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ドイツ大企業経営陣人事に広がる外国人登用。人材戦略もグローバル化

<記事要約>

ドイツ銀行75%・アディダス50%・ヘンケル57%・ルフトハンザ航空33%・フォルクスワーゲン40%・フレゼニウスメディカルケア86%・・・これらの数字は、世界ブランドのドイツ大企業でエグゼクティブのポジションにつく外国人の割合。ここ10年くらいのトレンドとして、ダックス・ドイツ株価指数(Deutsche Aktien Index)の代表的な30銘柄大企業では、外国人幹部の数が飛躍的な増加の傾向にあるという。ドイツ企業のエグゼクティブ会議室では、もはやドイツ語は共通語ではなくなった。

•2008/06/26   Financial Times Deutschland
•www.simon-kucher.com

 

<解説>

大企業CEO(最高経営責任者) の中でも頻繁にメディアを賑わすドイツ銀行のヨゼフ・アッカーマン氏(Josef Ackermann)は、2002年からトップの座についたスイス人。同銀行のCFO(最高財務責任者)のアントニー・デ・イロリオ氏(Anthony di Iorio)はアメリカ人。スポーツメーカーのアディダス社は、CFOにニュージーランド人のロビン・スタルカー氏(Robin Stalker)を起用した。化学メーカー・ヘンケル社のCEOカスパー・ローステッド氏  (Kasper Rorsted)は、デンマーク人。

例を挙げればきりがないほど、大手ドイツ企業のエグゼクティブ層を占める外国人は多い。マーケティング・セールスコンサルタントのサイモン・クチャー&パートナーズ社(Simon Kucher &Partner=SKP)の調査(2007年7月)によると、ダックス30銘柄大企業の外国人エグゼクティブは、特に2000年から2005年の間に急増したという。

さらに2004年以来、ドイツでは、大手企業のエグゼクティブの半分が交代するという展開も繰り広げられた。それに並行して、ここ3年間、4人のうち1人が外国人幹部という現象が起こっている。ドイツ企業は、外国人エグゼクティブとして、特にオーストリア人や米国人を歓迎している。人材のグローバル化は、始まったばかりで今後益々活性化されるという。これからの企業グローバル化の課題は、優秀な人材の獲得に大きく左右されるという訳だ。

一方、ダックス30銘柄のうち9社は、エグゼクティブ層をドイツ人だけで固めている。ただし、これら9社も含めて、大企業ドイツ人エグゼクティブ層は、少なくとも数年にわたる海外での実務経験、異文化においての交流経験があるマネージャーがほとんどだ。

特に、化学、薬学、医学研究技術分野において、ドイツ人がエグゼクティブ層になるための経歴で必須なのは、海外滞在が重要なポイントとなっている。「これらの分野では、総売上の75%を海外で稼ぎ出しているという背景があるため、しごく当然の結果。」とSPK社のレッシ氏(Christoph Lesch)は分析する。

これらの傾向は、経済のグローバル化が進む時代にあって、グローバル企業がワールドワイドな成功を収めるには、更なる国際的な人材起用が望まれているからであろう。グローバル化とは、国境がなくなることだ。現在は、経営資源である「人、モノ、金、情報」が国境を越えて世界中を駆け巡っている。そして、確かな専門知識はもとより、優れた語学力と異文化に対する深い造詣を兼ね備えた人材を世界から登用することは、ビジネス活動の舞台が世界市場に分散化、複雑化した今だからこそ必要な企業再編の術(すべ)なのであろう。

 

 


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