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「Facebook」、核家族というコンセプトを打ち壊す

(記事要約)

Pewインターネット&アメリカンライフプロジェクトの調べによると、携帯電話とコンピューターが「核家族」にとって実はとてもいいものだ、ということが分かった。Pewによれば、インターネット、携帯電話、EメールやIM(インスタントメッセージ)といったものが、核家族間の距離を縮めているというのだ。

この研究では、それぞれが携帯電話を持つ夫婦のうち70%が、毎日携帯電話で会話をするという、また64%の夫婦が、携帯電話を利用して、それぞれのスケジュールを調整し、また42%が子供と携帯電話で会話をしているということが分かった。また研究対象の50%は、子供と共にネットサーフィンを行なっているという。

Facebookは、現在最も急成長しているソーシャルネットワーキングサービス(SNS)である。元々は学生がデザインしたサイトであったが、過去6ヶ月で12歳から90歳までの幅広い層に利用されはじめた。年配者が、若者と同じことをするようになったのだ。一つ違うことと言えば、若年者は、主に友人との関係作りを目的としているが、年配者は家族と交流するためにFacebookを利用しているようなのだ。これはコミュニケーションにおいて、非常に強力な媒介となる可能性がでてきた。

核家族のメンバーは、写真をアップしたり、学校の様子を話したり、さらに祖父母や叔父、叔母、従兄弟と交流するようになった。こうすることで、距離を超えて、拡大家族=遠縁の家族が身近に感じるようになっているようだ。

SNSは、精神的に、近い家族の数を増やすことができる。人々は、いいことも悪いことも、2、3人の人ではなく、20、30人の人と共有することができるのだ。つまり、SNSが、核家族の「隔離されてきた状態」を壊すことで、そもそも「核家族」というコンセプトそのものを壊しているのだ。

Pewの研究結果は、核家族がより近づくツールとして、モバイル端末を利用していることが伺える。言い換えると、電子メディアを通じてのコミュニケーションが、よりリアルに、そして意味を持つようになってきたということがいえる。

10/27 Internetnews.com
http://www.internetnews.com/commentary/article.php/3780921/How+Facebook+Is+Destroying+the+Nuclear+Family.htm

 


(記事解説)

同記事の筆者、マイク・エルガン氏が指摘するように、忙しい時間を調整しながら、電子メディアを通じて取るコミュニケーションは、効率的で、かつ継続的なものとなっている。 米国に住む私と家族のコミュニケーションのベースはEメール。これなら出張中の父にも、外出先の母にも、気軽にこちらの様子を連絡でき、また必要な時は確実に電話ができる時間帯を、メールでスケジュール調整する、ということもできる。

そして同じくらい、コミュニケーションツールとして役立っているのが、通称SNSと呼ばれるソーシャルネットワーキングサービス。海外で生活する筆者にとって、欠かせないものの一つとなってきた。例えばmixi。日本に住む仲間はもとより、海外に住む日本人同士の情報共有ツールとしても利用される。また筆者の場合は、日本に住む兄弟の近況を、各人の日記で垣間見、そして重要な情報はメッセージで送る。友人のEメールアドレスが分からなくても、mixiでメッセージを送れば「リコネクション」可能だ。

米国では、とりわけMyspaceが一大ブームを呼んだが、それがこのところ取って代わったようにFacebookの一人勝ち。デザイン、カスタマイズなど、さまざまな点で、Facebookが勝っているという人も出てきた。Myspace中に溢れる様々な大量広告(spam)がその原因といっても過言ではない。その点、Facebookは企業や組織に利用されるというより、個人間の情報のやり取りとして、今は利用されているようだ。 (http://mashable.com/2007/06/10/facebook-hammers-myspace-on-almost-all-key-features/

筆者も、この夏にFacebookをはじめた。きっかけはニューヨークに住む友人が、「写真をアップできて、コメントも自由にできてとても面白い」と紹介してくれたこと。それまでにも何人かからFacebookへの勧誘メールをもらったものの、実際利用している人の話しが聞けず、手をこまねいていた。が、登録した途端、日本や米国に止まらず、欧州に住む従兄弟や友人たちが、続々と私を「見つけて」メッセージを送ってきた。特にロンドンやスイスに住む従兄弟たちとは、数年に1度しか会う機会がなく、さらに彼等の学生生活についてゆっくりと話しを聞く機会などがなかったが、Facebookの写真を見ただけで、すっかり様子が分かるようになった。今では機会があるとwall上にコメントを残すようにしている。

ところで、最近もうすぐ80歳になろうという茶道の先生が、いよいよパソコンデビュー。これまで、携帯電話やFAXを利用して連絡を取っていたが、これをきっかけにEメールを使うようになったのだ。もちろん、先生によれば「分からないことがいっぱいよ」と言っているが、他州に住む娘さんやお孫さんと、前よりコミュニケーションが取れるようになったようだし、お気に入りのIL Divo(イル・ディーヴォ)のコンサート情報を、ネットでチェックするなんてことまで始めたようだ。

コンピューターに支配された生活は、コミュニケーションが希薄になりがち、と一時期はよく騒がれたが、時代は良い方に転んでいるようだ。人々がポジティブに利用することで、電子メディアが家族間コミュニケーションをも変えていくかもしれない。

 

 

 

 


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