にあたる市街地では、ステッカーをつけている車輌のみの移動が許されており、ベルリンの車両で、認可をうけているものは全体の8割に当たる。

 ベルリンの規制地域は面積にすると、約88 平方キロメートルにあたり、ベルリン人口340万人中100万人が住んでいる人口過密地帯である。また規制区域を設定することで、ステッカー購入費、標識の設置、車輌への装置取り付け等、約10億ユーロのコストがかかると言われている。規制反対派の間では、コストの割にあまり効果がないという批判のほか、フィルターを後付けできない車輌は手の施し様がないため、処分するしかないことも批判の種だ。

 区域外であれば、その中を走行しなければいいのだが、区域内に自宅を持つ住民で、規制をパスできない車両を持っている場合、自宅前まで乗車できないと不満の声もある。実際どれほどの環境対策としての効果を得るのか注目されるところだ。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○東京都環境局 ディーゼル車規制総合情報サイト
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/jidousya/diesel/


○EUニュースfrom木村オフィス「ドイツ都市部自動車乗り入れ規制」2007/03/27
http://www.drivingfuture.com/blog/nachrichten/2007/03/001951.html


○=のぶさんの独り言=  2008/01/02
 「ドイツで自動車排気ガス削減にステッカー貼り付け義務」
 大気汚染抑制が目的だとか。それは旧型のディーゼルエンジン車根絶が
 視野になるからだろう。 
http://blog.kansai.com/nobsan/2323

 

 


  • いただいたトラックバックは、編集部が内容を確認した上で掲載いたしますので、多少、時間がかかる場合があることをご了承ください。
    記事と全く関連性のないもの、明らかな誹謗中傷とおぼしきもの等につきましては掲載いたしません。公序良俗に反するサイトからの発信と判断された場合も同様です。
  • 本文中でトラックバック先記事のURLを記載していないブログからのトラックバックは無効とさせていただきます。トラックバックをされる際は、必ず該当のMediaSabor記事URLをエントリー中にご記載ください。
  • 外部からアクセスできない企業内ネットワークのイントラネット内などからのトラックバックは禁止とします。
  • トラックバックとして表示されている文章及び、リンクされているWebページは、この記事にリンクしている第三者が作成したものです。
    内容や安全性について株式会社メディアサボールでは一切の責任を負いませんのでご了承ください。
トラックバックURL
http://mediasabor.jp/mt/mt-tb.cgi/683