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「私は日本のゲーム・ショーで生き残った」 米国メディアが日本バラエティ番組の面白さに大注目!

 6月24日夜9時、米国テレビ4大ネットワークの1つABC局が奇怪なタイトルの新番組を立ち上げた。タイトルは『I Survived a Japanese Game Show(訳:私は日本のゲーム・ショーで生き残った)』。

番組ウェブサイトへのリンク:(音有り)
http://abc.go.com/summer/isurvivedajapanesegame/


 番組では、10名のアメリカ一般人が日本を訪れ2チームに分かれTBS『東京フレンドパーク』風のコミカルなゲームに挑戦する。ゲームは「日本で人気のゲーム・ショー”Majide”の収録中」という設定になっていて、日本語を話す司会者(神田瀧夢という役者)やスタジオ観覧者もいる。

神田瀧夢のウェブサイト:
http://www.romekanda.com/


 敗者チームには罰ゲームが課せられ、最後のゲームで負けた1名がアメリカへ送還される。毎週1名ずつ減っていき、最後に「生き残った」者が賞金25万ドル(約2675万円)を獲得する・・・というシステムになっている。

 一応米国オリジナル・フォーマットではあるが、見せ場であるゲームの部分は日本独特のアイデアを拝借したものだ。プロデューサー陣は何百時間もの日本の番組を見て企画を立てたという。

 ちなみに最初のゲーム『コンベヤー・レストラン』は、一人がヘルメットにお盆を載せベルトコンベア上を流れに逆らってダッシュ、台上のもう一人が、お盆の上の大福を手を使わずに食べ、制限時間内にたくさん食べたチームが勝つというものだった。

 体を使ったゲーム・ショーは珍しくない。しかし、挑戦者が転んで粉まみれになったり、ハエの着ぐるみ姿で壁にぶつかったりとコミカルな要素は、アメリカ人にとって斬新に映るようだ。

 6月24日付CNN.comの記事には、「時に残酷なまでに辱めることが日本のゲーム・ショーにもっとも顕著なテーマ」とある。『I Survive…』のプロデューサーは、「保守的日本人にとって貴重なストレス解消法」とコメントしている。

CNN.comの記事リンク:
http://edition.cnn.com/2008/SHOWBIZ/TV/06/24/apontv.japanese.gameshow.ap/index.html


 彼らの分析が正しいかどうかはともかく、日本の面白さがアメリカで注目されるのは愉快なこと。しかも、ケーブル局(※1)ではなくネットワーク局がプライムタイムの番組で日本流を前面に打ち出したのは、ちょっとした革命である。

(※1)
80年代懐かしの番組『風雲!たけし城』は、アメリカにとって面白い日本のゲーム・ショーの先駆けである。未だに『MXC(Most Extreme Elimination Challenge)』というタイトルの元、ケーブル局Spikeで再放送されている。また『筋肉番付』『SASUKE』は、それぞれ『Unbeatable Banzuke』『Ninja Warrior』というタイトルの元、ケーブル局G4で再放送されている。ちょっと毛色が違うが『料理の鉄人』は、アメリカ版『Iron Chef America』としてFood Networkで放送されている。

MXCのリンク:(音有り)
http://www.spike.com/show/21908

G4のリンク:
http://www.g4tv.com/shows/index.html

Iron Chef Americaのリンク:
http://www.foodnetwork.com/food/show_ia


 今秋にはフジテレビ『とんねるずのみなさんのおかげでした』のワン・コーナー『脳カベ』のリメイク版『Hole in the Wall』がFOX局(Fremantle Media製作)で放送される。『脳カベ』は『Human Tetris』というタイトルでYouTubeにアップされ、600万以上のヒットを記録している。このネットでの大反響は明らかにFOX局を動かしただろう。

YouTube/Human Tetrisへのリンク:
http://youtube.com/watch?v=Ll2kajMH2u0


 ところで『I Survive…』の初回視聴者数だが、Nielsen Mediaによれば800万人とまずまずの数字。しかし番組の後半で16.67%が見るのをやめたというネガティブなデータもある。

 ちなみにABCと言えば2006年に日本テレビ『ワールド☆レコーズ』をリメイク(米タイトル『Master of Champions』)するも、わずか5回で打ち切りという暗い過去がある。

 米国エンターテインメント業界が日本に期待するものといえば、アニメ、ビデオ・ゲーム、ホラー映画がある。『I Survive…』や『Hall in the Wall』がヒットすれば、「コミカルなゲーム・ショー」という新たな品目が加わる。

 今こそ、『底ぬけ脱線ゲーム(日本テレビ、1963─1973)』から続く日本の伝統芸能(?)をアメリカ国民に伝授する時が来た。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○MediaSabor  2008/05/29
 「イタリアの放送業界で起きていること
  ---首相とその会社メディアセットの思惑とは」
http://mediasabor.jp/2008/05/post_397.html


○ABC- Wipeout (Teaser:YouTube映像 04:26)
http://jp.youtube.com/watch?v=uKALGKTgPwY&feature=related


○I Survived a Japanese Game Show premieres June 24th on ABC
 (YouTube映像 00:31)
http://jp.youtube.com/watch?v=OMvSMHHM3qw


○肝っ玉母さんのNY日記  2008/06/07
 「'I Survived a Japanese Game Show'とうとう全米ネットで登場日本の
 ゲームTV番組?!」
 全国放送される新ゲーム番組、大手テレビ局のABCによる
 'I Survived a Japanese Game Show'!アメリカ人を日本のゲーム番組に
 挑戦させるというもの。筋肉番付やSASUKEとかで、番組の最初と最後に
 紹介で出てくる日本人のアナウンサーが新番組にも出演したりで、もう、
 まんまじゃん!という感じ。とにかくすでに話題沸騰です!
http://nykimottamamama.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/nyi_survived_a__b26b.html


○ここアメリカ?!「Japanese game show!!」2008/06/04
 ちょっと見た感じではフレンドパークとかバラエティでやってるゲーム的な
 要素を盛り込んだものっぽい。確かにこちらでは、今だ「風雲たけし城」が
 放送されてるくらいだし、あの手のクイズものってあんまりないから
 「Japanese game」ってことで、カテゴライズされてしまってもおかしく
 ないのかもね。
http://diary.jp.aol.com/zkwaf94g7krk/1231.html

 

 

 


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