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アメリカのテレビ番組はオンラインで見る時代に

アメリカでは、テレビ視聴がますますインターネットへ移行する動きが強まっている。アメリカの4大テレビと言われる、ABC、CBS、NBC、FOXは、オンラインでほとんどの人気番組を配信し始めた。テレビ番組コンテンツをインターネットで見るという動きは、これからますます強まりそうだ。

YouTubeの動画共有から火がつき、若者がインターネット上で動画コンテンツを見るという流れは止まるところを知らない。YouTubeは不動の人気を確立したと言っていいだろう。放送局がYouTubeへアップされるテレビコンテンツの海賊版をなくそうと、イタチごっこを行ったことも記憶に新しい。

インターネット動画の人気が定着した今、アメリカの放送局はオンラインでの視聴に力を入れている。放送局はテレビコンテンツをテレビの画面をとおして提供するという概念を捨て、オンラインでの視聴者拡大に乗り出した。なかでも注目を集めているプラットフォーム、「Hulu」 http://www.hulu.com/を紹介したい。






Huluとは、NBCがFoxと共同開発した動画ストリーミングサイト。2007年の11月頃から始まった。NBCとFoxテレビ番組のコンテンツがHuluに提供され、視聴者はたくさんのコンテンツをオンラインで、もちろん無料で楽しむ事が出来る。

NBCとFoxという競争関係にある企業が共同で開発することから、公開前はHuluの出来が疑問視されていた。しかし蓋を開けてみるとHuluが使いやすく、コンテンツも多いと評判は上々だ。現在は予想視聴者数の数倍のユーザーが訪れる人気ぶりとなった。Huluのコンテンツには、シンプソンズ、ファミリー・ガイ、ザ・オフィス、サタデーナイトライブなど人気番組が目白押しだ。

操作もとてもシンプル。見たい番組をクリックすれば20秒ほどでダウンロードが完了し、あとは止まることもなくスムーズに画像が流れる。画質も綺麗で、ストレスは全くない。気になるコマーシャルは、20分ほどのアニメ番組には3本、40分ドラマには6本入っている。コマーシャルは1回につき15秒で、スキップすることはできない。本来テレビであれば3分ほど連続でコマーシャルを放送していたわけだが、それに比べれば15秒の広告を見るのは、苦にならないという印象だ。全体の放送時間と進行状況に加え、いつコマーシャルが入るかが表示される。これも視聴者側のことを良く考えている。そのほかスポンサーのロゴが番組の右上に表示される。

以前はインターネット上の動画に戸惑いを示していたテレビ局だったが、ここで一転してインターネットの視聴を商機にするという戦略にシフトしていっている。コマーシャルが埋め込まれているため、視聴回数が増えれば広告収入の増大につながる。何としてでもインターネット市場で成功したいところだ。とはいっても、コマーシャルなしのテレビ番組をYouTubeで見るというスタイルが先行している。放送局が展開するオンライン戦略にどれほどの人が巻き込まれるのか、この先がますます楽しみだ。

【編集部ピックアップ関連情報】

○Distribution Revolution -インターネットとコンテンツ配信-
 「オンラインVODのコンテンツ集積・配信モデル」 2008/05/13
  Huluはプロが制作した動画コンテンツを検索するプラットフォームと
 なることも目指しており、Huluのサイトにある検索エンジンは、
 Huluに番組を供給していないABCやCBSの番組の在り処を
 探し当てることも出来ます(もちろん対象は合法的に提供されている
 コンテンツだけですが、ABCやCBSのサイトにある動画視聴ページと
 リンクを貼ることで、ユーザーがHuluのページからそれらの番組に
 たどり着くことが出来るようにしています)。
http://d.hatena.ne.jp/wataru_75/20080513/1210668602

○ITmedia News 「YouTube対抗」サイトHulu、正式立ち上げ 2008/03/13
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/13/news014.html

○ITmedia News 「Y世代の6割が公式サイトで番組全編を視聴」 2008/03/13 
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/13/news020.html

 

 


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