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ネガティブイメージを一掃した欧州最大の清掃業者BSRの広告キャンペーン


「サタデーナイトフィーバー」をもじって、
「サタデーナイトフェーガー(掃くもの)」

日本でも清掃業者などのイメージアップをはかる動きは見られるが、欧州最大と言われるベルリン市の清掃会社BSRほどラディカルな広告キャンペーンを行い、また成功を収めているところはないのではないだろうか。1999年に始まったこのキャンペーン以前は、汚い仕事をする業者、そしてBSRの従業員と言えば、これといった特色がなく、希薄なイメージしかなかったのに、現在ではトレードマークのオレンジ色を見るだけで、ほぼすべての市民がBSRを思い浮かべるようになったのだから素晴らしい効果と言える。


BSRが、クリーンキャンペーンを始めるきっかけを与えたのは、1999年に行ったベルリン市民へのアンケートの結果だ。大半のベルリン市民が、自分たちの住む街ベルリンが汚いと答えた上、それは清掃業者であるBSRのせいであると回答した。このアンケート結果を見て、BSRは、いかに自分たちの仕事が理解されていないか、そして知られていないのかを痛感したとのこと。

BSRと従業員のイメージがこれほどまでにも悪く、市民にその存在を認められていない事実に驚いたのであろう。こうしたイメージの悪さがまた、BSR従業員のモチベーションを下げてしまうことを同社は恐れ、イメージアップキャンペーンが始まったそうだ。


僕(の心)なんだかすっごく空っぽだ



同キャンペーンの主な目的は、市民にも街の清潔を保つことに対する責任感を持たせること、そしてBSRに対する感情的な心のつながりを植えつけること、BSR社の課題とその処理能力を知ってもらうこと、BSRの従業員が、重要なサービス提供者であるということを認めてもらうというものであった。


「小さな灰の穴(つまり灰皿を指す)」と書いてあるが、これは
「Asch(灰)」と「Arsch(お尻の穴)」をかけたもの



こうしたイメージアップのために一役買ったのは、ベルリンの広告エージェンシーHeymann Schnell Werbeagentur AG社である。彼らがまず行ったのは、公的なサービスを提供する企業や公共事業団に有り勝ちな、匿名の希薄なイメージをまずは変えることであった。

つまり、BSRとそこで働く従業員に共感を持てるようなキャラクター作りをしたのである。まずはオレンジという色を浸透させ、さらには清掃者が、汚れた暗い人物ではなく、ベルリンという愛すべき街の救済者であるかのようにイメージチェンジされている。勿論格好のいいヒーローではなく、どこまでもユーモアにあふれ、清掃することに喜びを持つかのようなキャラクターが常にBSR広告ポスターの主人公だ。


「マッチョ」をもじって、「マッチョ(ドロだらけの)」



中には聖書の一節をモチーフにしたり、映画のタイトルをもじったものなどもあり、見ていて朗らかになる、この欧州最大の清掃会社BSRのポスターは、街行く人々の楽しみにまでなってしまった。

BSR http://www.bsr.de/bsr/html/6729.htm

Heymann Schnell Werbeagentur AG 
http://www.heymann-schnell.de/html/index.php


【編集部ピックアップ関連情報】

○MediaSabor  2007/03/19
 「ハリケーンが生んだ、清掃業の風雲児」
http://mediasabor.jp/2007/03/post_42.html

 

 


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