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街の景観と広告との融合。自治体提携型のストリートファニチャー創作ビジネス

(記事概要)

 ドイツの首都ベルリンには、面白い自治体密着型の広告会社がある。この株式会社WALLは広告屋といっても、そのサービス内容は多様でユニークだ。デザイナー、建築家、エンジニアが協力して、所謂「街の家具(Strassenmoebel/英Streetfurniture」を作るのが彼らの仕事。商品は自治体のために無料で作り、その家具に取り付けられる広告代で収入を得たりしているそうだ。

 日本進出の話もあったそうだが、自治体密着型ビジネスが根付く土壌がなかったので駄目になったとの噂もちらほら。彼らのすごいところは、商品を作るだけではないこと、つまりその清掃やケアのサービスも提供している。現在海外事業所はオランダ、トルコ、ロシア、アメリカ合衆国、ハンガリーと、ドイツを入れ計6カ国50都市に進出している。

関連URL:http://www.tagesspiegel.de/wirtschaft/Wall-AG;art271,2543518
『ターゲスシュピーゲル』WALL社の有料トイレサービスの建築 2008/06/04 

WALL社の英文サイト
http://www.wall.de/index_en.html


(解説)

 ベルリンの人々に一番身近なWALL社の商品と言えば、市内交通BVGのバス停だ。ガラス張りに囲まれたコーナーに、鉄パイプのベンチがある明るくシンプルなデザインのバス停は、とても快適。壁の左右には両面に広告ポスターを差し込める機能がついていて、これが彼らの収入源となっている。

 もちろんアイデアに富んだ同社が考えるのはこれだけではない。ベルリン市内が犬の糞で汚れてしまい困っているところに、面白いアイデアを持ってきた。つまり無料で犬の糞処理用紙バッグを提供し、そのバッグが入っているスマートなポールに、ごみを捨ててもらおうというもの。バッグは可愛いし、そのオレンジ色ポールもかなりポップでおしゃれだ。

 WALL社のやり方は自治体の都市計画に密着しながらも、おしゃれで機能的な商品を提供すること。最初から出来ているものはなく、全て都市景観にあわせて、オーダーメイドするのだから、奇抜なアイデアでもなぜかしっくり来る。ちなみに日本の株式会社GK設計がデザインした商品もあるらしく、こうした公共デザイン会社との国際的なコラボレーション展開も彼らの強みの一つであるようだ。


【編集部ピックアップ関連情報】

○MediaSabor  2007/10/05
 「自治体と契約し街を媒体にする屋外広告の雄 ジェーセーデコー(JCDecaux)社」
http://mediasabor.jp/2007/10/jcdecaux.html

○業界人間ベム 2008/04/27
 「次世代広告マン養成ギブス その10 交通広告の現状」
 このように、ある一定時間帯における交通広告の接触シェアは非常に高い、
 全日での接触時間だけ見ていると分からない。ある生活導線上にいる特定の
 時間帯ではマインドシェアが高いという特性を活用する機会は、今まで
 以上にありそうだ。
http://g-yokai.com/2008/04/10.php

 

 


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