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ボサノバ誕生50周年、国内外で広がる期待


ボサノバが生まれた街 リオデジャネイロ

 1958年に、モライスが作詞、トム・ジョビンが作曲したボサノバ第一号、「Chega de Saudade(想いあふれて)」が、ジョアン・ジルベルトの歌で録音されてから、今年で50年。2008年3月1日に、リオデジャネイロのイパネマ海岸でイベントが行われたのをかわきりに、ブラジル内外でボサノバ生誕50周年を祝う動きが活発だ。ドキュメンタリー映画の公開や関連書籍、CDの相次ぐリリース、ラジオ局、雑誌のキャンペーンなどが企画されている。

 中でも7月のはじめからサンパウロで行われる、ボサノバ大回顧展の開催に注目が集まっている。回顧展の一環として、カエターノ・ヴェローゾとホベルト・カルロスが、合同コンサートを行うことが決定しているのだ。また、ニューヨークでは、6月中旬に開催される「JVCジャズ・フェスティバル」で、ジョアン・ジルベルトのコンサートが行われる。

 ボサノバの発祥地であるリオデジャネイロでは、懐メロ的な存在と捉えられる風潮があるのが現実だ。実際、ドラマやカフェ、書店のバックミュージックとしては定着しているが、ボサノバを聞きにコンサートに足を運ぶ人々は減りつつある。ボサノバを聞かせるバールには、観光客が地元民より多く押し寄せる。名曲「イパネマの娘」が誕生したバールも、ツーリストスポットだ。

 しかしブラジルのミュージシャン達が、「ボサノバは生き続けている」と口をそろえるのは興味深い。ボサノバは現在ブラジルの主流音楽である、MPB(ブラジルポップミュージック)に大きく取り入れられている。ボサノバはポルトガル語で「新しい感覚」といった意味を持つ。時代とともに変化しながら、「新しい感覚」を探し続けていく。そんなボサノバが新しいブラジル音楽と共に生き続けているのだ。 

 「50年たった今だからこそ、ボサノバがリオの音楽の奥底に存在すると知ってほしい」と、ボランティアで様々なボサノバイベントを企画する、文学教授のカルロス・アフォンゾ氏は語る。誕生50周年をきっかけに、リオデジャネイロではボサノバをもう一度見直そうという動き、そして世界では更なる定着、人気拡大が期待されている。


▼トム・ジョビン、ジョアン・ジルベルトがリオ・デ・ジャネイロの市立劇場で
 「想いあふれて」を共演したときの貴重な映像(YouTube 04:41)
http://jp.youtube.com/watch?v=guMek3_D6ls&eurl

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○映画のメモ帳+α 2007/08/07
 「This is BOSSA NOVA ディス・イズ・ボサノヴァ」 
 映画『This is BOSSA NOVA ディス・イズ・ボサノヴァ』は
 ボサノヴァ創生期から現在まで活躍し続けている巨匠カルロス・リラ
 とホベルト・メネスカルを案内役として、ボサノヴァ誕生のエピソー
 ドやライブ映像などを通して、ボサノヴァの歴史と魅力を探っていく
 ドキュメンタリー作品です。
http://moviepad.jugem.jp/?eid=121


○VOCAL RIEの“人生とは何ジャズ”?
 「映画 “THIS IS BOSSANOVA”を観た」 2007/08/14
 もうひとつ、ボサノバには大きな特徴がある。ボサノバは海と山に
 囲まれた南国の美しい都市、リオで生まれた。そのリオに暮らす
 アッパーミドル・クラスの若者たちによって育まれた音楽がボサノバ。
 サウンドにも歌詞にも、「人生を楽しむ天才」と呼ばれるカリオカ
 (リオっ子)のライフスタイル、都会的な知性とウィット、その
 センス(bossa)がうかがえる。
http://vocalrie.blog71.fc2.com/blog-entry-486.html


○ザ・ミディアムレア・バンド ブログ
 「CD紹介2枚ほど。(^^♪」  2008/03/01
 ●セルジオ・メンデス/モーニング・イン・リオ
 ボサ・ノヴァ誕生50周年を祝う、セルジオ・メンデスのニューアルバムです。
 ブラジル音楽とジャズ・ファンクが融合した刺激的なサウンドが今回も
 ぎっしり詰っています。なんと日本からはDREAMS COME TRUEが参加!
 彼らが参加した曲「ルガール・コムン」では、吉田美和の日本語ヴォーカル
 がとても印象的な仕上がりになっています。
http://blog.livedoor.jp/bossanova1957/archives/54989520.html


○十六夜亭日乗 2007/11/25
 ミルトン・ナシメント「クルビ・ダ・エスキーナ」を聴く。
 ミルトン・ナシメントはMPB(【エミ・ペーベーと読む】ブラジリアン・
 ポピュラー・ミュージック)と呼ばれるジャンルの代表的な
 ミュージシャンです。
http://izayoitei.seesaa.net/article/69169394.html


○VITAMIN MINERAL NUTS  「ジャケ買いのススメ」 2007/10/24
 MPB(Musica Popular Brasileiraの略、ブラジリアン・ポピュラー・
 ミュージックの意)の代表格、カエターノ・ヴェローゾさん
 (Caetano Veloso)やジルベルト・ジルさん(Gilberto Gil)といった
 ところはおさえていたのですが、フィメール・ヴォーカルとなると
 何処から手をつけていいのやら、と考えあぐねていたところに、
 あらゆる方面に造詣の深い友人から救いの手が差し伸べられました。
 マリーザ・モンチさん(Marisa Monte)がそのひと。
http://plaza.rakuten.co.jp/nutsblog/diary/200710240000/

 

 


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