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レストランにもオーガニック認証を?!



近年オーガニック・レストランが増え続けています。
インターネットのグルメサイトでも和食、イタリアン、中華など料理のジャンル名のなかに「オーガニック」というカテゴリーが見られるようになりました。
雑誌でもオーガニック・レストラン特集が組まれ、専門誌も出版されているようです。

オーガニック・レストラン自体の数が増えた理由をいくつかあげてみます。

1) 人々の健康志向が強くなり、外食=(豪華な料理、カロリーが高い肉類や
  高級食材を使用した料理)というものから、野菜や豆腐、発酵食品など消化が
  よく栄養のバランスが取れた食事を好む人が増えてきたため。

2) 食の安全性が問いただされる今、素材の産地や栽培方法など食材の
  トレーサビリティーが可能なオーガニック農産物は消費者にとって安心だから。

3) 料理人(シェフ)がより良い素材や味を追求していった末、いきついたものが
  オーガニックであった。

4) オーガニックという言葉が「健康」や「自然」をイメージさせ、印象が良いため。

5) 食材の安心と安全を重んじて選んだ結果がオーガニックであった。

6) 「エコ」という言葉や思想が注目され、トレンド性やファッション性がある。


地域によっても違いがあると思いますが、私が知っている表参道界隈のオーガニック・レストランは、オーガニックや自然素材を用いたスキンケアブランドのショップと併設されていることが多く、食べものだけでないライフスタイル全般も含めた提案型レストランのスタイルをとっているようです。


同じ野菜や果物などのオーガニック素材にもランクがあり、栽培や管理方法が有機JAS規格に準じて生産される「オーガニック・有機栽培農産物」であることを前提に、見た目(整ったかたちや色つや)や、味の良さ、香りなどでも評価され、それが仕入れ値や販売価格に大きく影響するようです。


農薬や化学肥料を抑え、第三者からの認証(有機JASマーク)もあれば、味や形などは多少劣ってもいいだろうと思われがちなのですが、レストランで出すメニューには、素材そのもののかたちを生かしたサラダやグリルがあり、素材の持ち味を強調するため、調味料の使用や味付けをほとんどしないまま、お皿に盛る場合もあります。そうなるとその素材自体のクオリティーが重要となってくるのです。


日本のオーガニック・レストランの特徴はさまざまですが、揃えられる食材を全てオーガニックにしている、もしくは一部のメニューにオーガニック食材を使用しているといった食材そのものに着眼点を置いた店がほとんどで、レストラン自体にオーガニックとしての定義や基準のようなものがあるわけではありません。食品のオーガニックには有機JAS認証があるのですから、同じ食べものを扱うレストランにも認証制度があってもおかしくないのではないでしょうか。

実際にイギリスのオーガニック認証団体「soil association certification limited」には「レストラン及びケータリング」という項目があり、食品と同じく認証制度が存在します。

この認証を取得するには

▼仕入れ記録
 素材の仕入れはオーガニック認証があるものかを確認

▼在庫記録
 数を把握することで余分な仕入れをせず、間違ってオーガニックで
 ないものが料理として使われないよう、それぞれの詳細が必要。

▼クリーニング記録
 素材の出どころが明確であり、かつそれらの素材を使用するときは、
 きちんと水で洗浄してから調理にとりかかる。

▼虫駆除の記録
 素材や使用調理器などに悪影響のない薬剤を使って虫を駆除し、
 その記録をつける。

などの審査があります。ほかにも冷蔵庫や調理器具についての決まりや、メニューの明記についても細かい指示があるようです。

安心して食していただくという意味でお客様から信頼を得ることができ、また食べものを提供する立場の人々においても、安全な素材と調理環境で作りだす料理は、格別の自信と満足につながるでしょう。

とはいえ、お客様のニーズとレストランの経営状況のバランスがうまく保てていないと良いコンセプトでありながらも運営は成り立っていかないもの。お客様自身がレストランでの食事において素材の品質や安全性にどれだけの期待を抱いているか、またそれに対して提供側はどれだけの責任感や使命感を持って応えていくか・・・

日本のオーガニック・レストランは数こそ増えてはいるものの、このポイントをしっかり抑えて経営に活かしているところは、まだまだ少ないのではないでしょうか。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○ブランドウォッチャー”林ゆり”のB.B.日記
 「表参道のオーガニックレストラン♪」 2008/01/13
 表参道に昨年リニューアルオープンしたGYRE。シャネルやブルガリが1階に
 入っているブランド複合ビルだ。その地下にあるのがCINAGRO。
http://blog.livedoor.jp/yurix/archives/51875510.html


○安全なものを食べるには? 2008/05/16
 「東京都が国産冷凍食品に原産地表示を行う独自基準を作成」
 このニュース日本経済新聞とかにも載っていたのですが、地方版に
 載ってなかった為知らない人や、読んだり聞いたりしていても、東京都の事
 だからと他人事と思っている方も多いようです。でも、食品衛生法や
 JAS法などに基準が無くても、都道府県の条例等で規制されたり、規格が
 定められている食品に関する事柄って意外と多い物です。特に東京都の条例は、
 他の県の基準になると言われているほど影響力が大きいです。
http://chuchu.tea-nifty.com/foods/2008/05/post_a60b.html


○Business Media 誠 2008/02/01
 食品関連の不祥事、消費者が重視するのは「衛生管理」
 2007年は「食」に関する不祥事が相次いだ。賞味期限切れや産地偽装などの
 不祥事があった6社(船場吉兆、ミートホープ、赤福、白い恋人、比内鶏、
 崎陽軒)に対し、消費者はどのように思っているのだろうか?
 食品について重視するのは「衛生管理」や「ブランド名」「産地」
 「賞味期限・消費期限」が上位となり、直接健康被害につながりそうな項目が
 挙がっていることが分かった。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0802/01/news043.html


○自然農あぐりーもの菜時記 「それで良いの!?」  2007/10/24
 いつ、どこで、だれが、どのような資材を使って、どんな方法で栽培し、
 どのように流通されたかを、知ることができる生産履歴(トレーサビリティー)
 であって、決して農家さんの顔写真や名前が重要ではないんです!!
http://agurimo.blog16.fc2.com/blog-entry-484.html

 

 


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