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カップル社会 フランスで人気の管理が厳しい出会いサイト「Meetic」

 友人と外食したり、劇場やレセプションに招待されたりした時には、夫婦や、付き合っている人を同伴するのが常識のカップル社会のフランス。しかし、離婚率も高く(パリでは50%、フランス全体では30%程度)、独り身になった後が大変。

 仕事をし、自宅に帰るのが夜8時を過ぎる生活をしていると、新しいパートナーと出会うのはなかなか難しい。それで、フランスでも10年ほど前から、インターネットの出会いサイトの利用者が増えている。特に、2002年から始まった「ミティックMeetic」(http://www.meetic.fr)は、管理がしっかりしているおかげで、登録者が増え、ヨーロッパで最大の出会いサイトに成長した。
 
 日本で出会いサイトというと、セックス目的と考えられがちだ。しかし、ミティックは、登録時のプロフィールの文章や写真を管理者が厳しくチェックしているので、裸の写真や、怪しげなうたい文句などは削除される。偽装結婚や売春目的の登録者にも、管理者サイドは目を光らせている。そのため、浮気相手や一晩限りの相手ではなく、真剣な付き合いをしたいフランス人男女が、安心して登録できる。実際、ミティックで出会い、付き合いはじめ、結婚したカップルは少なくない。今では、職場や学校での出会い、友達の紹介と同様に、出会いの一つの形として定着している。
 
 ミティックは、ディスコ、クラブの料金システムを導入した初めてのサイト。男性が登録するのは有料で、女性の登録は無料。そのおかげで、現在は男性56%、女性44%と均衡が保たれている。年齢層も幅広いが、35%が25歳─35歳、30%が35歳─45歳と30代近辺に集中している。また、年間200回以上、ミティック主催のパーティがある。ネット上でメールやチャットをした相手と、気軽に(一対一でなく)直接会える機会を設けたのも成功の要因だ。

 フランスで成功したミティックは、ドイツ、スペイン、イタリア版もでき、人気を博している。中国語版やラテン・アメリカ版もできた。
 
 真剣さには、いまひとつ欠けるが、パリの若者の間で人気がでてきている出会いサイトが、アドプト・アン・メックAdopte un mec(男を採用しよう)。
http://www.adopteunmec.com
 
 コンセプトが面白い。「男は愛玩するもの」とうたい、女性(=お客様)は、気に入った男性をスーパーのキャディのように、「かごに入れる」。かごに入れられてはじめて、男性(=商品)は、相手の女性にメールを送ったり、チャットができるようになる。

 女性に圧倒的な選択権があるので、男性は自分を買ってもらおうと、魅力的な写真を載せたり、面白い自己紹介文を書いたり、いろいろ努力をする。ホームページも、「お買得品!」「地物!(登録者と同じ地域の人)」とスーパーのチラシ風にサイトを展開しているユーモアたっぷりのサイトもある。

 ミティックと違って、職業や収入よりも、会話やユーモアを楽しみ、また、セックスの好みなどをフランクに話すサイトなので、オープンな性格の登録者が多い。都会人向けの出会いサイトと言えよう。
 
 愛の国フランスでも、「人生の伴侶」を見つけるのに、今はインターネットが大きな役割を果たしているようだ。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○メディアサボール 2008/07/03
 「恋愛、別離の繰り返しで複雑化するフランスの家族」
http://mediasabor.jp/2008/07/post_425.html


○出会いの雑学  「Meetic、収益2倍計画」 2008/05/16
 Meeticはヨーロッパで最大級の出会い系サイトの一つですが、過去2年でドイツでは
 Neu.deを2500万ユーロで、イギリスではDatingDirectを2730万ポンド
 (5300万ドル)で買収している。
http://nicemeets.com/taiken/archives/001833.shtml


○Miaou:猫と一緒にフランス語 2007/09/23
 「辞書を新しく ?フランス版出会い系サイト Meetic?」
 記事の中でpacserという動詞が出てきました。pacser とはPacsを結ぶという
 意味の動詞です。ではPacsとはなんぞや?Pacte Civl de Solidaliteの略。
 Pacs=連帯市民協約、性別に関係なく2人のパートナーが共同生活を営む
 ための契約、これを結ぶと婚姻世帯に準ずる優遇措置を受けられる、
 だそうです。
http://blog.goo.ne.jp/miauleuse/e/db4dfe16fc6853724d9238d0fe05e3d5

 

 

 


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