インターネット紀元後社会の生き方は?
- ビデオジャーナリスト
KNN神田です。
ボクの人生にとって、最大の脅威であり、ライバルは「インターネット紀元後」世代の人たちだ。今後、このインターネット紀元後の社会で、生きていくには彼らとの共存がとても重要だと考えている。
ナナロク世代(1976年以降生まれ)と呼ばれる現在、32才以下の人たちは、プリミティブなインターネットを大学時代で体験し、同時にウインドウズ95を大学時代に迎えている。現在の主流のITベンチャー企業家も、この世代から多く輩出されている。このナナロク世代以降の世代の人たちを、ボクは「インターネット紀元後」と名づけてみた。
いままでの「インターネット紀元前」生まれの人は、すべての人が大人になってから、インターネットの洗礼を受けている。いうならば人格が形成されてから、仕事や興味、遊びをインターネットの世界に託してきた。しかし、もう30年以上もネットのない世界で生きてきているので、人間は最終的に「アナログ」であるという絶対的な確信を持っているはずだ。しかし、最近は「アナログ」が絶対的であるとはいえなくなるシーンが多々登場するようになってきた。
「ハチロク世代(1986年以降生まれ)」と呼ばれる22才以下の人たちは、ADSLによるブロードバンドの恩恵やウィンドウズXP登場を中学時代に迎えている。彼らの世代から図書館が有する機能は、インターネットにシフトしてきた。調べるという行為はネットで検索することを意味し、百科事典とはウィキペディアのことを指すようになった。
1997年の酒鬼薔薇事件以降、当時11歳だった彼らは、携帯電話を親から護身端末として手渡され、いつしかコミュニケーションや生活の中枢を司る存在となってしまった。また「ゆとり世代」とも呼ばれ、マスメディア中心の生活から、ゲームやネットコミュニティ中心のライフスタイルに変わり、自分たちの価値観に比重をおきはじめた。そして、今年から社会人として、多く社会に登板しはじめた。
さらに「キューロク世代(1996年以降生まれ、現在12才)」となると、もの心がついた時から、まわりや社会がデジタルとなり、完全な「デジタル・ネイティブ」世代が登場。
彼らの特徴は、電子機器の家庭への普及だ。
カメラがデジタルとなり、小さなころから、アルバムよりもデジタルのスライドショウやDVD、ネットの共有サイトで見るほうが多くなる。VHSテープやカセットテープを使ったことがなく、DVDやiPod、ニンテンドーDSなどによるランダムアクセスな個々のカルチャーが形成されている。
ニンテンドーDSで学習することにより、今、間違ったことをすぐに修正されれば、非常に学習効果があるが、学校で一週間前のテストが添削されて返されても、もうピンとこなくなってしまった。一瞬でもアイドルタイムがあることを嫌う傾向がある。
この10年ごとのデジタル世代の特徴は、今後はさらに、少子高齢化社会のあおりをうけて、色濃く社会に反映され始めることだろう。
「ウェブ2.0」はナナロクが生み出した。
「クラウド・コンピューティング」は、ハチロクが牽引することだろう。
そして、その先の「デジタル・ネイティブ」という本当のインターネット紀元後社会の主役は、キューロクである。
インターネット紀元前社会の元気すぎるシニア人口と、大事に育てられた数少ない紀元後社会の若者が共存しなければならない社会がいずれ必ずやってくる。
同じ日本人でありながら、共通言語をしゃべる外国人との共存社会である。長年かけて培ってきた経験を、クリック操作で得ただけの知識が、圧倒的な情報量で凌駕することがありうる。
しかし、人間の本質的な部分は変わらない。育った自分の世代を超えて、どの世代にも平等にインターネットは開かれているからだ。
暇とお金を持ったアクティブ・シニアはこれから、デジタル・ネイティブとアナログ社会ではなく、サイバー社会で協業するというのはどうだろうか?
ビジネス、教育、サービス、医療、福祉、ボランティア。
今後は、デジタル・ネイティブな世代とコミュニティを築く土壌が多く発生することだろう。彼らの実態はリアルな世界よりも、サイバースペースのほうがよく見える。
彼らとのコミュニケーションを一番阻害する要因は、リアル世界における社会的な肩書や年齢、そして過去の実績などかもしれない。シニア世代が、過去のアナログ時代の呪縛から解き放たれてバリアフリーとなった時に、世代間を超えたコミュニケーションが可能となることだろう。
裸の自分をどれだけネットの中で表現し、コミュニケーションできるかに、インターネット紀元後社会の生き方が見え隠れする。
【編集部ピックアップ関連情報】
○我家のIT化 NHKスペシャル「デジタルネイティブ」への投稿動画 2008/09/01
色々な体験が語られていて、良いですネ。
その中に、「しょこたん」として知られた「中川翔子」さんもいます。
http://homenet.seesaa.net/article/105815809.html
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