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ヨーロッパ初の学校主導による「子どもにテレビ・ゲーム・ネットなしの10日間を」

<記事要約>

フランスの北東部ストラスブルグに住む6歳から11歳の254人の小学生が、10日間テレビなし、ビデオゲームなし、コンピューターなし生活を体験した。小学校が校内で希望者を募って行われた計画。テレビを見るかわりに、裁縫教室、戸外での遊び、自転車ツアーなどのリクリエーションを地域団体や家族が提案。結果として、参加者の90%が10日間のテレビなし生活を達成できた。影響力の大きいテレビ視聴を、禁止ではなく、制限するための一歩だという。

http://www.lefigaro.fr/actualite-france/2008/05/31/01016-20080531ARTFIG00025-succes-pour-l-experience-dix-jours-sans-teleet-sans-ecran.php
(5月30日付け日刊紙フィガロより抜粋)


<記事解説>
 
 一人当たりのテレビ平均視聴時間が世界最長という日本。フランスでもテレビ視聴時間は年々増加傾向にあり、子ども達の思考力、暴力への影響が問題視されている。同時に、テレビは親にとって便利なもの。躾をするかわりに、静かに画面の前に座っていてくれるテレビを子どもに見させる親も多い。子どもの教育への関心が低い貧困層ほど、子どものテレビ視聴時間が長くなる。

 ヨーロッパ初の学校主導のこの試みは、90%の生徒が10日間テレビなし、コンピューターなしを達成できたという満足いく結果に終わった。参加した生徒達は、毎日の校外での行動、つまり、テレビをみたか、ビデオゲームをしたかどうかを連絡帳に記入し、親がそれに同意署名をして教員に毎日提出する。

 実施された10日間、子ども達の間では、学校でテレビ番組の話をするかわりに、他のことが話題になり、外で遊ぶことが増えたので、体が疲れて通常より早く寝付くということも見られた。この計画は、テレビを禁止するのが目的ではなく、受動的にテレビをだらだらと見る癖を変える、テレビ以外の楽しさを体験させ、映像の違った見方を開発するのがこの計画の目的だ。

 ほとんどの子ども達は、比較的すんなりと変化を受け入れている。大人が想像していたほどは、テレビを諦めるのは難しくないようだ。習慣になっていた登校前に人気アニメを見るのをやめることが、一番大変だったそうだ。

 情緒発達著しい時期の子ども達へのテレビの影響は、はかりしれない。子ども達は年間平均1200時間をテレビの前で過ごすそうだ。その中で平均8000回もの殺人シーンが繰り広げられる。2009年には、フランスの他の2つの小学校でも同じ計画を実行することが予定されている。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○少年犯罪データベースドア
 「若者論を疑うことは人生の目標となりえるか?」 2008/04/27
 少年犯罪が増えてるだとかゲーム脳だとかニート叩きだとかの間違った
 言説を正す科学的データを提示し、闘う若者へ武器を提供する「武器屋」
 であると、後藤氏は自分を規定しています。
http://blog.livedoor.jp/kangaeru2001/archives/51606934.html


○のいちごくっきーの宇宙日記  書評「若者論」を疑え! 2008/05/01
 気になる点としては、最初の本田由紀氏との対談では社会や人間に対する
 見方がおかしいことである。バッシングで国家による統制が進むことへの
 危惧は分かるが、“Nothing is perfect.”と言い切って個々の社会問題に
 対する取り組みを甘くしてもよいというのはいかがなものだろうか。
http://wildstrawberryspace.blog63.fc2.com/blog-entry-110.html

 

 


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