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子どもの肥満はテレビから? 菓子類のCM規制法案検討

 フランスでも、現代の子ども達の肥満が問題になっている。肥満対策に、お菓子のテレビCMを規制する法律が検討されている。

 子どもの健康に関わっている24団体(小児科医、心臓病医、栄養士などの団体)が、製菓業界のテレビCMを制限する法案を支持。2008年2月に、厚生省が提案した法案は、子ども達のテレビ視聴時間が年々長くなっている事実と、増え続ける肥満児の数に、因果関係をみつけようとしている。製菓業者は、話し合いの席につこうともしない。

 ここ20年間で、子どもの肥満が急激に増えている状況では、対策を早急に迫られている。1980年には5%しかいなかった肥満の子どもが、2008年の調査では、5人にひとりが肥満とされている。

 子ども向け食品のCMの87%は、砂糖過多で、脂肪分が多い食品で、健康には良くない商品だと消費者団体は指摘する。食品業界も、グローバリゼーションの波を受け、アメリカ製のお菓子、飲料水、食品が容易に手に入るようになった。世界の先進国も同様の問題で悩んでいる国は多い。既にイギリス、スウェーデン、ベルギー、カナダのケベックなどでは、子ども向けテレビ番組でのお菓子のCMを規制している。

 しかし、この問題は、食品業界と教育業界の問題にとどまらない。食品業界のCM規制は、テレビ局への影響が大きいのだ。食品業界の広告宣伝費は、テレビ局にとって大事な収入源。年間14億ユーロにものぼる広告費のうち、厚生省が規制しようとしている品目は、そのうちの80%にもなる。法律が施行された後の経済的影響は、はかり知れない。

 テレビへの広告宣伝費が、ネット広告へ移行し、減少傾向にあるなか、大クライアントの食品業界をつなぎとめるために、テレビ側は、CM放映と子どもの肥満は直接の関連性がないと否定している。しかし、子ども番組でのテレビCMの効果が高いので、食品メーカーは広告費を投入しているのだ。

 たしかに、子どもの肥満は、テレビCMを規制したからといって、すぐに解決されるものではない。複数の要因が改善され、子ども達の生活習慣が変化しない限り、肥満は増え続けるだろう。CM規制と併せて、子ども達への食育、運動の奨励、規則正しい食習慣、と子ども向けでなく、大人が気をつけなければならない事ばかりだ。

 社会的問題を、「広告のせい、メディアのせい」とする事は簡単だ。政府が音頭をとって、さまざまな規制がこれから行われていくだろう。しかし、民主主義、資本主義のおかげで、国民の生活の選択肢が広がった現在、結局はひとりひとりが自分の生活に責任を持つべき問題を、業界側に押し付けているようだ。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○CM博士の気まぐれブログ 2007/02
 「イギリス ジャンクフードCMを16歳未満が多く見る番組において禁止」
 英通信監督局(OFCOM)は、子どもの肥満対策の一環として、脂肪分や
 糖分などの高い「ジャンクフード」に関するテレビCMを、2007年4月1日から
 順次規制すると発表した。
http://www.cmjapan.com/blog/cmj_blog/main/2007/02/post_41.html


○Libros a un labrador  2008/06/29
 「フードファディズム―メディアに惑わされない食生活」 高橋久仁子
 フードファディズムの定義は食べものや栄養が健康と病気に与える影響を
 過大に信じること、科学が立証した事実に関係なく何らかの食べものや
 栄養が与える影響を過大評価すること
http://funkfarm.blog98.fc2.com/blog-entry-78.html


○横山哲也ブログ 万年Windows 2007/11/18
 『フードファディズム―メディアに惑わされない食生活』
 いくつか面白かった話を列挙します。
 「健康番組をたくさん見ている人ほど肥満率が高い」
 本書でも指摘されているとおり、単にテレビ好きが肥満になりやすい
 ということらしい。
http://yokoyama-tetsuya.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_a4f8.html

 

 

 


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