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ビジネスの成功のためにインド流マナーを学ぶ英国人

<記事要約>  Hindustan Times (日刊紙)

○ビジネスでインドに赴いた時に、お別れの挨拶としてインド人女性にキスをするのは、アウトである。

○インド人であれば、自分達のホストが時間を守らないことくらい知っている。

インドでうまくビジネスを遂行するにあたってのこれらの指南は、インドと英国の両国間のトレード、ビジネス、投資の促進をサポートする目的の、イギリス政府の率いるUKIBC(UKインドビジネス協会)によるビジネスマナークラスの教えのひとつだ。これらのクラスは、「カルチュアル・ブリーフィング」と名づけられており、若い英国のビジネスマンや専門家たちに、より理解を深めてもらおうという試みのひとつである。

UKIBCの最高責任者であるシャロン・バムフォード氏は「インドにおけるビジネスの成功は我々にとって優先事項であり、その文化や宗教、政治を理解する事はビジネスをするうえでは、不可欠である」と述べている。英国文化振興会によると、すでに32000人の英国人がインドに住んでおり、今後も増える見込みとのこと。

以下は、クラスで教えられるマナーのうちのいくつかである。

  ▼笑顔で挨拶しながら、握手をし、ちょっとだけ会話をする

  ▼両手を前で合わせながら「ナマステ」と言って、軽くおじぎをすると好印象

  ▼相手が女性の場合は、あちらから求められた時だけ握手をする。挨拶代わりの
     キスはご法度。

  ▼同僚に呼びかける時は、いつでも肩書きを加えて苗字で呼ぶ事。下の名前で
     呼ぶことは、インドでは、馴れ馴れしく失礼にあたる。

  ▼ギフトをもらったら、くれた人が部屋を退出するまでギフトをあけてはならない。
     ギフトの中身を見たがる素振りも見せないこと。

  ▼インド人は、時間にルーズだ。忍耐強く、柔軟性を持って対応すべし。

  ▼インド人は、休日でもかまわずにビジネスの用件で電話をしてくる。気分を
     悪くしないように。


<解説>

たしかにインドというのは、西欧諸国からすると独特の文化や習慣を持っているように見えるのだろう。しかもインド人は、自国の文化に非常にこだわりを持っている人々だと言える。

日本人としては、これまで諸外国にさんざん「そこがヘンだよ」などと言われ続けてきた過去があるため、このような2つの国の間の文化的ギャップがどのようなものであるか、妙に想像がつくというものだ。

だが、ある時期の日本が、やたらめったら叫ばれた「国際化」の名のもとに、「ヘン」と言われた点をどんどん変えていってしまったやり方とは逆に、インド人は容易に自分達のやり方を変えず、それどころか、なおも自国の文化に誇りを持ち続ける点が、周りの対応の仕方に出ているのだろうと思う。

それに加え、地球が狭くなるにつれて、異文化間の相互の理解が不可欠であるという認識がより深まっている時代背景もあるだろう。だが何よりも、現在のインドの立場がいかに強いか、ということの表れでもあると思う。インドで成功したければ、彼らの文化を学び、気に入られることが先決!と言わしめるインドは、やはりビジネスチャンスの宝庫であるといわざるを得ない。

先日の中国では、北京オリンピックに向けて「外国人に質問してはならない8項目」なるものが出されたそうだが、いずれにしても、異なる文化同士が出会えば、失礼にあたることの認識や常識・非常識のギャップは避けられないものである。

例として挙げられた以外にも、インド人相手のときに、知っておいたほうがいいこととしては、

  ▼インド人は誰かが一度口をつけたものに対して非常に敏感なので、回し飲みや、
     大皿料理を自分の箸やフォークでつつくのは、タブー。

  ▼握手を求められたら、必ず右手を出すこと。

  ▼お寺などに行った場合には、そこでプラサード(お供え物)の甘いものなどを
     いただく場合が多いのだが、それを断ってはいけない。

  ▼インド人は、昇進や自分の誕生日などのお祝い事の時には、本人が周りの人に
     スウィーツなどを配るのだが、それを断ってはいけない(彼の祝い事を祝福して
     いないこととなる)。

  ▼インドでは掃除でも後片付けでも、それをやる人が明確に決まっているので、
     食事後に食器類を片付けたり、自ら進んでゴミ集めをするなどといった、日本では
     誉められるようなことでも、嫌がられる場合がほとんど。

  ▼宴会やパーティーにお呼ばれしたら、遅れ気味で行くのが普通。

などなど、たくさんある。

わざわざビジネススクールのクラスで教えるところもあるくらいだから、インドに行く際には、頭に入れておくといいかもしれない。

 

 


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