国際的な音楽シーンで活躍するドイツのアーティストはかなり少ない。最後に大きく飛躍したのはラムシュタインと言われているが、その後ビッグスター誕生の動きは見られなかった。

そこに2001年華々しくデビューしたのが、19歳の双子ビル（ヴォーカル）とギタリストのトム、そして21歳のベーシスト、ゲオルク、20歳のドラマー、グスタフで構成される「TOKIO HOTEL」だ。

当時Devilishというバンド名で登場したが、2005年、ユニバーサルミュージックとの契約後、バンド名を現在のTOKIO HOTELに改名。デビュー・シングル「モンスーンを越えて」は、瞬く間にオーストリアのシングル・チャート1位に輝き、デビュー・アルバムである「トキオ・ホテル」で爆発的な人気を得、本国ドイツでは60万枚超の大ヒットを記録している。

バンド名と彼らの日本との関わりは全くなく、日本語が入っているバンド名は格好がいいということで命名されたらしいが、現在なんとマイナーではあるが日本デビューも果たしている。

日本語がドイツのカルチャーシーンで格好良いと思われるようになったご時世にも驚くが、若くして安定した音楽技術を持つ彼らはすごい。ソングに日本語を活用するだけでなく、ヴォーカルのビルに代表されるルックスは、正にJ-Rockの影響を受けていると思われるような姿。所謂ビジュアル系と言われた日本での人気アーティストのように、真っ黒の衣装に身を包み、まるで歌舞伎役者のカツラのようなヘアスタイル、そして真っ黒のアイメイクで登場する彼は、ドイツには新しいタイプの両性具有的スターと言える。

ピアスやタトゥーそしてドレッドヘアなどのスタイルだけが彼らの強みではなく、ミュージシャンとしての実力も今までの受賞歴をみれば明らかだ。まずはドイツの最大音楽賞「Echo Music Awards 2006」で4部門におけるノミネート、そしてドイツ国内最優秀新人賞も獲得している。その人気は国境を越え、欧州各地でプラチナ、ゴールドを数多く獲得しているカリスマバンドとしての座を築いた。

その人気と実力が世界中に通じるものだと我々を確信させたのは、今年2008年のMTVでの活躍だ。まずは欧州で開催されている「MTV Europe Music Awards」の授賞式ではシュガーベイブと並んでプレゼンターを務め、追加された2部門でのノミネーションでは、U２や、スヌープドックに混じってTOKIO HOTELがノミネートされている。

そしてロック、ポップシーンの大舞台アメリカでの「MTV Video Music Awards」で、ベストニューカマー賞を受賞したのだからすごい。このロスでの受賞の後、なんと今度はMTVラテンアメリカでも年間ベストソング賞を受賞している。正にドイツでは珍しいスタイルを持つバンドであるからこそ成功を遂げたと言える注目すべきグループだ。

【編集部ピックアップ関連情報】

○Tokio Hotel（ユニヴァーサル・ミュージック）
http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/tokio_hotel/index.html

○BOY’S　VOICE　--永遠の少年たち--
　「独版ビジュアル系？　Tokio Hotel」 2008/07/03
　かなり小さな頃から、ライブハウスなんかで下積みらしきものをしている
　だけあって、ＣＤを聴きこんでみるとその魅力が少しずつ滲み出てきます。
　ドイツ語の歌詞は理解できなくても、やたらと説得力のあるビルの歌唱は
　印象的。
http://d.hatena.ne.jp/sugiee/20080703/p1