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ヒラリー・クリントンが撤退。女性政治家としての苦悩を語る

米大統領選で、民主党の指名候補者争いに敗れたヒラリー・クリントン上院議員が、6月7日ワシントンで選挙戦から撤退し、バラク・オバマ氏の支持を表明した。長期に及んだ民主党の指名候補者争いはとうとう終焉し、米国初の女性大統領と囁かれていた最有力候補ヒラリー・クリントンの敗北が確定した。

今まで「強い女」と言われ、タフに戦い続けたヒラリー。7日のワシントンでは30分ほどのスピーチを行い、バラク・オバマの支持を表明すると共に、彼女が直面してきた女性活動家としての苦悩を語った。

「女性である私が、大統領を目指すという事について、選挙中、自身に問いかけてきました。私は女性として大統領を目指すことを誇りに思っています。立候補する理由は、私が最良の大統領になると思っているから。でもやはり私は女性であるということも事実。他の女性が感じているのと同じように、障害や偏見が、無意識のうちに存在することも分かっています。」 彼女はスピーチでこう話している。

アメリカ社会では、女性に「ガラスの天井」という、見えない壁が存在すると言われている。優れた人物であっても、男女平等には決して扱われない。ヒラリーがここまで進出したのは、その壁を打ち破ってきたからだった。

ヒラリーの自伝によると、彼女の最初の挫折は高校の時。生徒会長に立候補した時から始まっている。当時ヒラリーは、男子生徒の中に混ざって、一人女子生徒として立候補した。クラスメイトの男子からは、女で生徒会長になれると考えるなんて、「本当にバカだ」と吐き捨てられた。

結果ヒラリーは落選。しかし当時の生徒会長から依頼されて、ヒラリーに生徒会委員長の役が巡ってきた。それからヒラリーは、学校のパレードやダンスなど、学校の組織を運営することを心から楽しみ、リーダーとしての頭角が現れはじめた。その時からヒラリーは女性活動家として、数々の壁を打ち破ってきたのだ。

7日ワシントンでのスピーチで、ヒラリーは将来への希望も語っている。「私は、私の母が願っても与えられなかったような機会を授けられた娘として出馬しました。そして私は、娘の将来を危惧し、全ての子供を明るい未来に導きたいという母として出馬しました。将来を築いていく為に、私たちは女性と男性が同じように祖母や母の葛藤を理解し、女性が平等な給与を与えられ、平等な尊敬を受けるということを確固たるものにしなければなりません。21世紀には、いかなる制限も、偏見もあってはならないのです。」

2008年の予備選が始まる頃から、アメリカにはアフリカ系アメリカ人の大統領や、女性の大統領を受け入れる用意は出来ているのか? マスメディアではそのような議論がされていた。

ヒラリーは7日のスピーチで、「女性が最高司令官になることが出来るのか? ──きっと私はその答えを出すことができたでしょう。アフリカ系アメリカ人はアメリカの大統領になることが出来るのか?──オバマはその答えを出すことができたでしょう。」と話す。

今回の予備選では、アフリカ系アメリカ人であるオバマが勝利した。しかし互角で戦ったヒラリーからも、アメリカは女性大統領を受け入れる準備ができているということが証明された。

ヒラリーが撤退することになったことで、しばらくの間、アメリカから初の女性大統領が誕生する日は遠ざかった。しかし、アメリカでも女性大統領が誕生する日が来る。そう人々に確信させたヒラリーの功績は大きかっただろう。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○堀田佳男  ジャーナリストのエンジン
 「ヒラリーの敗北宣言」 2008/06/10
  オバマとヒラリーのこうした言葉の意味を考えると、両者の間にはすでに
 「出来レース」と呼べるだけの取り決めが交わされていたのではないか、
 との疑念が浮かぶ。
http://www.yoshiohotta.com/?cat=8


○トクダス 「全米の占い師は、次期大統領を彼に決定しました」2008/05/23
  コロラド州デンバーでこのほど開かれた全米占星術会議で、
 次期米大統領を占うパネルが開催され、出席した7人の著名占星術師は
 全員一致でオバマ候補(民主党)を選んだ。
http://nikitoki.blog.so-net.ne.jp/2008-05-23-4

 

 

 


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